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森
森
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「寒いなぁ…」
窓から差し込む白い光に突き刺さりながら
その一言が何も無い空虚な部屋に溶け込んでいく
ロッキングチェアに座り、テーブルの上にある
花瓶に入った青い花にそっと触れる
視界に入っているのは倒れた椅子と
灰色のコンクリートだけ
(あれ?なんでここに?)
そう考えながらも頭の中では焦りはなく、
ただ何も考えずこのままでいたい。
と思っている自分がいた
立つ気力もない
後先なんか考えたくない
孤独でいたい
そんな自分では考えないような思考が過る
一いや、これは本心なのか?
突然、 意識が遠のき、目を瞑ってしまう
そうすると何かがフラッシュバックされる
木漏れ日が落ちる白い森の中
夕日に照れされ、そよ風に吹かれる草木
その上を空高く飛ぶ2匹の鳥
蒼い花から雫が滴る光景
手を繋いで愛し合う男性と女性
こちらに手を振っている純粋で無垢な子供
ギターを弾く凛々しい人
ピアノを弾く美しい人
その2人に囲まれ幸せそうに歌う人
意識が戻り、呟いた
「なんだこれ…?こんなの記憶ないのに。」
右目から1粒の雫が溢れ、頬を伝う
「あれ?なんで…泣いてるの?悲しいことなんか
無いはず… 」
「きっと、夢…だよね」
自分に言い聞かせるようあの事を忘れようとした
それでも涙は涙は止まらなかった
窓をぼんやりと眺め
何かを待つように体の力を抜き、座る
「…もう、疲れたな。眠いや」
「あと少しで還るから。待ってて」
その言葉が口から出ると
うつらうつらとゆっくり目を閉じていく
何も思い残すことが無いように…
「何か聞こえる、笑い声…?」
それでも目を瞑り続けた
「---!!」
誰かが呼ぶ声がして仕方なく目を開ける
まず目に入ったのは息を飲むような広大な自然
そしてそれを包み込むかのような青空
その中で白い鳥が1匹、
泳ぐかのように羽ばたいている
自分は崖の上に立っていて
青々とした草木、色鮮やかな花々に囲まれていた
(此処は…まるで…)
そんな事を思っていた瞬間、
また誰かが呼ぶ声がした
「---?」
「----!」
何を言っているのか分からないのだが
きっとそこへ向かわないといけない気がした
「あぁ…ただいま」
「もうすぐ其方に行くから」
そう言い、歩みを進めると
--「ぐしゃ」 っと、何かを踏み潰す音がした
けれど、そんな事気にすることもなく
手を伸ばし足を動かす
そうして体が宙に浮いた
-最期に見たのはあの満天な青空だけだった。
「ははっ 綺麗だなぁ」
「会いたかったよ。---、----。」
-end-