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翌朝の教室。
窓から差し込む陽射しはいつもと同じなのに、咲の胸は落ち着かなかった。
――悠真さん、浮気されて別れたって……。
ノートを開いても、昨日の亮の言葉がぐるぐると頭を回る。
先生の声は耳に入ってこず、文字を写す手も止まったままだ。
「咲、顔色悪いよ。大丈夫?」
隣の席の友達に声をかけられ、慌てて笑みを作る。
「うん、大丈夫。ちょっと寝不足なだけ」
嘘ではなかった。
夜更けまで、悠真のことを考えて眠れなかったのだから。
――もっと知りたい。けれど、それ以上近づいたら傷つくのかもしれない。
そんな迷いが、咲の胸を静かに締めつけていた。