テラーノベル
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第1章 虹色の小窓
昔から決まって、大切な日は雨が降る。
小学校の入学式、前日から楽しみにしていた遠足、人生の分岐点で降る雨は〝雨男だから仕方ない〟なんて言葉で片付けてきたけれど、俺は案外嫌じゃなかった。
新しい出会いがあったり、新しい道を見つけたり、新しい自分を知ったり。
……そう、あの日もまさにそうだった。
土砂降りの雨に打たれて、リュックに響いた雨音。
「最悪……」
久しぶりの休日。
随分と前からこの日を楽しみにしていた俺は、山の麓で立ち尽くし、絶望の淵に立っていた。2号目付近に差し掛かり降り出した雨は、激しさを増し、流石にこの雨じゃ登れないと悟った。
このまま来た道を戻っては癪だからと、別ルートを選んで下山した。暫く歩いた先で、ふと視界に滲んだのは、薄くて柔らかな灯り。引き寄せられるように覗き込んだ一軒のお洒落な建物は、山小屋か、喫茶店か――。
どちらにせよこの雨だ。少しだけ、雨宿りのつもりでドアノブに手を掛けようとした、次の瞬間急に開いた扉に鼻を打ちそうになって、慌てて飛び退いた。
「ありがとうございました。またのご来店を…うわぁっ凄い雨、お気を付けて」
ステンドグラスで出来た玄関扉の小窓から、虹色の灯りが溢れている。カラコロとドアベルが鳴り、再び閉まったはずの扉が、すぐにまた開いた。
「いらっ……しゃい?ごめんね気付かなくって……ぶつけなかった?」
色白で綺麗な顔立ちの男性は、袖を捲りながら、艶のある横髪を耳にかける。
その仕草に、思わず目を奪われた。
クスッと笑ったその顔に、ふと、よく知っている誰かの面影が重なり、
俺は一瞬、言葉を失った。
「……あ」
声にならない音だけが零れ、
一拍遅れて、胸の奥で鼓動が強く脈打つ。
「とにかく入って?風邪引くといけないから」
そう言ってから、胸の奥で、遅れて鼓動が強く鳴った。
コメント
2件
ごめんなさい😭😭😭 第1話を飛ばして投稿してました💦 投稿の順番がおかしくなっちゃってすみません🙇🙏順番通りに並び替えています。 ごめんなさい