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#目に見えぬモノに執着する者
僕の記憶に最初に刻まれているのは悲鳴とともに倒れていく家族だ。
僕を愛してはくれなかった家族。
それから僕は女に、愛にくらんだ。たくさんの女遊びを繰り返し、金を盗んで、それがバレて殺されそうになった。
僕はどこにいたらいいんだろう。路地裏の奥、ひとつの大きな扉があった。
それが僕には光にしか見えなかった。
ガチャッ
「お邪魔します。」
The Black Lounge。こんな場所、誰が来るんだよ。
『いらっしゃい。待っていたよ。』
カウンターから、中性的な顔立ちをした、男性が出てきた。名は元貴というらしい。
「あなただけですか、、?」
『あぁ、今はね。』
「今は、、?」
どうやら元貴さんには仲間がいたらしい。
今はお仲間さんたちどうしているんだろう。
でも、元貴さんの目を見ていると不思議と聞いてはいけないことのように感じた。
「お一人なんですね、。」
『うん。寂しいものだよ。』
っ…馬鹿馬鹿しい。そういえば、あの女…子供ができたって言ってたか、、?一回やっただけで、、ッくそっ、、
『君もでしょ…?』
そう言って僕を席に案内し、向かいの席に腰掛けた。
「少し…僕の話を聞いてもらってもいいですか、?」
元貴さんが小さく頷いた。俺は話した。誰にも愛されなかったこと。ずっとずっと寂しかったことも、、ねぇ、、助けてよ。
『そっか……大変だったね。』
慰めてくれたように感じた。こんなことをされるのは初めてだ。いじめ、虐待、詐欺。何が愛だよ。ふざけんな。
『でもね、君に忘れて欲しくないのは、ここが憩いの場でも救うための場所でもないってこと。』
元貴さんが何を言っているのか分からなかった。僕は今の言葉だけで十分……っ救われたんだ、、、
元貴さんがふらついた。急いで手を伸ばし、支えた。暖かい。それにしても細いな、元貴さんは。
そのまま元貴さんを抱きしめた。
唇に当たる暖かいモノ。
何が起きたか分からなかった。
元貴さんが僕にキスをした。
「っ……!!!!」
バタバタと抵抗する僕を元貴さんが押さえつける。
息がっ……できッ、、、ないッ
その時口の中に何かが入ってきた。
舌なんかじゃない。なんか、、液体……、、?
『飲み込んで。』
僕は言われるがまま飲み込んだ。
僕は引き寄せられるように元貴さんに抱きついた。
「元貴さんっ……!好き、、、です。」
『はぁ……』
元貴さんがため息をついた。
ダンッ!!
元貴さんが僕のことを蹴り倒した。
「っ!!何するんですかっ!」
『愛……?ふざけんなよ。なんも知らないくせに。』
その顔は、怒りの表情でも、悲しみの感情でもなく、ただ、哀れなものを見ているようだった。
あぁ……この人も僕を愛してはくれないんだ、、、
その時、元貴さんにスポットライトが当たる。
あぁ……影だ。影なら、僕のことを拒絶しない。愛してくれているかもしれない。
僕は元貴さんの影に恋をしたのかもしれない。影を愛でるかのように床に擦り着いた。
『そいつは存在しない。俺の作る幻想なんだよ。』
『教えてあげるよ。大切で愛おしくて痛くて惨めな、、俺の歌。ね……?一緒に堕ちよう。』
ッ!?なんだ……これ、、体がっ、、、気持ち悪いッ……目が痛い、、身体中が痛い。
「ァ”ァ”ァ”ァ”ァ”ッ」
俺の目から零れ出てくる真っ黒な石。
大切で愛おしくて痛くて惨め、、?
僕はただ、ステージへ上がる元貴さんの影をずっとずーっと見つめていた。
ひとりでの対応はもう……疲れたんだ。
若井、涼ちゃん、ごめん。
俺がちゃんと……磨いておくからね、、
それではまた。0時に、あっ……いや、、先にThe White Loungeがありましたね。
それでは……また、、、
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コメント
2件
辛い人にとって痛いのは天国なのかな…? めっちゃ好き