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「じゃあ、クルマん中で話してやるよ。今日は、俺のクルマで来たから」
銀河が話して、大学から少し離れた場所に止めているクルマに招いた。
メタルブラックのスポーツカーは、流線型の車体に艶やかなカラーが映えて、銀河の雰囲気にもよく似合っていた。
キーを挿し込むと、スポーツカーらしい唸りを上げてエンジンがかかった。
下から突き上げるような轟音が、助手席にまで響いて伝わってくる。
「店が始まるのにはまだ時間があるし、ちょっとドライブでもしようぜ」
言って、銀河がハンドルをつかんだ。
クルマが走り出してしばらくは、車内には低いエンジン音だけが聴こえていた。
赤信号でクルマがブレーキをかけて止まったのを見計らい、
「ねぇ…?」
と、銀河に声をかけた。
「ああ…さっきの話だろ? まぁ、理沙が俺に興味持ってくれたことだし、な……」
もったいをつけたようにそう言って、銀河が喋り始めた──。
「──昔の俺は、周りとあまり関わりたくなくて、ガッチガチに自分をガードしてるような奴だったんだよ。それこそ誰も寄せ付けないくらいにな…」
「…本当になの?」
今の人当たりがよさそうな銀河からは、そんなイメージは微塵も感じられなかった。
「ああ、だから俺って、陰がある男だって前にも言っただろ?」
銀河が口の端に軽い笑いを浮かべる。
「もう、そうやって、話を茶化さないでいいから」
「はいはい。……昔はな、周りの奴らが誰も信じられないしで…。……この風貌で、さんざいろいろといじられたしな…」
サングラスの奥に隠された紫の目は、格好の好奇の的だったろうことは、容易に想像がついた……。