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第十三話 消えた一人
「……誰が消えた?」
ころんは周りを見渡した。
あっきぃ。
まぜ太。
ぷりっつ。
ちぐさ。
あっと。
けちゃ。
からぴちのみんな。
すとぷりのみんな。
心音、ゆたくん、らお、たっつん――。
「……待って」
たっつんが青ざめる。
「ぷりっつは?」
「え?」
ぷりっつの隣にいたはずの莉犬が振り返る。
「……さっきまで、そこにいたよね?」
誰も答えられない。
机の上には、ぷりっつの鞄だけが残っていた。
「ぷりちゃん!!」
莉犬が叫ぶ。
返事はない。
その瞬間――
ピンポーン。
校内放送が流れた。
『第八の物語を開始します』
『消えた生徒――ぷりっつ』
『制限時間は30分』
ころんは黒板を睨んだ。
「……ぷりっつを探せってこと?」
『ただし――』
放送が一度途切れる。
『ぷりっつを見つけた場合、別の誰かが消えます』
「……っ!」
あっきぃが叫ぶ。
「ふざけんなよ!!」
すると、黒板にさらに文字が浮かんだ。
『救えるのは、一人だけ』
ころんは拳を握った。
「……絶対、両方助ける」
「無理だよ」
小さな声がした。
心音だった。
「この学校は、誰かを犠牲にしないと終わらない」
「だったら――」
ころんが心音を見る。
「そのルールを壊せばいい」
心音が目を見開く。
「……師匠」
そのとき、廊下の奥から――
カン……カン……
金属を叩くような音が聞こえた。
全員が音の方向へ向かう。
音楽室。
理科室。
図書室。
どこにもぷりっつはいない。
そして最後にたどり着いたのは――
旧校舎への階段。
立入禁止の札が貼られている。
その札の下に、小さな文字があった。
『ぷりっつは、ここにいる』
「……行こう」
ころんが階段を上る。
その後ろから莉犬が続く。
「ころちゃん、待って」
「ん?」
「もし僕が――」
莉犬は言葉を止めた。
「……ううん、なんでもない」
二人が旧校舎へ入る。
すると、突然――
ガチャッ。
扉が閉まった。
「……!」
暗闇。
そして、どこからか声が聞こえた。
「……助けて」
「ぷりっつ!?」
ころんが走り出す。
声の先にいたのは――
椅子に座ったぷりっつ。
「ぷりっつ!」
「師匠……」
ぷりっつが顔を上げる。
その手首には、赤い糸が巻きついていた。
そして、その糸の先には――
莉犬の手首。
「……え?」
莉犬が固まる。
ぷりっつが泣きそうな顔で言った。
「俺を助けたら……」
「莉犬くんが死ぬ」
「……っ!」
ころんは二人を見る。
その瞬間、黒板に文字が浮かんだ。
『さあ、選べ』
『ぷりっつを救うか』
『莉犬を救うか』
ころんは俯いた。
そして――
「……どっちも選ばない」
黒板の文字が、初めて揺らいだ。
「僕が選ぶのは――」
ころんは赤い糸を強く握った。
「二人とも生きる未来だ!!」
――その瞬間。
旧校舎全体が、大きく揺れた。
そして壁の向こうから、誰かの声が響く。
「……やっぱり、君ならそう言うと思ったよ」
ころんが振り返る。
そこに立っていたのは――
ななもり。
けれど、その表情はいつもの優しいものではなかった。
「……ころちゃん」
「君がこの学校に連れてこられた、本当の理由を話すよ」
ななもりの目から、一筋の涙が落ちる。
「君だけが、この物語を終わらせられるから」
コメント
1件
読了しました。今回はもう、最初から最後まで心臓がバクバクでした……! ぷりっつが消えた時の莉犬くんの叫び、「ぷりちゃん!!」が本当に切なくて。そして「どっちも選ばない」って言い放ったころんの強さに、グッときました。ななもりさんの意味深な登場と涙も気になります。このシリーズ、人間関係の描き方が本当に繊細で、毎回胸が熱くなります。続きが待ちきれないです!