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「「涼ちゃん誕生日おめでと〜っ!!」」
声を揃えてお祝いの言葉を嬉しそうに述べてくれるふたり。そう、今日は俺の32歳の誕生日。
「というわけで、はい!涼ちゃんあーん」
「あっ、ずるい、若井は撮影でも涼ちゃんにあーんしてただろ!ほら、涼ちゃんこっち」
目の前に我先にと差し出されるふたつのスプーン。そのどちらにも、ひとくちでは入り切らないだろとつっこみたくなるほど大ぶりのケーキのかたまりが載せられていて。
「わぁ〜……ふたりともありがとう……でもこれ俺、口に入りきるかな?」
「いけるって、意地見せろよ32歳!」
ちょっといたずらっぽい笑みを浮かべてさらにスプーンを口に近づける元貴。もうほとんど唇に触れそうな距離だ。
「うあ〜、年齢あんま言わなくていいよ……だんだん嬉しくなくなってくるというか……」
なんで?と若井がきょとんしながら首を傾げる。
「俺は涼ちゃんが誕生日迎えるたび、その分長く一緒にいるんだなって実感できて嬉しいけど?」
若井って時々こう、思わず赤面してしまうようなことをさらっと言うよね。そういうところもカッコイイんだけれど……。俺が照れたのがふたりにも伝わったのか、若井は得意げににやりと笑い、そんな若井の態度も相まって元貴はちょっと拗ねたように頬を膨らませる。
「俺だって!涼ちゃんは何歳になっても素敵だし、最近は可愛さもなんだか増してきてるし、たとえ俺と合わせて小学生1人分くらい体重が増えてたってずーっと大好きだよ」
「ありがとう嬉しい……、嬉しいんだけどひとこと多くない?」
うるさい、とじれったそうに元貴はケーキを無理やり口に押しつけてきた。慌てて唇を開くも、もとからケーキのかたまりが大きいのもあり、べったりと口の周りにクリームがついたのが分かる。わ、でもこのケーキおいしい。クリームも重すぎなくて、いくらでもいけちゃいそう。
「どう?おいしい?俺が選んだんだよ」
目をきらきらさせて俺の顔を覗き込んでくる元貴。かわいいなぁ、もう。
「ほいひい〜」
「あははっ、涼ちゃん何言ってるか分かんねぇ」
元貴が大量につっこみすぎなんだよ、と若井はお腹を抱えて笑う。口の中のケーキがなくなるかどうかといううちに
「ほら、次は俺の番だから」
と若井が再びスプーンを差し出す。せめて1回口の周り拭かせてほしいんだけど……いや、若井の差し出してくれている量もおかしいな?多いよね?もういっか、と開き直ってスプーンに載せられたケーキにかぶりつく。本当にこのケーキおいしい。しかもデザインもかわいいんだよね、ふたりが我先にと崩しちゃったからもう見る影もないけど。
あぁ、でもこうやって毎年、大好きなふたりにお祝いしてもらえるなんて、幸せだなぁ。
「ふふ、ふたりともありがと。ふたりも食べようよ、ケーキ」
あーんしてあげよっか?とちょっと茶化しながら、スプーンを手に取ると
「あ、俺こっちでいいよ」
と若井が俺の顔に顎に手を添える。疑問に思う暇もなく、唇の周りについたクリームを舐め取られる。あぁ〜っと大きな声をあげたのは元貴だ。
「若井、またそうやって抜けがけしやがって!」
「だってクリームもったいないじゃん。それになんかエロかったし」
またそんなあけすけな物言いを……元貴を煽るだけだよ、なんて思っていたら案の定若井を押し退けるようにして今度は元貴が俺の唇に噛みつく。
「いひゃい!もときっ、俺はケーキじゃないんだけどっ」
「うるさいっ、だって涼ちゃんが俺より先に若井にキスされちゃうから!」
誕生日は俺がいちばんにって思ったのに!とむくれている。正確に言えば、若井は俺の唇の周りについたクリームを舐めとっただけなので、キスかと言われればグレーな気はするんだけれど。でもこうやって嫉妬をあらわにしている彼も可愛いので、あえて抵抗はしない。
「……まだクリームついてるから」
そういって頬に口付けたあと、唇の方へと舌を這わせ、そのまま優しく唇を舐める。ちょっとくすぐったい。やがて舌は口内へと侵入してくる。もはやクリーム関係ないよね。まぁいいか。だんだんと激しくなる口付けに思わず吐息をもらすと
「俺だけ置いてけぼりにしないでほしいんだけど?」
と若井が俺の背後からうなじに口付けを落とした。元貴の唇が離れて、俺は慌ててふたりの間からすり抜けようとする。しかし、ふたりに腕と肩をしっかりと掴まれていて、身動きが取れない。おっとぉ、これはまずい予感がしますよ。
「待って待って、ケーキまだ残ってるし、今日はゲーム気が済むまで付き合ってくれるんじゃなかった?」
「ケーキはヤリながらでも食えるよ、むしろその方が使い道が広がる」
若井なにいってんの??ケーキに食べる以外の用途ないよ??
「涼ちゃんたら知らないの?じゃあ俺たちで教えてあげなきゃね」
不敵な笑みを浮かべながら彼は優しく俺に口付ける。待ってよ〜!
「ゲームは、シたあとに思いっきりやろうね!」
言ったね?言ったね元貴??ちゃんと意識残す程度に手加減してくれるってことだよね??
「それは涼ちゃんの頑張り次第っ!」
彼はそれはそれは可愛らしい笑みを浮かべて悪魔のようなことを言う。その手は既に俺の服の中に侵入している。
これじゃあ、いつもと変わらないじゃない、俺の誕生日なのにさ。ちょっと文句を言ってやろうかと思ったけれど、「いつも」と変わらない、三人で過ごせるこの時間が何よりもかけがえなく愛おしいプレゼントだと分かっている。俺はそんな幸せがこの先もずっと続きますように、と心の中でそっと祈った。
※※※
涼ちゃんお誕生日おめでとう〜!!!
というわけで、3つのお話たのしんでいただけたでしょうか?
一応、3つともそれぞれ別の世界線で、付き合っている前提のお話になります。
「❤️」「💙」はそれぞれあえて情景描写や涼ちゃんの言葉は入れずに描いたうえでそれぞれの「会話の雰囲気」が表現できたら、と思ったのですがこれが案外難しかった〜!!伝わってたら嬉しいです( ´•ᴗ•ก )
「🎂」のような3人でのイチャイチャ系ははじめてかきました……溺愛系描いてて楽しいですね!(今の連載作品が重いからね←) せっかく誕生日企画なのでね、全パターン(?)の絡みをと思った次第でした()
もし良ければ気に入ったお話など感想もいただけたら嬉しいです〜
コメント
18件
今思ったけどもっくんとひろぱが涼ちゃんにキスしたらもとぱ関節キス、、?
もう見てて楽しすぎました…!!尊いをありがとうございました🙇🏻♡♡
どのお話も好きですが、、、やっぱり3人仲良しが好きです♥️💙💛 いろはさんのお話で読めて、嬉しいです✨