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「俺の為に死ねますか?」
そんな事を言われた。突然だった。教室に差し込む光は消え、二人だけの空間が広がる。
人格が変わったかのように笑顔が取れ、暗く、どこか悲しそうな瞳をして彼はそう言った。
「どうしたん?、ショッピ…」
あえて、答えを言わずショッピに問いかけた。
彼は咄嗟に今まだ通りの顔に戻り、慌てている様子で「気にしないでください」とだけ言い放ち、教室を後にする。
何だったのだろうか、さっきまでいつも通りくだらない話しをしていたのに、、
俺は不思議に思い、さっきからスマホをいじり隣に居た大先生に声をかけた
「なぁ、さっきのショッピ顔、青ざめてへんかった?」
あまり興味が無かったのか、見ていなかったのか、あるいはいつも通りだと判断したのか分からないが、適当に返事をされた。すると、
「そんな心配するんやったら、彼氏のコネシマさんが付き添って上げたらええやんw」
そう少し煽るように言われ、少し苛立ちが起き、多少大きめの声で言い返した。
「そんな大先生こそ、今月で何人目の彼女とヤるんですか〜?w」
「童貞のコネシマさんには到底わかりませんもんね〜w」
大先生も苛立ちが走ったのか知らないが、キレ気味で返答した
「はぁッッ〜?、そんなん俺だって、、、」
言い返したつもりだったが今振り返って見ればショッピと付き合ってからキスも、ハグも、恋人繋ぎも、デートにすら言った事も無かった。
思えば恋人らしい事を一度もした事が無かった。
すると大先生が考えた口調で喋っきた。
「不安になったんちゃう?本当に自分の事好きか、だから俺の為に死ねますか?って聞いたんやろ」
確かにそうかも知れない、ショッピの事を俺は全然知らない。もとは2人っきりで下校すらしない関係だった。
ショッピは普段からアプローチしてくれていたのかも知れない、俺はそれに気付かずにしていたから、不安になったと言われても納得できる。
しかしここで一つの疑問が生まれる。
「じゃあ何でショッピは焦っていたり青ざめてたん?」
無言の時間が続く。やはりそこだけが疑問だ。考え込む末に 大先生が口を開いた。
「ほら…あれ、奇跡的にに聞くタイミングが体調悪かったんやろ」
隙だらけだったが、ショッピは、詳しくは知らないが芸能活動をしているらしく多忙な生活を送り、 体調を崩し学校を休む日が度々あり、酷い時には1週間程度休む時もあった。
それ以外理由が思いつかなかったし、そこまで言及する必要は無いと思い、弁当を急いで食い四時限目に間に合わせるよう急足でグラウンドに向かった。
案の定ショッピは見学をしていた。ここまでくると、単位が取れなくなるなではと思ったが学校いわく、特別に支援をしているらしい。
そんな事を考えているうちに、サッカーの練習が始まった。
いつも通りパス連などをしていたら誰かが飛ばしたボールが勢いよく飛んでいき、大きな音を立て、静まった。
音のなった方へ顔を向けると、そこには涙目で鼻から血が出て、頬は少し腫れていたショッピの姿があった。
「ショッピッッ!!!」
俺と大先生は急いでショッピに駆け付けた。
血が凄く出ていて一瞬の出来事だったので慌てて保健室に連れて行く事にした。
無事大事には至らず、顔に後遺症ものからないそうだ。
「いや〜、びっくりしたわ」
「心配掛けてすいません。」
と、少し弱々しい声で返事が返って来た。
「それもあるけど急にシッマがショッピの事姫抱きして保健室連れてった事の方が驚いてんねん。」
思えば半ば強制的に姫抱きをしていた。ショッピとの仲を深めるつもりが、引かれてしまったかもしれない。
そんな考えが頭をよぎるが、恐る恐るショッピの顔を見ると少し、いや結構なほど顔が赤く染まっていた。
普段から煽り意識が高く、よく煽ったり、挑発をしたりするショッピが照れている現象にきっと、俺も大先生も硬直した。
それと同時にショッピを照れさせた達成感と喜びを俺の心の中に混ざり込み、少しぐちゃぐちゃした不思議な感情、感覚になった。
それを感じ取ったのか、ショッピは素早く布団で顔を隠した。
そんなショッピを可愛いと思ってしまう。これが恋人同士の感情なのだろうか。
そしてふと時間を見ると授業終了時間を迫っていて、察しの良い大先生は目配せで頑張れよーっと言われ、二人きりの空間を作ってくれた。
だが、疲れていたのか、気がつく時にはショッピはすでに眠りについてしまった。
そんな寝顔はとても愛おしく綺麗だった。そんな事を考えているとふとショッピは寝言を言った。
「わす…れ…ない…で…」
そんな言葉を発した。少し息苦しそうに…
忘れないで?どうゆうことなんだ。
意味が分からず、考えていたらチャイムがなってしまい、諦めて教室に戻った。
放課後になり初めてショッピと二人きりで帰れる事に成功した。しかし、初めてすぎ、気まずい空間が二人の周りを付きまとう。
例の件について聞こうにも聞けない…
会話は続かず、このまま家に着くのではないかと不安になる。
「人生の中で絶対にやりたい事とかありますか?」
少し意外な質問に戸惑うが、冷静になり頭をひねる。
特にやりたい事は無いが、強いて言うのであれば、毎日を後悔のないように過ごす…やな
やりたい事、ではないだろうが大切な人と悔いのないように過ごすのがしたい事ではある。
俺の回答を聞くと少し驚いて、真剣なような、安心したかのような顔をして俺にもう一つ尋ねてきた。
「ワイは部長にとってどんな存在ですか…?」
これまた回答に悩む。そうだなここで、恋人と答えるのが大半だろう。しかし、俺にとってショッピは…………、
「一番…大切な人、、かな…」
「そうなんすね。」
そう言って無反応のまま、曲がり角で別れてしまった。
どう応えるのが正解だったのか俺には分からない。ショッピの欲しかった答えと違っていたかもしれない。
だが、これは本当の事だ。
大好きだけど、大切な存在。俺にとってこれが最も正しい答えだったんだ。
だが、言葉が足りなかったかもしれない、不安になった俺は立ち止まり、大先生に電話をかけた。
何回かのコールで電話に出てくれた大先生に俺は今まで起きた事をあらいざらい話した。
大先生は何分か無言になり、口を開けた。
「シッマにとってこれが一番の最適解だったんならそれでいーんじゃない…」
とても典型的な答えだったが、言葉に凄く重みを感じた。
俺は大先生にお礼を言い、自分の家へ向かった。
「ただいま〜」
もちろん反応は無い。なんせ俺は昔、両親が事故で亡くなったそうだ。
悲しいと言う感情は俺には芽生えてこない。別に親の顔も覚えていないし、親がいなくたって生活に支障はでない。
でも、両親の事を思い出そうとしたり、考えたりすると、何故だか心臓が押し潰されそうだ。
この感覚は有り難きもの、の感覚では無いように感じる。どうしてだろうか…
ここまで読んでくださりありがとうございます。
展開が早いのは気にしないでください。。。
結構頑張りましたので 考察ぜひしてくださると嬉しいです