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#一次創作
つが
転校してきた殺し屋君第3章:復讐の鎮魂歌
第20話:氷下の死神 その1
降りしきる雨が、夜の街を白く煙らせていた。 海沼を失った学校の跡地。復讐の足掛かりを探す浩一の前に、その男は音もなく現れました。
深い紺色の着流しに、時代遅れの外套を羽織った中年。 氷河五露乃介(ひょうが ごろのすけ)。 組織の記録からさえ消された「幻の殺し屋」であり、かつて数百の同業者を氷の如き冷徹さで葬ったとされる伝説の剣術使いです。
「……君か。悲しみに暮れる若き掃除屋というのは」
氷河が歩くたび、周囲の空気が物理的に凍りつくような錯覚に陥ります。殺気が「霧」のように広がり、視界を奪っていく。
「どけ。俺の用は黒鷹と、その上の女だ」 「それはできない。私はあの方に、君という芽を摘むよう頼まれていてね」
氷河が腰の古刀を抜いた。 抜き放たれた白刃は、雨水を瞬時に凍りつかせるかのような冷気を放っています。
――――ッ!!
衝突は一瞬でした。 黒咲は佐藤(小曽根)から伝授された最速の踏み込みで懐を狙いますが、氷河の剣はその軌道を完全に読み切っていました。 金属音が響く。黒咲が手にしていたコンバットナイフが、氷河の最初の一太刀で根元から凍りつき、砕け散りました。
「……冷たい。なんだ、この剣は」 「私の剣は『静寂』。動けば動くほど、君の命は氷に閉ざされる」
氷河の剣術は、一切の無駄を排した「最小の円」を描く。黒咲は竹内(安藤)から教わった超感覚をフル回転させ、霧の中に消える氷河の影を追います。だが、霧はますます濃くなり、寒さが黒咲の傷ついた体を蝕んでいく。
「ハァ……ハァ……!」 冷気で肺が痛む。 氷河の切っ先が、黒咲の喉元をミリ単位で掠める。 「いい動きだ。だが、まだ『情』が残っている。その重荷がある限り、氷の如き私の刃には届かない」
氷河が剣を上段に構えた。 その瞬間、周囲の霧が渦を巻き、彼を中心に巨大な圧力となって黒咲を押し潰そうとします。
「黒咲雅樹。玲亜という少女と共に、君もここで眠るがいい」
必殺の一撃。黒咲は絶体絶命の窮地で、ある「違和感」に気づきました。氷河の冷徹な空気の奥底に、自分と同じ「喪失の痛み」を感じ取ったのです。
「……あんたも、俺と同じなのか?」
黒咲は、砕けたナイフの柄を逆手に握り直し、目を閉じました。 視界を捨て、霧の中に溶け込む氷河の「心」を捉える。 氷の剣術使い vs 復讐の掃除屋。 雨音さえも凍りつく静寂の中、極限の抜刀術が交差しようとしていました。
(つづく)
コメント
1件
うわ、このエピソードすごかった……!氷河の「静寂」の剣、その場の空気ごと凍らせる感覚が文章からひしひし伝わってきました。特に、黒咲が絶体絶命の中で相手の中に「喪失の痛み」を見つけるシーン、心臓を掴まれました。ただの力比べじゃなくて、互いの「情」が勝負を分けるんだなって。次、氷河の過去が見えるのかな……続きが気になって仕方ないです!