テラーノベル
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背景side
9月8日土曜日の東郷中学校の学舎《まなびや》の空模様は曇空で紅く染まる時刻、丁度、下校を知らせる音楽が流れている最中《さなか》、、
北から来る風に抵抗出来ず風圧に押し流されるように校舎から出てくる赤毛の身長170くらいの男子生徒
誠side
俺は、ムシャクシャしていたので真っ直ぐに家に帰る気分ではなかった。
強風に押し流されるように独り学校から出る。
然《さ》り気無《げな》く空を見上げると、なんだか雲行きが怪しすぎる。
きっと明日は、雨だろう
そういや台風が接近してるんだっけな
ふと今朝見た天気予報を思い出す。
映画館行くなら今日しかねえよな
この機会を逃したらいつ行けるかわからねえし
明日は日曜で幸いにして学校お休み、兎《と》に角《かく》ムシャクシャしていたので行くしかない。
先ずはお袋が心配すると行けないので家に、スマホで電話することにした。
「あ、、お袋?俺だけど」
お袋「もしもし?どちら様ですか?」
警戒しているお袋の声
「あ?わりー、、名前名乗るの忘れてた。誠だよ」
お袋「どちらの誠ですか?」
「息子の誠だよ!」
お袋「本物の誠しか知らないことを質問します。」
毎度の事ながらめんどくせえー
お袋「本物の誠はチャラ男ですか?○か×で答えなさい。」
「×です。」
お袋「第二問!将来の夢は何ですか?」
「警察官!」
お袋「よろしー!全問正解!で、、誠?何?」
「気分転換に駅前の映画館で映画見てから帰るから」
お袋「わかったわ。また電話しなさいよ。駅前の映画館って言ったらあそこしかないわね。でも、確か、、?まあなんでもないわ。」
なにか言いかけて止めたお袋、あの時点で気づけば良かったのだが、その時の俺はそこまで頭が回らなかった。
一刻も早くこのもやもやを静めたい。
「ラジャー!じゃあ切るわ~またな~」
お袋「またね~気をつけて」
プツン、、、向こう側から電話が切れる音がする。
こんな調子で、お袋は警戒心むき出しである。
何故そこまでするかって?
今から四年くらい前の当時11才で俺が小学五年に進級したばかりの頃だ。
おれおれ詐欺グループについて調査中だった、飛騨《ひだ》勝正《かつまさ》巡査こと、俺の父は、何者かに射殺された。
死因は、拳銃の弾が頭部に貫通して脳にかなりのダメージで手の施《ほどこ》しようがなかったという。
当時の俺は、脳死でも心臓だけが動いていたので親父の死を中々受け入れることが出来なく、声を殺し泣いていた。
犯人は未だに捕まらず、いつの間にか犯人調査は、何の手がかりもないまま打ち切りとなって、、、
俺は、いつか自分の手で犯人を捕まえて、親父の無念を晴らしたく、親父と同じ警察官になる夢を持つようになった。
それに、サラリーマンより公務員の方が給料多いだろうし、お袋を一刻も早く安心させたい。
ここ四年、俺のために苦労かけさせてるからな。
そんなわけでめんどいが家に電話するときは毎回こんな感じだ。
流石になれたけどね。(笑)
いつの間にか目的地に到着した。
(ここまでは学校からバスで移動)
≪《軽井沢▪プリンスショッピングプラザ》≫
この建物は色んな店舗が入っていて時間潰しにピッタリなんだが、、、
う!あれ?映画館がない?
早速、正面入口に入り、案内掲示板を見たらあるはずの場所が子供の休憩場に変わっていた。
マジかよ!しゃあねぇ、、カラオケ行くか!
カラオケがある≪《プリンスボウル》≫は健在のようで良かった。
考えてみたら、ここにきたの久々じゃあねぇ?
こんだけ久々なら変わるよな~
しかしまた電話するのもめんど~だし、
いっか~電話しなくて~場所は同じだしな。
と心で呟くと早速、カラオケボックスへ、、
プリンスボウルは、ボーリングも遊べるが、声を出した方がもやもやもすっきりするので《《こっち》》の方が手っ取り早い。
天使好きな天使 テスト期間中
58
雪
54
#なつこさ
かは
1,609
朝晴ももか/新作出した✌️
139
どうやら《《カラオケ》》の受付もボーリングと同じカウンターのようで、、
カウンターへ向かい申込み終えると女子店員に部屋へ案内され
女子店員「では、ごゆっくり。何かございましたらインターフォンでどうぞ、、指定のお時間5分前にはインターフォンがなります」
白いうさみみカチューシャを頭に付け、黒いタキシード風レオタードに身を包み、お尻にはちゃんと丸い尻尾が付いていて見た感じ一言で言えば、バニーガールのコスプレだ。
またその格好が良く似合う綺麗な黒いストレートの髪の長いねぇちゃんで、、これまた恥じらいながら説明するので可愛らしい。
姉ちゃんが話終えると「では、ごゆっくりどうぞ、、、」と言い軽く会釈し、部屋から出てドアを外側から閉めた。
どうせ一人なので予めとりあえずは一時間にしておいた。
さて何歌うかな?
テーブルの上に置いてある端末機を両手で持つと、四角い液晶画面のメニュー項目をガン見し、知っている曲を片っ端から右人差し指でタッチして入れまくる。
カラオケの本体近くに固定されてあるマイクに目が行くと、右手で取り外し握るしめて電源をONに切り替えた。
そして、、、時間が経つのも早いもので歌いはじめてから30分経過して、流石に喉の奥が渇いてきた。
何か予め飲み物頼んどけば良かったと今更ながらに後悔しつつ残り30分歌いまくる事にした。
こんだけ歌えばモヤモヤも消えるだろう、、、
歌に没頭して独りで虚《むな》しくも我を忘れてマラカスを鳴らしリズムを取りながら歌っていると予約残り5分前を知らせるインターフォンが鳴り出した。
歌の途中ではあったけど気分はスッキリしたので心残りはなく満足だ。
受話器を取ると先程のねぇちゃんの声だと思うが
女性店員「そろそろお時間になりますので」
俺は、「わかりました。」と言い、受話器を下ろすとマイクをOFFにし、端末機とそれぞれの指定の場所に戻す、部屋を出てカウンターへと向かい、料金の支払いを済ませた。
左手首の腕時計を見て時間を確認する、21時か、、まだ家に電話するには少し早いと思った俺は、あちこち時間潰しにブラブラすることにした。
30分くらい歩き回っていたそんな時だ、クラスメートの田辺公美子に声をかけられたのは、、彼女は友達と一緒に、ブティックから出てくる所だったようで、、偶然にも店の前で鉢合わせしてしまった、、、
田辺「あら!飛騨くん、、こんばんは」
「よ!こんばんは」
俺は、田辺の隣にいる女性の顔を見て思わず唾をのんだ。
よく見ると啓祐に激似じゃねぇか
彼女と目が合った瞬間、急に田辺の後ろに彼女が隠れた。
田辺「あ、、彼女、、恥ずかしがりやなのよ」
俺の様子を見て不思議そうに首を傾げる田辺
田辺「飛騨くん?、、珍しい事もあるもんよね、、ここで偶然会うのもそうだけど、いつものチャラキャラどこへやらって感じ(笑)」
そりゃあそうだろ!
俺が今、凄く悩まされている《《アイツ》》に彼女が似すぎなんだから
髪形と服装除いては激似だし、、、
因みに彼女は、《《アイツ》》と同じ髪の色で癖毛のセミロングで
「田辺、、彼女は誰?」
《《チャラ男の時》》の俺なら直接本人に訊《たず》ねるのに、、《《今の自分》》は、照れくさくて出来ないでいた。
田辺「クスッ(苦笑)、、本当に飛騨くんなの?調子狂うんだけど、、彼女は、神条《かみじょう》啓子《けいこ》、啓祐くんの従妹よ」
「神条って、、アイツの従妹?」
従妹だからってこんなに似すぎは神様の嫌がらせか、、
もしかして、、俺に試練を与えてるんでは?
「あの、、、その、、啓子ちゃん、、はじめまして、俺、飛騨誠って言います。その、怖がらせたようでごめんね」
俺の中でチャラ男キャラが崩壊していった。
っていうか《《本来》》の自分に戻ったというべきが正しいわけだが
田辺「なに?クスッ、、飛騨くんらしからぬしゃべり方、、」
俺は、田辺を睨《にら》み付けて、いちいちうるせぇんだよって思いつつ、啓子ちゃんに何とか話しかけることに成功した。
彼女は、未だに田辺の後ろに隠れていて、なんでこんなに警戒されてるのか疑問に思うのだが、ようやく少しずつだが俺のところに歩みより
啓子ちゃん「よろしく、、、お願いします。」
と言ってくれた彼女の声は、俺が想像してたよりも澄んでいてかわいらしい声だった。
「二人とも、良かったら途中まで送るよ。その前にお袋に電話するから、、、待ってて」
田辺「本当にどうしたの?飛騨くん、、真面目かっ」
田辺がまた俺を茶化す。
「あ、、もしもし、、映画を観るつもりが映画館がなくなって仕方なく虚しく一人カラオケ、そのあとブラブラしてたら偶然にもクラスメートの女子に会ってさ。今から送ろうとしている、お袋の息子の誠だけど」
あ~やっぱりめんどくせぇ
お袋「アハハ、、正解!まどろこしい口振りは確かに本物の誠だね、、了解よ。但し、貴方も男の子でもこんな時間(22時)は危ないからそこで待ってなさいね。プリショプラ(プリンスショッピングプラザ)正面前でじっとしててね」
「ラジャー!」
お袋は、めんどくさがりやで、何でも省略したがる。
また凄くせっかちなので、よく周囲から見て誤解されがちだ。
田辺「なに?今の、、クスッ」
また笑ってやがる。
さりげなく啓子ちゃんの方を見たら彼女も声を出さずはにかむように笑っていた。
俺は、その可愛さに見とれて今から言おうとしている内容を忘れそうになったが、なんとか持ちこたえて、、
「お袋が今から車で送ってくれるそうだから正面前で待ってようぜ」
そう田辺に言うとさりげなくまた啓子ちゃんの方に目がいってしまう、、、
彼女と目が合ってしまった、啓子ちゃんの頬が段々赤く染まる、俺も、、、つられて顔が火照《ほて》ってくる。
二人で固まっていたらクラクションの音で我に返る。
田辺「おふたりさん、何、、固まってるの?あの迷惑な車がそうなんじゃない?さっきからクラクション鳴らすの止めないし(怒)」
その車に近づくと田辺の言う通りお袋だ。
「お袋、、(怒)なにやってんだよ?他の人の迷惑だろ!」
お袋「だって誠、全然こっち振り向かないし固まってるからじゃない!」
この迷惑行為をしている正体は、飛騨《ひだ》茜《あかね》こと俺の母ちゃんである。
相変わらずせっかちだなあ、、
早速、田辺を助手席へ座らせようと、車のドアを開けると田辺はお礼を言い中へしゃがみこむように入るとまた苦笑して座る。
次は啓子ちゃんに後ろの席の方へと促《うなが》すとドアを開けて、先に座るように仕向ける、今日の俺はジェントルマンさながらに彼女達を先にうまく誘導して座らせた。
その様子を見るなり再び田辺が苦笑いをしているようだが俺は、変な緊張感で怒りよりもそれどころではなく、ぎこちない動作で漸《ようや》く彼女の左隣に座るとドアを震えた右手で閉じ、車中でロックした。
お互いそれぞれシートベルトを締め終えても、俺が緊張してたせいか、出発するのに5分ほどかかったかもな、、
茜「さあ準備はOK?発進するわよ」
お袋は、エンジンをかけハンドルを構えると車のヘッドライトを点け、徐行し始めた。
そして、それぞれの家に送るつもりでいたのだが、、
啓子ちゃんは、田辺の所で泊まるそうなので田辺の家へと送ることに、、、
田辺は、運転中のお袋の隣でナビゲーターしていた。
俺はと言うと、折角、隣に啓子ちゃんがいるのに、緊張のあまり何も話さないまま、時間だけが過ぎて行きいつの間にか田辺の家に到着していた。
俺は、先に車から下りると、後部座席右側の方へ移動しドアを開け、出やすいよう、啓子ちゃんに向けて手を差し伸べる、、
彼女は俯《うつむ》いて恥じらいながらその手を掴み、ゆっくりしゃがみながら立ち上がり車から下りた。
あれ?なんかこの手の感覚、、どこかで?
彼女は無言で会釈すると突然走りだし逃げるように家の中へ入った。
今度は助手席の方へ移動し、ドアに手をかけ開けて、出やすいよう、手を差し伸べたが、見向きもされず、田辺は、自分で下り、自宅の玄関前まで来ると、俺は慌てて田辺を追いかけるようにして、色々話終えるとお袋が待つ車へ向かい再び後部座席に座ると疲れていたのか眠ってしまった。
「誠、起きなさい!着いたわよ」
お袋の声で目覚めると、見慣れた我が家に帰って来た。
我が家と言っても一戸建て邸宅ではなく、築30年の古アパートだが、、
その1Kの二階建てのアパート前で下ろされ、母ちゃんは自動車を戻すために少し離れた駐車場へと向かった。
俺は、お袋を待ちきれず、外側の階段で二階まで上ると非常口の扉を開け中へ入る。
暫く続く廊下を≪《204》≫の部屋目指してひたすら歩く。
漸く≪《204》≫の前に辿り着くと、扉の外側の下部分、新聞受けに右手を突っ込み隠して置いた鍵を取りだすと鍵穴に差し込み時計回りに回すとカチっとなった。
ドアノブに右手をかけ握り、手前へ扉を引くと中へ入り、内側から鍵を新聞受けに戻す。
中は真っ暗だが電気を点ける気分ではなく、手探りで学生靴を脱ぐ。
おそらく無造作にひっくり返ってるだろう。
暗闇の中、暫く手探りで歩いていると段々目が慣れ、薄暗がりでも今、どの部屋に居るのかうっすら見えてきた。
今は、台所かな?自分の部屋は、台所の先にあって障子で仕切られている。
障子らしき物に手が届くと両手で横に引き開け中へ入る。
なんとか自分の部屋?に辿り着く、、、
まだ、電気を点けたくなく、薄暗がりの中、窓に照らされている外灯を頼りに、床に脱ぎ捨ててあったパジャマ上下を拾い、制服を脱ぎ捨てそれに着替える。
布団?の上で、相変わらず電気も点けずにぼーと尻餅を着いている俺だった。
バタンとドアが開く音がして多分、お袋だろう。
急に部屋全体が明るくなったので眩しい。
カチンと音がしたのでお袋が電気を点けたのか、、、
余計なことしやがって、、、今は、余韻に浸りたいんだから電気点けんなっつうの、、、兎に角、俺、、良かった、、、何だか安堵《あんど》すると、、今まで悩み過ぎてチャラ男化していた自分が馬鹿らしくなり、急に笑いたい衝動にかられた。
そんな俺を見てお袋は心配になったようで
茜「誠?どうしたの?電気も点けないで、、、気でもふれた?突然笑いだして、、」
俺は、普通じゃん!ホモじゃねぇじゃん!アハハハ
今まで悩んでたのが、嘘のように俺の中で、
何かが吹っ切れたような気がした。
啓子ちゃんの存在!
きっと初めて本気で好きになった女の子だろうと自分で確信した。
コメント
1件
あら、第17話…!今回は誠くんの心の動きがすごく丁寧に描かれていて、惹き込まれました。お母さんとのやり取り、あの詐欺防止の確認が笑えるけど、父親の事件の重みがちゃんと背景にあるから、ただのギャグにならないのがいいですね。 そして啓子ちゃん登場!まさかの啓祐くんの従妹で、しかも「アイツ」に激似…。これはもう運命のイタズラとしか思えない。カラオケでモヤモヤを発散して、偶然の出会いでチャラ男キャラが崩れて本音の自分に戻る瞬間、すごく共感しました。ラストで「何かが吹っ切れた」って笑い出す誠くん、良かったなあ…。初めて本気で好きな子ができたんだなって、こっちまで温かい気持ちになりました。続きが気になります!