わたしは絶句した。
手からこぼれ落ちたのは、真っ赤な何か。
目の前に広がるのは、地獄に等しい惨状。
わたしは絶叫した。
ぐちゃりと足に触れた、誰かだった何か。
目を逸らせばまた、そこに広がる地獄。
わたしは懇願した。
無意識に探すのは、知っている誰か。
夢ならば覚めてくれと、誰に願えば叶う。
そしてわたしは誰かに問う。
わたしは、何者か。
何故、何も思い出せないのか。
ここは何処なのか。
わたしは走った。疑問よりも速く走った。
そうして、忘れた。忘れるまで走った。
脇目も振らずに走った。
わたしは、ついに立ち止まった。
呼吸を整え、まぶたを開けた。
わたしは絶句した。
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