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続きとばかり両膝の裏に手を差しこんで、一瞬の動作で更に大きく開かせる。
「こんな風に俺に見られて、どう? アリカ」
「どうって何がだよっ……!」
「こんなに恥ずかしい格好させられてるんだよ。今、何考えてるの?」
「うぁぁ……ん、別にっ……」
「別に? 平気なの? 膝がこんなにブルブル震えてるのに?」
イクセが笑う。
「アリカの後ろもヒクヒク動いてるし、ココも先からどんどん溢れてるよ?」
「あっ……はぁっ」
言葉攻めに感じたアリカが身体をくねらせる。
「見つけた」
直接触れない代わりに、イクセはそこにフッと息を吹きかける。
「ヤぁ……あぁんんっ!」
アリカの腰がビクリと震え、垂れる液体がシーツをしとどに濡らしていく。
「アリカ、お尻の穴のそば。こんなところにこんな痕いくつもつけて。誰につけられたの?」
赤い印の1つ1つに息を吹きつける。
「はぁんっ……んなの、全部いっ……せがっ! じゃなくて、あっ……あっ、誰かなんて分かんなっ……ぁあん」
言い訳めいたセリフ。
せっかく考えたのだろうに、喘ぎ声のせいでほとんど聞き取れない。
「アリカ、これくらいでこんなに感じちゃこの仕事は大変じゃないの?」
「うるさっ……も、分かったよっ!」
アリカの手が、開かされた股の間から客の方へとのびる。
「アト、全部イクセさんのにして。だから早くっ……」
早くしてと腕をつかむ手。
「アリカ、こういう仕事してるなら、痕つけてなんて言っちゃいけないんだよ」
イクセの声は乾いていた。
吸い寄せられるように顔はアリカのうしろへ。
舌を差し込み、両手で尻を揉みほぐす。
手の力の入れ方で、舌が感じる圧もまた大きく違ってくるのだろう。
舌を抜いて、また挿れて。
もう一度抜いたら、今度は夕べ幾ヶ瀬がつけた痕を丹念に舐めまわした。
最後に音をたてて吸うと、ようやく唇を離す。
つけたばかりの赤い印を指先でなぞると、有夏の腰は痙攣した。
「あ……もぅ、幾ヶ瀬……ねぇ、はやく……」
「うん? イクセさん、だろ。アリカ」
「いぃ……から、も、いく……せ」
「こら、アリカ。おねだりだったらイクセさんにしなきゃ」
無理やり開かされていた足首をようやく解放してもらえて、上体を起こした有夏は幾ヶ瀬の膝の上に腰をおとす。
わざわざ触らなくとも分かった。
幾ヶ瀬の股間が、布の内側で固く大きくなっているのが。
「ほらぁ、幾ヶ瀬だって!」
もどかしい手つきでジッパーをおろし、片手をその隙間に差し込むと、まるで沸騰でもするかのような勢いで幾ヶ瀬のソレが飛び出してきた。
「コレ、はやく……」
先端の硬いところを、有夏の親指と人差し指がギュッとつまむ。
ニチニチと音をたてて、指は強く挟みつけるようにして擦り始めた。
「幾ヶ瀬、ね、挿れ……もうっ、分かったよ!」
もどかしさと苛立ち。
もぅ耐えられないというように有夏は相手の首筋に縋りついた。
唇で耳たぶを食み、囁く。
「イクセさん、ココの硬いとこ、アリカ大好き。だから早くナカ……」
「アリカ、そんなはしたないこと言って。駄目だよ……」
イクセにも言葉ほどの余裕はない。
アリカの指が動くたびに少量の白濁液が飛び散る有り様。
「イクなら内でイッたらいいのにぃ。早く挿れてくれなきゃ知らないよ? イクセさぁん?」
有夏だかアリカだかにおねだりされて、幾ヶ瀬は大きく顔を歪めた。
「有夏っ……」
細い両腕をつかんで押し倒す。
少し余裕のあるイクセさんは消えていて、目つきが一気に熱を帯びていた。
自身のそれに左手を添えて先端を有夏に押し当てると、無言で一気に沈み込む。
「んぁああっっっ」
奥まで貫かれ、有夏の膝がガクガク震えた。
幾ヶ瀬が腰を動かすたびに揺らぐような声をあげ、有夏の手は空中をさまよう。
その手をつかんで握り締める幾ヶ瀬。
震えが伝わるのだろう。
絶頂が近いのが分かる。
でも幾ヶ瀬の腰は動きを止めない。
可愛い恋人の奥を細かく刺すように犯し続ける。
「イッ……せっ、も、あぁ……ぁ」
この瞬間が終わるのが惜しくて、必死で耐えているその表情。
応えるように幾ヶ瀬も何事か呟くが、明瞭な言葉にはならなかった。
痙攣する下半身。
どちらからだろうか。
繋がったソレが大きくビクンと跳ね上がる。
大きな波。
ゆっくりと治まっていって、最後二人の身体は小さくヒクヒクと震える。
「……あり、か」
「なに……?」
有夏の身体を潰さんばかりにぐったりのしかかったまま、幾ヶ瀬は長い息を吐いた。
「ふふ……有夏」
「何?」
突然笑い出した男に対して、不審の声をあげる有夏。
「イイ線いってるのに、アリカすぐに素に戻るから」
「なに? ダメ出しされてんの? ちょ、重いんだけど。退けって」
押し退けようとする手をつかみ、手の平を合わせて指を絡ませる。
そのまま甘いキスを何度も。
「……はあっ、幾ヶ瀬。も、いって……ば」
唾液をダラリと頬に垂らして、有夏が息をつく。
「何でもっ……買ってくれるって言った、よね。有夏、欲しいものがある」
いろいろ我を忘れるくせに、そういうことはちゃんと覚えているらしい。
幾ヶ瀬は苦笑いで返した。
「どうかなぁ、今のじゃ買ってあげられないかなぁ」
「は? 何で」
「だってアリカ、男娼の仕事なにもしてなかったでしょ」
「男娼の仕事ってなに……。変態プレイに付き合ってやったってのに」
「変態プレイって……」
「てか、幾ヶ瀬はどういう世界にハマってんの? 心底キッモいわ」
今更ながら若干引き気味の有夏に対して、幾ヶ瀬は「だって楽しいでしょ」と笑う。
「俺だって分かってるから甘えが出ちゃうのかな。次は他のお客を相手にしてみよっか」
「ほかの客……それって何? 幾ヶ瀬、遂に有夏のこと売るの?」
有夏がぽかんと口を開けた。
遂にって何、そんなわけないでしょと幾ヶ瀬が有夏の上唇を舐める。
「だから、例の娼館の別の客って設定だって。イクセさんが来ない日にアリカを買った客で……」
「嘘だろ。まだ続くの、それ? 変態。幾ヶ瀬、へんったいっ!」
変態と言われニヤつく幾ヶ瀬。
「まぁいいでしょ。他の男に抱かれながらも心はイクセさんに、みたいな。身体は許すけど、キスはイクセさんとしかしない、みたいな」
「……自分でイクセさんとか言うし。キモすぎて死ぬ。てか有夏、そういう仕事だったらチューくらいするわ。誰とでもするわ。ガンガンするわ」
「有夏……!」
声をあげてから幾ヶ瀬、困ったように恋人の髪を撫でる。
「実際の有夏はそんな仕事しちゃ駄目だよ」
「うん。有夏、仕事しない」
「う、うん? 堂々とニート宣言を……」
指を絡めてベッドに重なったまま、二人はなかなか動こうとしない。
「それで、有夏の欲しいものって何なの?」
思い出したように幾ヶ瀬が顔をあげた。
ベッド、と有夏が答える。
「え、このベッドじゃ嫌? やっぱり狭いか。それとも自分用のが欲しいの? ちゃんとあるじゃない。有夏のゴミ屋敷……いや、隣りの部屋に」
ゴミ屋敷と言われ、頬を膨らませた有夏が「重い」ともぞもぞ動き出す。
「CMで見たやつ。電動式で頭の部分がウィーンって起き上がるアレ」
「……それって介護用じゃ」
「有夏、快適姿勢でゲームするよ」
一瞬でその状況を思い描いた幾ヶ瀬、有夏の両頬をバチンと音たてて挟んだ。
「そんなの買ってあげられません!」
「中世ヨーロッパの男娼館での営みを妄想シテみる」完
※読んでくれてありがとうございました。
次回は「覗いたときは事後でした」というお話だよ。