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パチリと目を開けた。さっきまでの暗がりとは一転し、電気がつけられとても明るいところだった。突然の光に、目をしばたく。
少しの時間、そうして目を慣らしていると、ここが自分の知っている場所ではないと気づく。周りを見渡すとソファ、椅子が並べられた机、ぽつんとある扉が目に入る。
それ以外は何もなく、ただ静寂があっただけだった。
「ここ、どこなんだぞ……」
ぽつりとそう言葉が溢れた。
その言葉に反応したのかはわからないが、いつのまにか隣にいたフランシスがうめくような声を上げる。
「フ、フランシス!?なんでフランシスが…」
ハッとする。フランシスがいるということは、他にもいるのでは。慌てて周りをキョロキョロと見渡す。
やっぱり、みんながいた。その点については少し安堵する。しかしその安堵も束の間、一気に不信感を覚える。国の化身をこんなに集めるなんて、と。
とりあえず、みんなを起こそう。
「とりあえず、状況収集からあるな」
「んー、特に見覚えがあるってわけじゃないよね〜」
目が覚めたらどこかわからないところにいた為、まずは話し合うことにした。倒れていたみんなは、寝ていただけでどこか外傷があるというわけでもなかったので、そこは少し安心する。
「にしても…なんで俺達はここにいるんだ?」
「うふふ、アーサーくんがなんかしちゃったんじゃないの?」
「してねぇよ!!」
みんながそう話しているのを背景に、俺は自分で今の状況を考えた。
まずここにいるのは連合、枢軸、師匠、マシュー、ロヴィーノがいる。マシューは俺の、ロヴィーノはフェリシアーノの、師匠はルートヴィッヒの兄弟なのだからいるのだろうか。
そもそも、俺たち国の化身を誰にも悟られずこんなところへ閉じ込めるなんて、相当腕が立つやつなのだろう。
自分の記憶を探る。どうやってここに入れられたか、どうしてここにいるのかすらもわからない。
「…ねえ」
「どうしました?アルフレッドさん」
「みんな、どうやってここに入れられたか覚えているかい?」
沈黙。この沈黙でよくわかった。自分だけでない、皆直前の記憶がないのだ。
「…おかしい。なんでねぇんだ」
「まぁ…順当に考えれば、盛られちゃったよねぇ」
「俺らに効くような薬を一般人が持ってるわけねぇだろこのやろー」
「うーん、持ってても一般人なんかに捕まらないと思うけどねー」
「…まぁ、そうだな」
みんな多種多様な反応を見せる中、俺の隣にいた菊が顎に手を当て、みんなに問いかけた。
「みなさん、所持品はなにかありますか?」
その言葉にそれぞれが洋服を探る。かく言う俺も、洋服のポケットを探るなどしたがなにも見つけられなかった。記憶が正しければ、携帯を入れていた筈なのに。
やはりみんなも同じようで、何もないと話していた。そんなみんなの言葉に、少し残念そうにそうですか…と答えた。
これで、もう話すことはないだろう。またしてもこの部屋に沈黙が流れる。
…なんだろう、この妙な違和感は。誰かに見られているような、そんな。
ジジっとノイズが走る。
『突然閉じ込めて申し訳ない。国の化身達』
「誰だ。」
スピーカーなんてものはないのに。どうしてこんなに声が響いているのだろうか。それに、加工しているのだろう、言葉がよく聞き取れない。
『誰とはまだ言えないのだが…単刀直入に言う。今集めた国の化身の中にいる偽物を見つけて欲しい。』