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ぽすっ
僕は家に帰った。
仕事中もずっとあの言葉が……
『唯月さんはΩが嫌いなんだよ』
そんなはずない……
そうじゃなきゃ、
プルルプルル
電話だ……
誰だろう、
画面には唯月さんの名前があった。
本当は今すぐに話して、本当のことを聞きたい、
でも、上手く話せない、
そう思い、僕は電話を無視することにした。
「おはようございます、」
「おはよう」
僕は今日も大好きなコーヒー屋で働く。
「あれ?」
「なんですか?」
「首輪は?」
「外しました!」
そう、僕は首輪を外した。
唯月さんは僕のことを遊びとしか思っていなかったから。
噛み跡は絆創膏を貼って隠している。
カランカラン
「いらっしゃいませ」
「カフェオレで」
「かしこまりました」
唯月さんじゃない、
違う、違う、
唯月さんはもう忘れなきゃ、
「ごゆっくりお過ごし下さい」
僕の頭の片隅、いや、
真ん中に唯月さんがいる。
「陽太くん、ちょっと休憩しな」
「まだ、時間じゃ、」
「ほら、」
「はい、では、」
僕は店長に言われ、休憩を取ることにした。
そんなに変だったかな?
「陽太くん、大丈夫?」
「あれ?店長?なんで?」
「ちょっと、お店閉める」
なんで?僕のせい?
「ごめんなさい」
「何があったの?」
「なんで、言わなきゃ、」
僕は少し強く当たる。
こんなの八つ当たりだよ、
よりにもよって店長に、
「いや、言います」
「ああ、教えて」
僕は勇気を振り絞って、口を開く。
「僕がΩだから、」
「はぁ?」
「だって、Ωが嫌いって」
その瞬間、僕は店長に抱きしめられた。
「店長、?」
「悠」
「ぇ?」
「俺の名前、」
店長の名前、
違う、違う、なんで僕は、
抱きしめられて、
「陽太、俺と付き合お……」
どんっ
「何してんだよ」
「へ?」
唯月さん?
「今すぐ、離せよ」
なんで、唯月さんがここに?
ここって、スタッフ以外立ち入り禁止じゃ、
「はい、陽太くん、大好きな彼だよ、しっかりぶつけておいで」
「え、」
「行くぞ」
「唯月さん?」
唯月さん?
どういうこと?
僕のこと嫌いなんでしょ?
唯月さんは僕の腕を強く握りしめたまま、歩き出した。
「唯月さん!離して!」
「なんでだよ!やっと、やっと、」
「はっきり言ってよ!嫌いなら嫌いって!」
僕は泣きながら言う。
ここがお店の裏路地だってことも忘れて、
「やっと、番になれたんだよ、」
「でも、嫌いなんでしょ?」
「陽太は違う!」
何が違うの?
なんなの?
「Ωは苦手だ。だが、陽太のことは苦手になれない」
「ぇ…」
「陽太は大好きな人として、見ているんだ」
「そんな、」
唯月さんは僕のこと嫌いじゃないの?
「嫌いじゃない?」
「ああ、愛しているんだ」
唯月さんのその言葉には嘘が感じられなかった。
僕はたくさん泣いた。
その間、唯月さんは静かに優しく受け止めてくれた。