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教師「さぁ!やってみろ!自分の魔法を当てるんだ!」
教師の大きな声が、私に勇気と自信をくれる。実技の課題を達成させるために、私はまたあの的の前に立ちはだかった。
意識を的に当てることに集中。
魔力を心臓、肩、二の腕、前腕、指先へと移動させ、杖に集める。
そして、的に真っ直ぐ杖と視線を指し、お腹から声を張り上げる。
カゴメ「打てっ!」
杖先から白緑色の魔法弾が飛び、パァンっという音を立て、的に傷を付けた。
カゴメ「…や、やった!やったぁ!」
教師「うむ、よくやったなカゴメ。合格だ!」
教師は私を肩をポンと叩き、課題達成を告げた。
阿形「合格したんだ!よかったね!」
カゴメ「えぇ!本当に嬉しいわ!」
狐「カゴメさん、おめでとう御座います」
隈取「おう、本当によかっなあ!」
授業が始まる少し前の休み時間、彼らは私の課題達成のことを、あたかも自分のことのように喜んでいた。
いつもなら恥ずかしくなってすぐに話を終わらせてしまうけれど、今回はとても良い気分だ。
すると、ガラガラと音を立てながら、教師が戸を開けて教室に入ってきた。
教師「授業を始める前に、今月の学級新聞を配ります。前の席の生徒は後ろの席へ渡して下さい」
前に座る人から新聞を受け取り、私も後ろの人へそれを渡す。
新聞の見出しにチラリと目を通すと「牧場」や「家畜の失踪」という文字が見えた。
教師「では、授業を始めます。皆さん黒板に注目して下さい」
内容を読む間もなく、私たちは新聞を伏せ、授業を受ける姿勢を見せた。
教師「では本日の授業は『使い魔について』です。教科書の十面を見て下さい」
黒板に「使い魔の条件」と書き、箇条書きで単位的な説明を記していく。
教師「既に知っている者も多いかもしれませんが、改めて説明します。使い魔とは、本来人が扱う鳥や哺乳類などの生物の契約者です。契約の際、私達人は使い魔となる生物に知恵と言葉を与えます。一方で生物側は、その主となる者と共に生きることを誓う。この交換条件が成立して初めて、使い魔はその力を発揮します。ただし…」
黒板に書き記す白墨を、カンっと音を立ててこちらを振り返る教師の目は、眼鏡越しでも光っていることがわかった。
教師「生物の凶暴性が強い、もしくは主が使い魔を粗末に扱えば、契約は破綻します。その場合知恵を得た生物は、主を支配下に置き、最悪の場合…命を奪われることもあります!」
ここまでの内容を聞いた生徒が、わずかにざわめく。
教師「…そのため、使い魔を持つ場合は慎重に契約を決め、尚且つ丁寧に扱わなければなりません。皆さんもこの授業を通し、その危険性を理解した上で、使い魔を扱うよう心がけて下さい」
教師の説明が終わり、私たち生徒は筆記長に「使い魔について」を記録した。
教師「…さて、授業内容は以上です。質問はありますか?」
その言葉に真っ先に手を挙げたのは、前の席に座る勇くんだ。
勇「はい!」
教師「勇、質問は何ですか?」
勇「え、えっと。契約をする生物は爬虫類や両生類でも可能ですか?それに大きさとか…」
勇くんはおどおどしながらも、教師へ質問する。
教師「もちろん、生物の大きさや種類に条件はありません。しかし、その契約する生物が肉食動物、例えば熊や毒蛇などの危険な生物であればあるほど、主への危険性が高まります。ですので、契約をする際は慎重に選んで下さい」
勇「は、はい…ありがとうございます」
教師からの回答が終わると、窓の外から一羽のカラスが木に止まったのが見えた。