心はいつも暗がりで

kr side

kr「どうぞ〜」

俺が返事をするとドアが開いて1人の少年がカウンセリング室を覗いた

kr「座って座って」

手を椅子に向けて座るように誘導する

彼が座ると俺も正面の椅子に座った

kr「君は…シャークん君…で合ってるかな？」

今日来る生徒の名前が載ったリストを見ながら確認をする

shk「はい、俺はシャークんです。」

前髪が長くて目が隠れている

表情が分かりずらく今回の生徒は少々苦戦しそうだ

kr「早速だけど、君の悩み聞いていいかな？」

俺がそう問うと彼はひとつ頷き口を開いた

shk「俺には兄が4人います」

「ですが4人とも最近様子がおかしいんです」

「そこできりやん先生、俺に心理について、学ばせてください」

カーテンが靡き彼の瞳が見えた

真っ直ぐな瞳

その4人というのはきっと彼にとってとても大切なのだろう

kr「心理というものは決して簡単なものではない」

「1歩間違えれば人を苦しめてしまうかもしれない」

shk「分かってます、それでも…それでも…」

「俺は4人を救いたい！！！」

彼の声色は見かけとは違う何も恐れることのない、肉食動物のようだった

そんな彼を見て俺はシャークん君の隣に立ち、頭に手を乗せて言った

kr「よく言った、俺がお前を…お前らの悩みを解決してやるw」

shk「…！！！」

「よろしくお願いします！！！」

余程嬉しかったのか彼も席を立ち大きくお辞儀をした

kr「まずなにから教えようか…」

shk「……？」

shk「そんなに難しいんですか？」

首を傾げ考える彼

kr「教えるのには慣れてないもんだからねw」

「俺はいつも、ここで気持ちを和らげるために楽しい話をしたり、相談を受けてるだけだから」

shk「なるほど」

シャークん君は俺の言ったことに納得し頷く

shk「それなら俺が知りたいことを聞きますね」

本当に年下なのか、思うほどしっかりした子で内心驚いた

shk「人の悩みを探るには、どうしたらいいんですか？」

kr「無理には探らず相手が悩みを言いたくなるような雰囲気を作ること…かな」

俺は今までの経験を振り返りそう言った

shk「悩みを言いたくなるような雰囲気？」

簡単に言いすぎたせいか理解出来ていない様子で言葉を繰り返し疑問を浮かべる彼

kr「うん、例えば…ゆっくり話して心をリラックスさせてから流れで聞いてみるとか」

「兄弟なら一緒に過ごしてるだろうから、話とかしやすいんじゃないかな」

shk「きりやん先生、きりやん先生は人に心配をかけたくない、と思うことはありますか？」

再び俺は質問をされ、彼の言いたいことを理解した

それは

心配をかけたくない

そう思ってしまい相談しづらくなってしまうことが多くあるからだ

大切な人なら尚更だろう

俺も────

そうだった

kr「その時はね…」

「大切な人の傍にいてあげて」

shk side  shk宅

俺は今、きりやん先生に言われたことを実践しようとしている

俺の兄弟は4人そのうちの1人、nakamuにすることにした

nakamuは俺の双子の兄で1番仲がいいと言える

部屋だって同じ部屋だ。

一緒にいても誰も違和感を感じないだろう。

shk「nakamu〜！」

ソファーで甘味を貪る彼の隣に座る

nk「わっ…！」

「びっくりしたぁ…」

「どうしたの？シャークん。」

表情をコロコロ変えながらおしゃべりモードになるnakamu

shk「いや？なんにも？w」

nk「なにそれ〜w」

「さては、何か面白いことを隠してるだろ！」

shk「隠してねぇよw」

nk「言わないと、…」

言いかけたところでnakamuが喋らなくなる

shk「nakamu〜？」

nk「なんも思いつかなかったわw」

shk「俺に被害がないならよかったw」

nk「そんなこと言われると…被害をもたらしたくなるなぁw」

shk「やめろやめろ！w」

意味もない会話を続ける俺ら

俺は日常茶飯事だ

今は2人だが、5人集まればもっと大変なことになる

nk「今日のとこは許してやるよw」

「俺は勉強してくるな〜」

shk「よっしゃ…あ！待って！」

「俺も勉強する！」

nk「あのゲーム廃人のシャークんが!?!?」

「自ら勉強!?」

目を見開き俺を見つめる彼

実際驚くのにも納得がいく

俺はいつも勉強をしようとしない

でも今回は一緒に過ごすため、仕方なくだ、

仕方なく

shk「失礼なw俺だってする時はするよ！」

nk「今日は特別な日だ…brに言ってパーティしよう」

nk「デザートも用意してもらって…飾り付けも…！」

nk「あとはあとは…」

shk「大袈裟すぎだろ！w」

勝手に話を進めていくnakamu

早口が止まらない

shk「デザートはnakamuが食べたいだけでしょ？w」

nk「あ、バレた？w」

shk「何年nakamuと双子やってると思ってんだよw」

nk「あはは…w」

この時少し、nakamuは苦しそうに笑っていた