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これはとある幼子の話。運命に呪われ、神にも見放された、少年の話



視点 少年

俺の人生は充実していた。小さな村の普通の家に産まれて、普通の幸せ、普通に生きて、親孝行なんかもして、暖かい家庭を築き、普通に死ぬはずだったんだ。

‘‘あんな事がなければ’’

「…んぅ??……っ!?」

目が覚めると、そこは地獄だった。

ツンと鼻を刺す酢っぱい香り

真っ赤に染まった自分の家

冷たくなってしまった両親

そして


血にまみれた己の手


「母さん…??ねぇ、父さん!!」

いくら呼んでも揺さぶっても、二人が目を覚ます事はもう無い。

「だ、だれか、助けを呼ばなきゃ。」

まだ15にも満たない経験不足の子供だ。大人に助けを求める判断は正しかった。おぼつかない足取りで、恐怖に侵されながらも家の戸を開けた

「っ!」

ガラララララ

「ぁ、…。」

…景色は、変わらなかった。

自分を慕ってくれていた村の子供達、

寺子屋の先生、

俺の、初恋の人。

「…、、なんで、誰が、、どうして、、」

消え入りそうな声だった。人生初の絶望、余りにも、余りにも酷い仕打ちだ

「…」

行く宛が無い。職もなければ保護者も居ない。

生きる手段が無かった。ならば仕方あるまい。

「……死のう」

村の離れにある池、とても澄んだ綺麗な水だった。どうせ死ぬのだ。場所なんてどうだって良かったが、足が勝手に動いた。

月明かりに照らされて水面に真っ赤な景色が写り込んでいる。まるで血の池だ

なんの気無しに覗き込んでみた。自分の顔が写る。

それが、いけなかった。

「…なんで、笑ってるんだよ。」


本能を刺激する良い香り

「違う…!!」

綺麗に染まった真っ赤な部屋

「そんな訳!!」

動かなくなったただの肉塊

「うぷっ、、。」

‘‘全部、俺がやった事だ。’’

「お゛ぇえっ゛」

少年の吐瀉物には、何かの肉が混じっていたそうだ。


これはとある人狼の話。運命に呪われ、神に見放され、狼にもなれなかった、半端者の話。


???「……大丈夫???」

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