テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
風鈴高校、放課後。
桜は梅宮に「ちょっと、付き合え」と言われて、校舎の裏で待ち合わせていた。
今日はなんだか、いつもと違っていた。
「オイ、遅ぇぞ。なんだ、俺が待つってのか?」
桜は、腕を組みながら文句を言う。
「ごめん、遅れたか?今来たばっかだぞ」
梅宮の笑顔が眩しい。
その余裕たっぷりの顔が、桜の胸をどきりとさせた。
「っ…なんでお前、いつもそんなに余裕なんだよ…」
桜は少し口調を強くして言った。
でもその心の中では、梅宮のことがどんどん気になっていた。
梅宮は、桜に近づきながら笑う。
「なんでって、だって俺は、お前を守るって決めたからな」
その言葉に、桜の心臓が一瞬止まりそうになった。
「お、お前…ふざけんな!!そんな、あ、ありがた迷惑だ!!」
桜は、顔を真っ赤にしながら視線をそらした。
だけどその目の奥では、確かに「守ってほしい」と思っていた。
「じゃあ、お前のこと、俺が守ってやるよ」
梅宮の声が、少し低く、優しく響く。
桜はまた、心が震えるような感覚を覚えた。
「……ふざけんなよ、バカ。好きだっつってんだろ、何言ってんだよ…」
桜は、少し涙目になっていた。
その感情をどう言葉にすればいいのか分からなくて、ただただ強がっていた。
「桜、やっぱりお前、俺のこと……好きなんだな?」
梅宮は真剣な顔をして、桜の目をじっと見つめる。
その瞳に、桜は完全に息を呑んだ。
「好きじゃねぇし……!」
桜はその場で足を踏み鳴らして、顔を赤くしながら言った。
だけど、梅宮は一歩前に進み、桜の顔を両手で包み込んだ。
「じゃあ……これで、分かるかな?」
そのまま、梅宮はゆっくりと桜の唇にキスをした。
「んっ……!?」
桜は一瞬、硬直した。
キスの感触が、体中に広がる。
彼の唇の温かさが、胸の中にズドンと響いた。
キスが終わったあと、桜はすぐに顔を背けて、腕を振り回しながら叫ぶ。
「う、うるせぇ!!こんなこと、したって――好きになんかならねぇからなっ!!」
でもその言葉は、ただの照れ隠しだった。
梅宮は、にっこりと微笑みながら桜の肩をポンと叩く。
「じゃあ、俺に負けたってことだな。好きって、やっぱり言いたいんだろ?」
桜は、じっと梅宮の目を見つめる。
その瞳の中で、何かが少しずつ溶けていくのを感じた。
「………バカ。」
桜は小さな声でそう呟いた。
そして、梅宮の胸に顔をうずめるようにして、腕を絡ませた。
「……オレ、好きだよ、バカ……」
梅宮は優しく桜の頭を撫でながら、静かに言った。
「俺も、お前が好きだよ。桜。」
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!