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賢一との初めてのデートが油壺マリンパークだった。そこが今月末に閉園になると知って行くことにした。
賢斗が生まれてプライベート用の車をミニクーパーからフォルクスワーゲンのミニバンに乗り換えた。
「まさか閉園になるとはね、あの時はペットを飼って一緒に来ようって言ったけど、それは叶わなかったな」
「でも私たちの思い出の場所に賢斗と一緒に来れて良かった」
「そうだね」
ペンギンやアザラシ興味深々の賢斗は指を指して「アレアレ」と楽しそうだ。
水槽では大きな魚や高足ガニは怖いのか、賢一の胸に顔をつけていやいやをしたり、イルカショーではジャンプするイルカをはしゃぎながら見ている。
「歴史のある水族館が閉館するのは、本当に寂しいね」
「そうだな、都市型の利便性の高い水族館もいいけど、こういうノスタルジックな水族館も落ち着いていいんだけどな」
館内から一旦外に出ると、カワウソのコーナーがありぬいぐるみのような可愛らしさに賢斗もすっかり夢中になり「うそ」と声をかけていた。
「そう言えば、このあと2人でホテルに行ったのよね、そこでカラオケしたり」
「2人の愛を確かめ合ったりね」
ふふふふ
あの頃はAyaの影に怯えたり、彩香さんと賢一を疑ったり色々あったけど、私は賢一の妻になり、賢斗の母になった。
「そろそろ、2人目が欲しくないか?」
「うん、賢斗の兄弟が欲しいかも」
お土産ショップで賢斗とほぼおなじ背丈のペンギンのぬいぐるみを購入して車に向かった。
素敵な思い出をありがとう。