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Ifの部屋、月明かりしか灯っていないスイートルーム。
カーテンの隙間から銀色の光が差し込み、シーツに寝転がるふたりを静かに照らしていた。
「まろちゃん……こっち、見すぎ」
「見たいんだよ。俺の恋人なんだから」
初兎はシーツを少しだけかぶって、うつ伏せ気味に顔を隠す。
けれど、背中に触れるIfの手のひらのぬくもりが、逃がさない。
「……ほんと、ずるいよ。まろちゃんの前だと、僕、全部見せたくなっちゃう」
「全部、見せて。……誰よりも、大事にするから」
さっきまで重なっていた熱の余韻が、部屋の空気にまだ漂っている。
初兎の髪に口づけしながら、Ifはゆっくりと言葉を紡ぐ。
「なあ、初兎。……これからもずっと、こうしていてくれる?」
「うん。僕も……まろちゃんのそばにいたい」
ふたりの手が指を絡め、静かに握り合う。
肌と心が全部触れ合っても、まだ足りないと思えるのは、もう恋なんて言葉じゃ足りないくらいに、深く繋がってしまっているから。
「……ねぇ、まろちゃん」
「ん?」
「好きって言って。……今の僕に、ちゃんと」
Ifはゆっくり顔を上げて、真剣な眼差しで初兎を見つめる。
「――好きだよ、初兎。誰にも渡したくないくらい、全部」
「……ふふ、僕も。僕だって、まろちゃんの全部が欲しいよ」
小さく唇が重なり、夜がまた静かに深くなる。
身体を預けるだけじゃ足りない、“好き”の証明を何度も繰り返しながら――
ふたりは、甘く満ちた夜に静かに溶けていった。