【お願い】
こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
この言葉に見覚えのない方はブラウザバックをお願い致します
ご本人様方とは一切関係ありません
ワードパレットでリクエストいただいた3つの言葉(サブタイトルになってます)を本文中に使用してのお話になります
ちょっとだけブラックな桃さんです
歌い手活動なんてしていると、同じ界隈に生息する人たちとの交流も重要だったりする。
情報交換の場にもなるし、今の界隈の流れや意識みたいなものを掴むこともできる。
だからたまに開かれる飲み会に参加することも重要な仕事の一つだと思っている。
だけどそうした「プロ意識」に対する価値観が合わない人がいるのも事実だ。
飲み会すら仕事の一環だと認識している自分とは違い、私欲を満たす出会いの場だと捉えている活動者もいる。
たとえば、今俺の斜め前にいる女。
ふわりと巻いた髪をポニーテールにして、舌っ足らずな口調で隣の…俺から見れば正面にいる男に話しかけている。
どこかで情報を得てきて、髪型も相手の好みに合わせているんだろう。
もうその時点で何を目的にしてこの飲み会に来たのか安易に想像できる。
男漁りなんてくだらないことを考えているらしいその頭の中身を想像しては、バレないようにグラスの下で嘲笑を漏らした。
甘えた声で、媚びるように話せばどんな相手でも自分に落ちると思ってる?
潤んだ目で見つめれば心を射抜けると思ってる?
テカテカにグロスを塗りたくった唇を少し開けば、食いついてくると思ってる?
…甘いんだよ。
特に、お前が今落とそうとしている男に関しては。
女の手が隣に伸ばされそうになったのを、意図せずとも自然と視界に捕らえた。
細くて白い指先が隣の男に触れそうになった瞬間、俺は「ふわぁ」と大きく欠伸を漏らす。
酒の入ったグラスを横に置きながらのそれに、俺の目の前でまろが「ないこ眠いん?」と尋ねてきた。
話が逸らされたそのせいで、今まさにまろの腕に触れそうだった女の手がピタリと止まる。
「んー…」
眠気に襲われたふりをして、もう一度欠伸を噛み殺す表情を作った。
それと同時にまろが手首につけた腕時計に視線をやる。
時間を確認すると飲み会が始まってから既に2時間ほどが経過していた。
もう抜けてもいい頃だと判断したんだろう。
ためらうことなく立ち上がり、まろは俺の腕を掴む。
「帰ろうか。明日も早いし」
「ん」
活動者なんて忙しい連中の集まりでもあるから、小一時間もすればこの場を抜けて帰る奴も出てくる。
だから俺たちがそうしても違和感を持たれることはない。
そう判断したまろが俺を立たせたせいで、その一連の流れを見やっていた女がわずかに目を見開いた。
後ろで結んだポニーテールが揺れる。
べ、と内心で舌を出して、俺は眠そうに目をとろんとさせたまま立ち上がった。
まろの手に支えられるようにして周囲に挨拶をすると、他の参加者も俺たちが抜けてしまうことを気にすることなく「またなー」と声をかけてくる。
「帰る前に、トイレ寄る」
幹事に代金を手渡して、俺はまろにそう言った。
鞄を手にしたままトイレに寄ると、そこに他の客はいなかった。
2人だけの空間が生まれ、それを無言で確認する。
どちらから言い合わせたわけでもないのに、当たり前のように共に一番奥の個室に入った。
「…ん…」
ドアに鍵をかけて、背を預ける。
そんな俺に勢いよくまろが唇を重ねてきた。
キスしているとき、俺の耳を捏ねるように触るのがまろの癖。
そのくすぐったいような感覚にはもうさすがに慣れてきていて、俺はされるがままにまろの首に自分の腕を回した。
「誰が眠いって?」
長いキスの後、まろが苦笑い気味に言う。
当然気づいていたらしい俺の「嘘」をそう口にするけれど、言葉ほど責める響きはない。
「だって、明らかにあの女お前狙いだったじゃん。気色悪いぐらいの甘ったるい声で話しかけて、上目遣いでじっと見つめて」
「妬いとるん?」
「まさか。ただバカな女だなーって思っただけ」
今まですぐに落とせてきたその辺の男と、まろを一緒にするなよ。
お前がどんな女の武器を使おうと、まろには通用するわけがない。
それこそ、「眠い」の一言で俺が全て持っていってしまえるのに。
「ああいう女が一番タチ悪い。今までモテてきただろうから、自分に落とせない男はいないって思ってるのが丸わかりで手に負えない」
「…俺からしたらないこの方が手に負えんわ」
困ったように笑いながらも、俺の耳に触れていた指が唇をなぞる。
それに応じるようにぞくりとした感覚が背中から腰まで走るのが好き。
「そんな俺が好きなくせに」
「…ふふ、うん、好き」
珍しく素直に答えてくれたと思ったら、また唇を塞がれる。
…あぁ、さてはこいつも酔ってんな。
重ね合わせた唇を甘く噛まれながら、そんなことを考えた。
最後茫然としながらも悔しそうに唇を噛みしめた女の顔を思い出しては、思わず口角が上がる。
お前が勝負をしかけることすらできなかった目の前の男が溺れているのは、他でもない俺なんだよ。
性格の悪いことを考えながらも、そんな俺を好きだとまろが言うから、俺も自分を嫌いにはなれないんだ。
多分、これから先もずっと。
コメント
3件
更新感謝です.ᐟ.ᐟ🙌✨ 最近あおばさんの小説見れなさすぎて見れてなかったぶん一気読みしてきました✋ 全部神作過ぎます.ᐟ.ᐟ 青さんが桃さんを気にかける力?とか桃さんの青さんへの独占欲というか...、 なんて言うか、。最高です.ᐟ.ᐟ👍 やっぱ青桃のイチャイチャは癒されますね...。
桃さんの独占欲といいますか、それこそブラックな感じが珍しくて新鮮ですっ💕 女性の方に動じない青さんでも桃さんの欠伸ひとつで気にかけるのがもうクリティカルヒットでしたꉂ🤭︎💕 でもその欠伸からの真意も理解してる青桃さんの熟年夫婦感がグサッと来てしまいました……😖😖💘 こういった青桃さんも大好きですー!!✨✨
今日も最高でしたっ!✨ 更新ありがとうございます♪ 桃さん青さんもう恋人?同士なのもまたいいですねっ(⑉• •⑉)❤︎ 今日は色々忙しくてやっと時間が出来た位に更新していただいてありがとうございます.ᐟ.ᐟ😭 疲れた心が癒されるって言うか、 本当にニヤニヤが止まりません