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ささくれ
夜になっても、家の中の空気はあまり変わらなかった。
静かで、でもどこか張りつめている。
寝る時間になって、元貴は二階の部屋を確認して、すぐに顔をしかめた。
「……え、まじか。」
ダブルベッドしかない。
逃げ場のない事実に、舌打ちが出る。
元貴は即座に振り返る。
「若井」
視線の先にいる若井に、冷たく言い放つ。
「絶対入ってくんな」
それだけ。
拒絶ははっきりしていた。
若井は一瞬だけ目を見開く。
でもすぐに小さく頷く。
「……分かった」
そのまま、リビングのソファへ向かう。
夜は少し冷えていて、ソファは長時間寝るには向いていない。
体を丸めても、身長に合わず、どこか落ち着かない姿勢になる。
それでも若井は文句を言わない。
天井を見ながら、静かに目を閉じる。
少し経って。
元貴は部屋でスマホをいじっていた。
そのとき、ドアが小さく開く音がする。
「……」
気配。
振り向く前に、若井が部屋の中に入ってきていた。
手には、小さなリップ。
「あの……これ、忘れてたから」
棚にそっと置く。
それだけのために来たらしい。
元貴はすぐに顔をしかめる。
「……は?」
低い舌打ち。
「入ってくんなって言っただろ」
冷たい声がそのまま落ちる。
空気が一瞬止まる。
若井は少しだけ目を伏せる。
「あ、ごめん……」
小さく謝って、一歩下がる。
それ以上は言わない。
元貴は視線を外す。
「もういいから出てって」
突き放すように言う。
若井はもう一度小さく頷いて、静かにドアの方へ戻る。
「……ごめん」
それだけ残して、部屋を出ていく。
ドアが閉まる音。
そのあとに残るのは、スマホの光と、やけに広く感じる部屋の静けさだけで、どこか重たかった。
コメント
4件
え、1000いいね??? いままで見たことない👀👀w 古参からしてとても嬉しい🥲 もうほんとに最高! 最高すぎて喉から手が生えそう わほーつってw🐻️
1234いいねの時に見れた👍大森さん実は若のこと好きだったりしないかなぁ、