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「お前も言えよ〜!好きなタイプ!」

ふと教室に響くハスキーボイス

このハスキーボイスなんかに私は興味はなくて、大事なのは内容

「え〜…..?そうだなあ、、、」

ざわざわと色々な話題が混じって聞こえる中からその声を聞き分け耳を傾ける

決して本人には悟られないように

「僕、最近黒髪の髪の長いのが好きでさ」

心が痛くなった。なぜならそのタイプとは違って私は金髪でショートカット。

いや、なにも問題はない。今からなればいいのだから。今までだってそうしてきた。

「つり目の女の子が好き」

「割と気の強い方が好みなんだよね」

「○○っていう女優のこういうとこが好きでさ」

全部全部君の好みに合わせた。

外側も内側も

君の好きな顔

君の好きな髪型

君の好きな体型、性格、話し方

全部聞き逃さず、必死に調べた

色々なことをじっくり時間をかけて、君との一番の友達になった。

だから怖くなった。伝えるのが

でも、このために努力してきたんだ。全部全部君のため

だから君が好きな筆跡に近づくように書いて、渡す

つもりだったんだ。




朝一番にチャイムが鳴り響いて、先生がいつも通り入ってると同時に教室が静かになる。いや、今日はいつもと違う。

今日は君に伝えるから。いつもよりドキドキしていた。後ろの席から見える君を見て心拍が速くなっていた。

「今日は転校生を紹介する」

先生が唐突にそう告げる

入ってきてくれ という言葉にガラッと扉が開いてそれは教室に足を踏み入れた。

茶髪のショートボブ

垂れ目で気弱そうな眼鏡の女の子

一目見て、可愛いな そう思った。

『ぇ、えっと、桜 美咲です、、よろしく、お願いします、!』

声は少し低くてなんだか中性的。私とは真逆

「じゃあ、そうだな、桜の席は菜直の隣だ」

モヤ

どうして隣にするんだろう。 何故かそう思った。桜さんは菜直のタイプの真逆。

問題はないはずなのに。でも、変に冷たくしたら菜直に嫌われてしまうかもしれない。ここは仲良くしよう。

「桜さん、だよね?私、椿って言うの!よろしくね?」

「ぇっ、あ、よ、ろしく、椿さん、、」

「僕は菜直。よろしくね」

「よ、よろしくお願いします、、、、」

「あはは、そんなかしこまらなくていいのに!仲良くしようね?」

「………..」

気に入らない。

…….今私は何を思った??

無意識だったのか、そんなことを一瞬桜さんに対して思ってしまった。そんなことない。桜さんは、ただの転校生。

そんなことない。そう自分に言い聞かせた

駄目。こんなこと思ってしまったら、菜直に嫌われる


桜さんは、あまり目立とうとしない性格で、転校生なのにあまり桜さんに人は集まったりしなかった。

だから自然と、私と菜直が桜さんの唯一の友達になっていた。

「桜さん、一緒に帰ろう」

「私も一緒に帰る〜!」

「あぁ、ごめん、、椿、今日は2人で帰りたくて」

「…え?…………ぁ、そ、なんだ、、わかった」

菜直の好みを敏感に知ろうとしていた私だからわかる。

もう前から分かってた。

菜直の桜さんを見る目線、表情。話し方。


好きなんだな


分かりたくなかった。つまりそういうこと。

菜直の好意が段々桜さんに近付く度、醜い感情が押し寄せてきた。

“ぽっと出の癖に”

“なんの努力もしてない癖に”

仕方ないと自分に言い聞かせてきた。桜さんに当たりたくなんてないから

だって桜さんは友達だから。

こんなこと思いたくなかった。

でもそんなある日の事だった。

「おはよう」

「ぇ……..ぁ.お、おはよう、、、」

私達3人はいつも3人で一緒に朝登校していた

でも今日は違った。

呼びかけても返事がなかった2人

寝坊かと思って先に行くと2人は席に座っていたんだ

「……先に、来てたんだ、、、?」

怒り、悲しみ、嫉妬

色々な負の感情を押し殺して、2人にそうたずねる

「たまたま早起きしてちょっと出かけたら偶然桜さんと会ってさ、それで一緒に行くことになったんだ」

「……..い、言ってくれれば、よかったのに、、はは、」

「椿さん、いつもギリギリまで寝てたいって言ってたから、、、起こしちゃ悪い、、かなって、、」

「……….」

わかってる。2人とも悪くない。

桜さんだって善意でそうしただけ。大丈夫。大丈夫

ただの、偶然だっただけで

大丈夫、だから

落ち着いて

「椿……さん、、?どうしたの、、?な、なんか、怒っ、てる?」

「っ、」

でも

「ううん、桜さん、ちょっと後で、、、話したいことがあるから校舎裏きて、」

「えっ?う、うん」

菜直に聞こえないように耳元で呟いた

「???」






「椿さん、、話って、何??」

「…………..」

「椿、さん?」

もう、いいか

この女、もう友達なんかじゃない

なんの努力もしてない癖に、菜直に好かれて

「桜さんはさ、菜直のこと好きなの?」

「えっ?いや、と、友達としては、、もちろん、好き、だよ?」

嘘つき

そんな真っ赤な顔をしながらよく言う

「……….」

「えっ、?どうしたの?」

「気持ち悪いんだよ、そうやって菜直に擦り寄って、、、!」

思わず固まる桜さんには目もくれず私は続ける

「…..どうしたら、、菜直はお前のこと好きじゃ無くなるのかな、、、?ずっと考えてたんだ」

私は懐からカッターを取り出して、かち、かち、と刃を出した

「…..なに、、、する、、つもりなの、、」

ごくり、唾を飲み込み、自分の白い肌に刃を入れた

それも血がそれなりに出るくらいには。


痛い

憎い

痛い

痛い

憎い

憎い

憎い

憎い

憎い


腕が、ドクドクと脈を打つリズムで体に激痛を与える。

呆然と立つ桜さんにカッターナイフを押し付け私は大きすぎず、小さすぎずの声量で叫んだ


この時間、菜直はここの近くの花壇で委員会の仕事をしている筈

だから、直ぐに来た。

ついでに近くに居た生徒達も

「なんだなんだ」

「うわっ!やば!!!」

「誰か先生呼べ!!」

「……..桜、、、さん、、?なにやって、、」

『違っ、、これは!!』

「酷い、、桜さん、、、私は友達だと思ってたのに、、、!」

菜直の好みの性格に近付くため磨いた演技力

こんなところで発揮する羽目になった

でも

「ごめん桜さん。流石にこれは信じられない、、」

『っ!!!』

「椿、保健室行こう。最低だよ桜さん」

効果は十分すぎるほど抜群

ただ、ちょっと深く切りすぎたらしく、軽い貧血を引き起こした。

でもこれで、菜直は桜さんのことを諦めるはず

これ以上はもう

「菜直!!!」

「桜さん」

「お願い、話を聞いて!!!!!!」

「いいよ。聞くだけ聞こうか」

まずい

「い、いやだ、、、怖いよ、、、もう、、もうやめて、、、、!」

『えっ、』

「椿!!……..はやくどこかに行ってよ。」

『は、話を、、』

「お前、ほんと自分のことばっかだな。椿がこんなに怖がってるのに、、、そんな子だとは思わなかった」

『………ごめんなさい。わかった、、、』


あぁ、もう嫌だ。

ごめんなさい桜さん。こんなことしたくなかった。

もうこれ以上は桜さんを傷付けたくないからもう諦めて

強い罪悪感を抱きながら菜直に泣きついた。

でも、


それと同時に



楽しさを覚えてしまった自分がいた

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