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コメント
3件
なんか…こう、…すごかった。 (語彙力消失) やっぱりあの街は定期的に話題に上がるべきよ。 最高のストーリーと最高の二次創作。ありがとうございました✨ てか、最後のキャラ紹介みたいなのバリ面白い 笑
懐かしいあの街を切り取ったみたいで…とても読み応えありました✨️

曖昧になった君に
🟦愛されRGB主体
人が人を守る時どんなことをするか、と考えて書いてみました。
大変キャラ崩壊。というか最早誰やねん。
長すぎて推敲しきれてない。ニュアンスで読んでくださいm(_ _)m
サムネイルの花束
ライラックの花言葉:思い出
アップルミントの花言葉:かけがえのない時間
なんだか凄く疲れている。何件も大型をハシゴして、犯罪禁止の通知が入るこの瞬間まで、自身の空腹さえ忘れていた。思い出した途端に腹の虫がぐうと鳴く。
銃声や怒号、爆発音が耳にこびりついて離れない。目の奥まで痛むのはきっとサーマルの見過ぎだ。
休みたい。粗方の犯罪が対応済だし、きっともうみんな本署に戻っているはずだ。俺も戻んなきゃ。
そんなことをぼんやりと考えていたら、ガンガン痛む頭がマトモな思考を振り落として、薄墨のような誘惑を持ちかけた。
もう足を動かすのも限界だ。ヘリをインパウンドすればいい。直近の記憶が消えれば、この疲労感も無くなってくれるのではないか?
その誘惑の名は、リスポーン。
掻き消えるようにヘリは飛行場に。
ふらつく俺の足は、体は、空中に。
【青井らだお ダウン】
ーーーーー
『すいません救急隊入ります!らだおさんのダウンのところ、誰もいなかったんですけど…誰か運んだりしてますかね?』
諸々の事件対応が終わり、業務の終了を感じていた頃だった。突然入ったらだおのダウン通知。無線で呼びかけるも返事はなく、現場を見てくると皇帝が椅子を立った瞬間に神崎から入った報せ。
『こちらでは誰も回収していないぞ。』
「…誘拐?」「またぁ?」
何気に攫われた経験のあるらだお。知っているものはその可能性を口に出し、苦笑いした。
しかし無線1番に飛び込んだもうひとつの報せに、警官たちは慌てることとなる。
『青ちゃんっ、青井さんがっ!病院のベッドに現れました!!』
最初に発見したのはがみともだった。らだおのダウン体を待つべく大部屋の処置台を整えていたとき、2つ隣のベッドに突然人影が横たわる。見ればそれは今救急隊が最も探している人物で。
「青ちゃんっ!?なんで、え、大丈夫!?」
イマイチ焦点の合っていない目がゆっくりとこちらを捉え、掠れた声で言った。
「…誰…?」
がみともは飛び退き、処置室から受付まで思わず走る。病院ということも忘れ、そこに居た隊長とよつはに叫んだ。
「隊長!よつは先生!…青ちゃんがっ、」
「…こんにちは〜。お名前言えるかしら?」
「……名前、は…。…ごめんなさい、わかんない、です…。…あれ…、?おれ…、」
「ううんいいのよ。ありがとう。」
よつはは隊長に目配せをする。隊長の持つカルテには、記憶喪失、そう記された。
過去、ダウン放置に耐えかねたつぼ浦もリスポーンを行い、街に来てからの記憶の一切を飛ばした事があった。その他にも、ダウンの前後の記憶を失う患者は多々いた。しかしらだおは。
「あの、ここ…どこですか…?おれ、なにも、わかんなくて…。えっと…、」
「青ちゃ、青井さん。あなたは青井らだお。そして、ここはロスサントスっていう街の病院です。」
「病院…。」
ハリのない声ががみともの言葉を反芻する。
隊長はがみともに残るように言い、よつはと共に部屋を出た。
部屋の外にはいつ来たのか、ミンドリーと皇帝の姿があった。2人は隊長に目だけで訴える。同期は無事かと。
「…結論から言わせてもらう。らだおは恐らく、自殺だ。」
「え…?」「…は?」
「リスポーンは基本、自分の意思で行うもの。それを、助けに行けない距離でもなく、事件対応の真っ只中でもないあのタイミングで、となると…。…直接の死因は、…言った方がいいか?」
「…いや、大丈夫です。」
全身打撲の単語を聞くことなく2人は会話を断ち切る。脳内を埋め尽くすのは「なんで」の三文字。いや、思い当たる事が幾つもあった。日夜続く犯罪、師の闇堕ち、たった1人空に飛び続ける負担と孤独を2人が知らないわけがない。それにらだおが限界を迎えていたこと。気付けなかった。それが何より嫌だった。
…尚、らだおは疲れきったぐちゃぐちゃの頭であんぽんたんな行動に出ただけなのだが、それを知る術は今の彼らには無い。
隊長は俯く2人に重くなった口を再度開く。
「最悪なのが、らだおくんの記憶が、ほとんど何も残っていない…ことなんだ。」
「何も、って、」
「…自分の名前も、ここがどこかも覚えていなかった。がみとものことも、誰?って…な。」
「…そんな。」
皇帝が目を見開く。ドリーが拳を強く握る。
「これに関しては我々にも分からない。なんせ過去の症例もマチマチでな。まあでも!大抵は記憶も戻るから!大丈夫だろう!…それまでは、サポートしてやってくれ。」
隊長は2人を病室へ通した。同期の事なら覚えているかもしれない、そんな期待を淡くのせて。
「…あ、隊長。と、皇帝、ドリーさん。」
「がみともさん。らだおくんは。」
「…今は、眠ってます。脳機能に異常は無いです。本当に…記憶だけ、何も無くなっちゃってて、」
泣きそうな目を仮面の隙から覗かせるがみとも。青髪の下、染み付いた薄いくまを白衣の袖でそっと撫でた。
「でも、きっと警察の人達なら、青ちゃんも伸び伸び出来るだろうし!…思い出してくれるよね。俺のことも。」
無理やりに笑うその笑顔が痛々しい。それでも職務を全うする赤兎がみともに、皇帝は医者という存在の大きさを知った。
外傷はなく意識もはっきりしているため、ひとまずは3日間だけの入院となった。眠ったままの同期に別れを告げ、2人はパトカーに乗って本署へ帰る。
駐車場にはらだおの安否を知ろうと警官が固まって2人を待っていた。その中から署長を呼び出し、会議室へ向かう。いつになく神妙な面持ちの2人に署長はどこか居心地が悪かった。
「…らだおくん、自殺の可能性が高いそうです。」
「なんだって?そりゃ一体、どういう事だ。」
当たり前に驚いて、署長は眉間に皺を寄せた。沈黙で続きを促す。
時々詰まるドリーに皇帝が助けを出し、代わる代わる見聞きしたことを話した。署長は最後まで黙って聞いていた。
いずれは記憶も戻るだろうから、と皇帝が呟いた所で、ドリーが声を固くして言った。
「俺は、らだおくんの記憶が戻るまでは、彼が警察だった事を教えない方がいいと思います。」
「何故だ!?ドリー!お前はらだおに戻ってきて欲しくないのか!?」
「っそりゃ、戻ってきて欲しいよ。またヘリにも乗って欲しいけど…でも、」
サングラスの下で瞳が揺れる。署長も皇帝も見たことがない、初めての表情だった。
「でもさ、らだおくんは自ら、記憶を失ったんだよ…?それなのに、また警察やらせるのは、俺達のエゴなんじゃないかって、」
「そんなことはッ、…、」
「いのちだいじに」を地で行くらだおが自ら身を投げた事がドリーを揺らした。遠い夏の日から今まで、ずっと頑張ってきたその記憶を、辛く苦く楽しかった記憶を、身を投じてまで投げ打ったそれを、思い出させることが酷い悪行のように思えてしまうのだ。
単なる歪みで丸ごと消えた記憶。ドリーはそれに意味を見出してしまった。らだお自ら全てを捨てたと思ってしまった。
ずっと握りしめていたグローブの手のひらには爪がくい込んだ跡が出来ている。溢れ落ちる何かを掴んでいたいと、無意識に作った拳。黙ってしまった署長と皇帝を尻目に、ドリーは壁を殴った。
「…すいません。でも、これを考えるのは必要なことだと思います。」
ドリーは会議室を出た。
1人出て行っただけで体感温度の下がった部屋、皇帝はガシガシと頭を搔く。
「……そんなの分かってるよ……ッ。」
「皇帝…。」
仲が良く、チョケて殴り合うような喧嘩しか見たことがなかった2人が、すれ違って分断してしまった。かける言葉が見つからず、署長はその手をウロウロと彷徨わせる。
「……署長、我はまだらだおと一緒に、警察で居たいぞ。」
「ああ…。それはもちろん、私も同じ気持ちだ。」
「でも、それがらだおのためになるのか、我には分からん。………らだおの処遇、任せたい。」
「………分かった。明日には取り決めて全体通知を出すようにするよ。皇帝も休んでくれ。仮にも仕事終わりだろう。」
後輩たちには見せることのない、不安げで悩ましそうな顔。久しく見ることの無かった顔、こんな事が起きなければ、二度と見ることが無かったかもしれない顔。署長は苦虫を噛み潰したように、また静かにため息をついた。
悩み抜いて署長が出した方針。
「らだおは療養のため警察から一時解雇という形をとろうと思う。」
「えーっ!?」「そんなに怪我ひどいんですか?」
上官以外の署員には詳細を教えず、かつらだおにも警察であったことを伝えない。その上でらだおを警察の保護管理下に置き、事情を知る者でケアを行う。
「我らは友達という体で行く。」
「…それがいいね。」
署長の後ろに並んで立った皇帝とドリーは声を潜めて画策した。今日は午後から病室へ出入りしても良いと言われている。それまでに、最初の挨拶を考えておかなければ。
ーーーーー
「失礼します。らだおくん、こんにちは。」
「邪魔するぞ、らだお。」
軽いノックと共に名を名乗り、数時間ぶりに同期の顔を拝んだ。
水色の入院服と白い壁、更に白いベッドと午後の日差しがまるで絵画のようにらだおを囲う。2人を見てらだおは少し目を泳がせるが、どうぞ、と招き入れた。
パイプ椅子を引き摺らないように動かし、ベッドに近すぎない程度に並べて腰掛ける。
「俺達のこと、分かる?」
核心、それでいて一番聞きたかったこと。半ば縋るような思いでドリーは訊ねる。
らだおは、きゅ、と口を引き結び、視線から逃げるように目を伏せた。
「………ごめんなさい。」
「……そっか。……俺達ね、らだおくんの、…友達なんだ。俺がミンドリーで、」
「我は、ニックス リア。らだおには皇帝と呼ばれていた。」
嘘はついていない。それなのにこの罪悪感は何なのか。じりじりと焦がれ焼け付くような痛みが胸に居座っている。それに気付かないふりをして、ただ柔らかく笑顔を努める。2人はもう泣き出したくなるくらい、青井らだおという人間に執着していた。
亜麻色の瞳がうっすら不安を滲ませながら、それでいて穏やかに2人を見つめる。
「…ミンドリーさん、と、皇帝…さん。」
「さん付けはやめて欲しいなぁ。俺達友達だよ?」
「ミンドリー…、」
「ドリー。」
「…ドリー、皇帝。」
「…うん、おはよう。らだおくん。」
「おはよう、らだお!」
眩しいくらいの笑顔を浴びせてやる皇帝。包み込むような穏やかな表情のドリー。最初よりかは和らいだ笑みのらだお。誰がどう見たってロス市警黄金世代の、和やかな時間だった。
「聞きたいことがあったらなんでも聞け、我らはお前の味方だからな。欲しいものでもいい。」
「ありがとう。今は大丈夫。」
「本当?行きたいところとかでもいいんだよ?」
「行きたいとこ…ご飯屋さんとか…?」
ほとんど反射で病室から飛び出し、隊長から外出許可をもぎ取った。らだおには数少ない私服を着せ、元々私服だった2人も相まってまるでお忍びデートだ。
スピード感のある2人からのもてなしにらだおはくふくふと笑う。思い出せなくて、未だ知らない人とほとんど変わりはないのに、居心地が良くて、暖かかった。
「皇帝、何処がいいかな。」
「あー…ToYなんてどうだ?あそこならもも先もいるし、何かと安全だろ。」
「いいね、そうしようか。じゃあらだおくん、シートベルトしてね。」
「はあい。」
ドリーのサルタン。後部座席にらだおと皇帝が乗り、お行儀よくおしゃべりしている。なんとなく羨ましいドリーだが、今は安全運転を心がけなければ、と今までで一番丁寧な発進をした。
ーーーーー
「それじゃ、気をつけてね。らだおくんまたいつでも来ていいんだからね。またね。」
「うん、ありがとう。ましろせんせえ。」
ToYにはももみ、ましろ、鳥野が出勤していた。揚げパンと牛乳、カレーライスなんかを注文して、至極幸せな時間を過ごして。
そろそろ帰る、となってましろが駆け寄り、にぎにぎギュムギュムらだおの手を握って声をかけた。ハグ、なんなら頭まで撫でられて、むず痒くてつい口元が緩む。お返しになるかは分からないが思い切ってましろを抱きしめてみた。「はぅ、」と変な声がよく分からないところから出て困惑するましろ。
「またね。ましろせんせ。」
「…ま、またね、」
ドリーと皇帝の元へ向かうと、2人はにこやかにらだおを呼んだ。らだおは気づかないが2人の脳内は「羨ましい!」で埋め尽くされている。
ポヤポヤのふわんふわんになってしまった同期はあまりに心臓に悪い。ましろの心中お察し、それはそれとして羨ましい。
「それじゃ、病院まで送るよ。」
「ありがとう。……ふふ。」
「楽しかったか?」
「うん。……いい人ばっかりだなあ、って。」
皇帝は心の中で叫ぶ。
(それはお前…お前だからだよ……。)
愛されているのだ。我が同期、青井らだおという人は。
ーーーーー
3日経って退院。定期的に通院する以外は3人してドリーの家で過ごすことになった。皇帝もらだおも家無しであるから都合が良かった。
2週間、3週間と過ごしてもらだおの記憶が戻る素振りはない。2人が必死に遠ざけていたから。
それでも、時は進むものである。
「皇帝たちのお仕事見に行きたい。」
寝巻きから着替えていた2人にらだおは言った。ボタンを留めていた手をピタリと止めてドリーは振り向く。
「あ…や、ダメなら、いいの。留守番してる。」
きゅむ、とクッションを抱いて小さくなるらだお。
2人は悩んだ。まだ、らだおの過去についてはなにも教えていない。既に自分達が警察をしている事は伝えていたが、その時点では記憶が戻る事は無かった。警察関連はトリガーでは無いのかもしれない。
皇帝がちらりとドリーを見る。ドリーも皇帝を見る。
「我はいいと思う。」
「…うん。」
記憶が戻るかどうかなんて分からない。
らだおがやりたいと言うことならやらせてあげたい。それは2人の共通認識だった。
来るに任せよう。
「じゃあ、一緒に行こうか。」
ーーーーー
署員に出会わないように、出くわしてもらだおと分からないように。あまり人の通らない裏口から、パーカーのフードを深く被らせて本署に入った。
オフィス、牢屋、武器庫、ロビー。順々に回って行って、簡単な説明をする。上官になってから増えた、体験を見ている時のようだった。らだおも教える側であったはずなのに。そんな事を考えたって仕方ないのだ。
「…屋上、かな。あとは。」
エレベーターの前で立ち止まるドリー。その少しの躊躇いが、皇帝には痛いほど分かった。
「ドリー?」
「…なんでもない。行こう。」
1分にも満たない箱の中が永遠に感じられる。ドリーは一点を見つめていた。
ひゅる、と風が通り抜ける音がする。1歩踏み出して、眼前の青にらだおは息を飲んだ。
「……はぁ…!」
本署の建物はこの街の中では低い方だが、それでも空は大きく見える。橋の方から吹いてくる風がフードを脱がした。
「気持ちいいね、ここ。俺、ここ好きかも。」
花が綻ぶようにらだおは笑う。青い髪が空に溶けてしまいそうだ、目を細めて皇帝は思った。
ドリーが1歩前へ出る。
「……らだおくん。今、幸せ?」
風が三つ編みを揺らす。真っ直ぐ前を、らだおを見つめる。
「…うん。すごく。」
青く煌めいて、らだおは笑った。
「……良かった。」
それは自己満足だ。エゴだ。記憶を失う前よりも彼を満たす事が出来ていると思いたいが為の質問だ。過去の彼への、一方的な懺悔だ。
「らだお、ヘリに乗ってみないか?」
ドリーが俯く寸前に皇帝が言った。皇帝はヘリポートマークの上に立ち、手をかざす。
ぶわっ、と風がいっそう強くなりマーベリックが姿を表す。
「…っ乗る!!」
目を輝かせて皇帝の手を取り、らだおは助手席に飛び乗る。皇帝はらだおの向こう、立ちすくむドリーを見た。
「ドリー早く来い!置いてくぞ!」
「っ乗る、から、待って!」
ドリーが乗り込む間に皇帝はらだおにベルトやヘルメットを付けてやった。それをワクワクとした様子で受け入れるらだお。
これがファンタジーやそこらのお涙頂戴話なら、らだおはここで記憶を取り戻すだろう。自身の手となり足となり羽となっていたヘリを見ることで。
(やっぱりダメか。)
声に出さずに皇帝は呟いた。
カチリ、とドリーがベルトをした音と共に、独特の浮遊感が3人を襲う。操縦桿を引きつつ高度を上げていく。耳鳴りが収まって、今3人はこの街の何処より高いところにいた。
「すっげえ…!皇帝!すごい!ビルがあんなちっちゃい!」
「そうだろ!ヘリはいいぞらだお!どこへでもひとっ飛びだ!」
「いいな〜俺も運転してみたぁい…。」
「……ッ、そう、だな!そのうち教えてやろう!」
「ほんと!?やったぁ!」
地雷源でタップダンスしてるなぁ、らだおくんらしいっちゃ、らしいけど。記憶を戻さない方がいいのか、でも思い出してくれた方が嬉しいし、なんて葛藤に焼かれてドリーは若干心が折れていた。それをなんとなく察して皇帝はスピードを緩める。
ウキウキしたオーラのままらだおは窓の外を楽しげに眺め、鼻歌でも歌いそうな雰囲気だ。ビルの遥か上空を輪を描くように飛び回る。彼の癖をなぞるように。
「……皇帝。」
「どうした?」
「…………きもちわるい…。」
「OK病院行こう。」
ーーーーー
診察室。水を飲まされ酔い止めを処方され、幾分か顔色の良くなったらだお。その隣の部屋で隊長からメンタルケアを受けるドリー、皇帝。
「…無理はして欲しくないんだが…。君たち2人にこそ。」
「すいません。……ずっと、正解が分からないんです。」
「相談ならなんだって聞いてやれるから、な?解決まで行かなくても話は聞けるんだ。上官だからって全て背負いきることはないさ。」
「隊長。一度ドリーも休ませた方がいいぞ。」
「皇帝もな?…3人一緒に住めばお互いの体調管理してくれると思ったんだが…やはりお前ら酷いな、社畜だな。」
隊長が苦笑いしながら立ち上がった瞬間、院内に一斉にアナウンスが響く。
【コードブラック、コードブラック、ロビー】
隊長は焦ったように白衣を翻し部屋を出る。それに2人も続いて走った。
「これはこれは…手厚いお迎えだな。」
「何をしに来た、…ヴァンダーマー。」
ーーーーー
遡ること1時間前、レギオン。南署署長、赤城煉はパトロールがてら市民交流という名の雑談をしていた。珍しく攫われていないここなにカレーを押し付けられ、何故かいる小峯には飲み物をせびられ。随分と今日は平和だ、なんて呑気にタバコをふかしていた時。レギオンの入口に黒い高級車が停まった。
コツ、と革靴が存在を示す、車から降りてきたのはMOZUのボス、ヴァンダーマー。
テーザーに手を添えて威圧する赤城に、この街の黒は言う。
「ここで発砲されたくは無いだろう?…大人しく来てもらおうか。赤城煉。」
「…………ッ、ああ。」
怯える白市民たちを尻目に、赤城はヴァンダーマーの車に乗り込んだ。
誰もいない薄暗い裏路地に、赤城とヴァンダーマーは向かい合って立った。重いタールを漂わせて紫煙を吐く男。2度、3度煙を弄んで口を開く。
「青井らだおはどうした。最近姿を見かけない。」
それは赤城にとって思いもよらない質問だった。確かにらだおはどこのギャングにも好かれ勧誘されていたが、この男が気にかける程気に入っていたとは。
「関係ないだろう、お前らには。」
「口の利き方に気をつけろ…。まあなんだ、ウチのが彼には世話になってるんでね。ちょっとした好奇心さ。」
「……プライバシーに関わる。」
「犯罪者の情報をペラペラ喋るお前達の言えたことか?聞いて呆れるなァ。」
煽り文句をまともに買うほど子供じみちゃいない。ヴァンダーマーは永久指名手配犯、発砲の許可を出せる立場の赤城。だが先打ちで勝てるかと言われれば答えはNOだ。
「どいつに聞いても口を揃えて療養中…こそこそとお前達、何をやっている?」
「それが全てだよ。らだおくんは療養してるんだ。」
「何が原因だ。答えろ。」
「言えない。」
ヴァンダーマーは苛立った様子で持っていたタバコを揉み消した。灰を床に撒き、その手は懐へ。カチリとセーフティが下ろされ、銃口は赤城の脳天を指す。
「答えなければ…そうだな。市民を人質に取れば、お前達は動かざるを得まい。」
「…………。」
「撃ち殺されたいか?」
「いや……、」
「答えろ。」
「……っ、…らだおくんは…………、」
脅しだけで終わるほどヴァンダーマーは甘くない。それは十分すぎるほど理解している。……絞り出すように、赤城は言った。
「らだおくんは、……記憶喪失なんだ。」
ーーーーー
「青井らだおを出せ。さもなくば撃つ。」
今日はよくこの体勢になる。ヴァンダーマーは真っ直ぐ銃を構え、隊長に照準を合わせた。
ドリーと皇帝はそれに立ちはだかる。
「どこから仕入れたのかはおいおい聞くとして……我々が患者を差し出すと思うか?」
「だから交換条件さ。楯突く毎に弾一発、簡単な事だ。」
なぜ、どこから、どうやって。皇帝は奥歯を噛み締め思案する。この状況を上手く切り抜けるにはどうすればいいのか。
「ヴァンダーマー!目的はなんだ!らだおに会ってどうする!」
「それは会ってから決めるさ。……勧誘したっていい。」
「!」
まっさらな状態のらだおをギャングに誘ったらどうなるのか。好奇心という名の衝動がヴァンダーマーを動かしていた。
皇帝の首筋に冷や汗が伝う。
その時。
「待って!青ちゃっ!ダメ危ないからっ!」
ダン!と開かれた扉から飛び出しきた青色。がみともの声を無視して飛び込んだそれは隊長の前、皇帝とドリーのさらに前に立ちはだかって両手を広げる。
「らだお!?なんで、」
「…お、俺のっ、友達に、手ぇ出さないでください…ッ、俺が目的なら、大人しくしてるから…っ!」
広げた手が微かに震え、ヴァンダーマーを捉える瞳には恐怖が浮かんでいる。
意表を突かれたヴァンダーマーは思わず吹き出し、隊長に向けていた銃口をらだおに移した。
「いやァ、なるほどな…?面白い。君は記憶が無くなると私を恐れるようになるのか。」
「…………。」
対して効果のない睨み顔に鼻で笑い、左手を差し出す。
「ならこうしよう。私の手を取ればお友達は無傷で解放だ。私と一緒に来い。」
「待て!らだお行っちゃ駄目だ!」
「黙れ撃ち殺すぞ。」
「……っ、」
対抗手段がない。少しでも武器を出す素振りを見せればヴァンダーマーは躊躇なくらだおを手にかけるだろう。先に武器を構えられている時点で詰んでいた。
どうすることも出来ない悔しさを押し殺し、らだおは俯いて、右手を前に出す。その時、
「特殊刑事課つぼ浦匠ィーッ!!ONDUTYーッ!!」
赤く閃光が走った。瞬間、ドリーがらだおを引っ張り体を倒す。
ドカン!!の音が病院をビリビリ揺らす。避けられず直撃、燃える地に伏したヴァンダーマーは入口を見て叫んだ。
「つぼ浦ァァ!!貴様、病院にロケランを撃つ馬鹿が何処にいる!!!」
「発砲しようとしてたヤツに言われたかねェなー!自分の事は棚に上げる悪い癖だぜ半チャーハン!」
「ヴァンダーマーだ馬鹿たれ!いい加減覚えろ!!」
救世主、ヒーローとはまさにこの事。らだおの上に覆いかぶさったドリーは詰まっていた息をほう、と吐いた。怪我がないかとらだおを見れば、どうやら爆発音でフリーズしてしまったようだった。
つぼ浦によってズルズルと引きずられていくヴァンダーマーはドリーを一瞥して言った。
「しっかり捕まえておかねば、私のようなものがまた現れるだろうよ。……早く記憶が戻るといいな。」
「……。」
「なんだ?記憶が戻って欲しくないのか?」
あからさまに視線をずらすドリーにヴァンダーマーは疑問を抱く。
「……まあ、私からはもう何も言うまい。つぼ浦、早く連れて行け。」
「注文の多いおじいちゃんだぜ全く。料理店かよ。」
「貴様覚えてろよ…。」
嵐が去った。
第三者からつつかれた事で、またドリーの中でぐるぐると渦巻くように正解が暗く曇っていく。忘れる、という選択をとったらだおの意思を尊重するべきではないのか。はたまた全て思い出して、またみんなで馬鹿やって笑い合うほうが幸せなんじゃないのか。分からない。
「……ドリー。」
「…らだおくん……。」
2人向き合って、迷い犬のように眉を下げる。
「…俺は、思い出さない方がいいの…?」
「…………それは…。」
「らだお。」
皇帝が2人の頭に手を置く。慈しむように撫でて、目線を合わせてハッキリと言った。
「お前は、自分から記憶を失ったんだ。」
「…え……。」
パ、と顔を上げるドリーを目だけで制して皇帝は続ける。
「それが辛かったからなのか、嫌になったからなのか、…我らを嫌いになった、とかなのか、それは分からない。でもお前は全部忘れた。ドリーはそれで、あー…お前が思い出したくないことを思い出させるのは、良くないんじゃないかと思っているんだ。」
「…………。」
「我は思い出して欲しいと思っている。……どうするか決めるのはお前だ。」
皇帝はらだおを抱きしめる。らだおは抱き返してくれなかったが、無理もないと力いっぱい抱きしめた。どんな選択をとろうと、それを受け入れる覚悟をしておかなければな、と心の中で呟いた。
「らだおくん、怪我ないか診ようか。」
「ぁ、はい…。」
隊長がらだおを立たせ、ロビーにはドリーと皇帝だけになった。
ドリーは皇帝の方を見ずに言う。
「…なんで言ったの。」
「臆病過ぎるのも良くないと思った。警察だった事は、言ってないだろ。」
「そっか。…………なんで、忘れちゃったかなぁ……。」
ーーーーー
「がみともさん。」
「なぁに?青ちゃん。」
「俺って誰?」
異常なし。それだけのカルテの端に親指の汗が滲む。遠い目のらだおにあくまで笑顔を繕って、がみともは一言だけ答えた。
「……みーんな、青ちゃんの事大好きなんだよ。」
らだおは窓の外を見て、がみともを見て、膝の上の手を握る。薄茶色の目はいつも綺麗だ、場違いな事を思いながら、その口から出てくる言葉を静かに待った。
すう、と息を吸いこんで、小さく頷いて、らだおは真っ直ぐがみともを見た。
「俺、思い出したい。忘れちゃったこと、全部。」
「…うん。そう言ってくれて嬉しい。俺も協力するよ。」
「お願いします。」
心の底から嬉しかった。がみともの知るらだおは、こういう時に前を向ける人間なのだ。
本人が全て知りたい、思い出したいというのなら、もう過去から遠ざける必要もないだろう。らだおに全てを話すのは自分ではない。ドリーと皇帝、2人にこそ。
澱みの中から掬い出されたような、視界が一度に青空に変わったような気持ちだった。早く2人に、らだおの過去を話してもらおう。そう思ってがみともが立ち上がったその時。
ドーン……!!
「うわっ!?」「わあッ!?」
爆発音、地鳴り、揺れ。明るかった部屋の電灯が瞬きの後フッと消え、一瞬で異様な雰囲気に包まれる。
「2人とも大丈夫か?」
「隊長!今のは、」
「カジノとユニオンの同時発生だそうだ。ミンドリーと皇帝は対応に向かった。」
「カジノとユニオン…!?」
こんな時に。いや、こんな時でも犯罪は止まらない。焦るがみともを嘲笑うかのようにダウン者の通知が入る。
患者の受け入れの準備をするから、と隊長ががみともを促す。しかし、動かなければと足を出したがみともの腕を、らだおが握った。
「…連れてって、ください。」
「あおちゃ、」
「思い出せる気がする。」
真っ直ぐに射止める目には決意が漲っている。
迷ったけれど、その強い眼差しに遂には折れた。記憶が飛んでも強引な性格は変わらないのだな、と腕を握る手に手を添える。
「隊長。僕が責任を負います。青ちゃんと現場に行かせてください。」
「言うと思ったけどさぁ、…ま、怪我させなきゃいいよ。ちゃんと、救ってこい。」
ポン、と肩を1つ叩き、隊長はライデンに乗って走り去る。がみともは振り向いてらだおに笑顔を見せた。
「行こう!青ちゃん!」
これで思い出せなくてもいい。何事も勢いは大事だ。何かする事が大事だ。そのはじめの一歩を、今踏み出すのだ。
『がみとも、青井さん乗せてヘリで行きます。』
ーーーーー
上空。
「がみともさん、もっと近づけない?」
「これ以上は流れ弾が怖いかも…。何か、ピンと来るものはある?」
ビルが建ち並ぶ中心街、ユニオン銀行地下金庫の上。赤と白のマーベリックが風を切って進む。
いつも通り眼下では警察とギャングがドンパチやっていて、どうやらあの赤はアンブレラらしい。脳内の霧の中を掻き分け記憶を探っているのか、らだおは窓から下を見続ける。
「ぁ、ああ!!」
「っ!」
目の前でヘリが爆発した。
煙の中から落ちていくのは、黒と白のカラーリング、警察マーベリック。
「『オルカさん対応します。』あの人のとこ行くね、なにか思い出したら言って。」
がみともが機体を進ませる。らだおはなにか、なにかを掴みかけていた。あの火の中の青い髪の人に見覚えがある気がする。キー…ン、と耳鳴りがする。頭の奥底がツキリと痛む。彼女は、誰。
危なげない動作でがみともはヘリを降ろし焦げるヘリの残骸へ近づく。運転席でぐったりと頭を凭れさせるオルカを担架で運び出し、手早くヘリに乗り込んだ。
「『1人搬送します。』もう大丈夫ですからね。」
「うわああがみともぉ!負けちゃったぞー…!」
「見てましたよ〜爆発してたねえ。」
「うう〜…、?…隣の…お前誰だ?」
助手席のらだおを見てオルカが尋ねる。彼女にはらだおの素顔は見慣れたものでは無かった。
対してらだおはオルカと目を合わせたまま動けなくなっている。
「…オルカ…?」
「?、オルカはオルカだぞ!じゃなくて、お前の名前を聞いたんだぞ!」
「オルカさん、この人はら」
ピーン
「がみとも避けろ!!」
「ッ!」
無慈悲なロケランの弾を最初に察知したのはオルカだった。発砲通知が地図を照らすのを真っ先にがみともに報せる。
ぐわんとヘリが傾き、スレスレを熱の塊が通過していくのを見た。バクバクと心臓が鳴り続ける中、がみともは自身がヘリを動かしたわけでは無いことに気がついた。そして操縦桿に置いた自分の手を見る。そこに添えられた左手。
「青ちゃん…?」
「……あー…。OKおーけー、かんっぺき思い出したー…。」
「へ…?」
打って変わって鋭くなった雰囲気。がみともの手にかかる圧力が強くなり、らだおが操縦桿をしっかりと握ったのが分かった。
「一旦病院行こっか。オルカ死んでるし。」
「はやっ……らだおなのか…?お前今までどこにいたんだ!!」
「まあその話は後でね、とりあえず終息させなきゃだ。赤ちゃん行ける?」
「ちょっ…と無理かも…今喜びに打ち震えてる。」
「無理か、じゃ席代わって。」
がみともはオルカを支えて後部座席に飛び移る。操縦士を失って傾くヘリ、しかし一秒の間もなく安定して飛行を続ける。らだおが運転席に座ったからだ。
数週間ぶりの「赤ちゃん」呼び。普段ならやめろと小言を言うその呼び方でさえ嬉しくて、懐かしくて、がみともは今すぐ隊長に報告したかった。
「赤ちゃんヘリ借りる。ユニオン行ってくるね。」
「えウソ、待っ、怪我しないでね!てか装備何も持ってないでしょ!」
「これサーマルじゃないしとりま本署行くー!オルカのこと頼んだー!」
がみともを病院の前に降ろし、そのままらだおはヘリを借りて本署へ飛んで行った。忙しない。そして確かな頼もしさを感じて、がみともは笑った。
「せ、説明してくれー!オルカなんにも分からんぞー!」
ーーーーー
「くっそ、オルカが落ちたか。『誰か、金庫前の様子見れるやつ居ないか?』」
皇帝の現在地は四ツ又。オルカのダウン通知によって不利を悟る。地下の視野は狭く、空からの目が無ければ下手に動くことは自殺行為となってしまう。
詰めるか、否か。
『俺見れるよー。皇帝、さぶ郎詰めれる。木材まで進んで。』
「…は、『らだお!?なんで、お前!!』」
『後で説明するから、今行けるんだって早く!』
つい先程まで病院に居て、治療を受けていたはずだろう。何故彼がこの場にいて、ヘリに乗って、IGLをしているのだ。
皇帝は一旦考える事を放棄して走る。高速側にはさぶ郎が居て、らだおの指示により金庫前を挟む形になった。
『あとさ、ニャンコスキー。あいつ救急ヘリにロケラン打ってきたから絶対捕まえて。説教。』
『ニャンコスキーは捕まえてるよ。牢屋で待っとくかららだおくん帰ったら逃げないでよ。』
『はーい。皇帝進んで、チューブで1v1。勝てるよ。』
ドリーの切願もそこそこにらだおは皇帝に再び指示を出す。久しぶりの同期からの信頼を感じて胸が熱い。銃を握り直し、ローリングして前へ。ヘッドショットが決まる。
『ナイス。金庫前までフリーね。階段に一人と…穴下すぐに一人。どっちか先にやれればクロス組める。』
『階段、階段の人やりました。』
『おっけー、じゃあ皇帝の方まで詰めていいよ。皇帝金庫見てて。』
「『了解。』」
あまりにもやりやすい。盤上に駒となって配置されていくかの様だ。トントン拍子に事は進んでいき、最終的に残ったのは、ラークを除けば金庫中の犯人だけ。
『そろそろ出そう。頑張って。』
金庫から外へはワンウェイだが、穴を挟んでさぶ郎と向かい合えば無傷で抜けるのはほぼ不可能。リロードを済ませ、その時を待つ。
転がり出てきたれりあを撃ち抜き、ユニオン中は制圧完了した。
「『制圧制圧。』」
『ナイスー。あとヘリだけやね、一応追うわ。』
すっかり忘れていたが、オルカは敵ヘリによって落とされている。そのヘリから逃げ躱しながらサーマルを見ていたというのか。
ブランクを感じさせない同期の手腕に皇帝は舌を巻くしかなかった。
「なあ、今ヘリやってんの誰?」
「らだおだ。」
「だよね。いやー勝てねえって…。せめてボス逃げてくれ…!」
伊達咲の嘆きを横目にダウン者を回収していく。
きっと久しぶりだから、らだおは敵ヘリを落とすまで帰ってこないだろう。そういう奴だ。
『やったやった。ユニオン終息かな。カジノは?』
『カジノ警察全滅で終息済みです。』
『んードンマイ!ウェスカー護送して帰りまーす。』
さあ、事の顛末を、詳しく話してもらわなければ。
皇帝はさっさと後始末を終えるべく、掘削機をインパウンドしてコメットに乗り込んだ。
ーーーーー
「で?どこのタイミングで思い出したの?」
「…ロケランが飛んできて、ほとんど反射でヘリ動かした時…です…。」
「相変わらず過ぎないか。」
半泣きで許しを乞うニャンコスキーに慈悲なくプリズン60分を言い渡し、牢屋対応を終えた3人。
今度はなんの不安もなく屋上に並び立つ。鬼ヘルにアーマーの見慣れた姿に、皇帝とドリーは今世紀最大レベルで安堵した。
「…忘れちゃってごめんね。」
「ほんとだよ。ほんとに、寂しかったんだから。」
「ドリーが1番悩んでたもんな。」
「や、あの本当に、疲労で脳バグってたんです…。二度とリスポーンとかしないわ。」
「そうしてくれ。お前の記憶喪失は心臓に悪いぞ。」
らだおは自らの死と記憶喪失を詳細に語った。ここまで忘れるとは思わなかったし、別に何かが嫌で現世とバイバイとかそういうんではないのだ、と。
申し訳なさそうにヘルメットの上から頬をかくらだお。肺の中の空気を全部吐き出して、ドリーは深くため息をついた。悩んでいたのも思い出させないように奮闘したのも馬鹿らしくなったからだ。それを皇帝は静かに見守る。
黄金世代、皇帝、ミンドリー、青井らだお。
「完全復活てことで。」
「適当だな!」
「ほんと良かった。ギャン落ちとかしなくて。」
「うわ、ヴァンさん見かけたら逃げよ。」
「絶対渡さないよ?らだおくんは警察だもんね。」
「なんかドリーヘラってる…。」
「違うぞらだお。これは元からだったのが今回の件で如実に現れるようになっただけだ。ちなみに我も同意見だ。」
「同期の愛がおもーい…w」
好きにすればいいと思っていた。
でもやっぱり渡せない。
青井らだおは警察、黄金世代の、俺達の同期。
ギャングにはくれてやらない。
「「おかえり、らだお。」くん。」
「……ただいま!」
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以下人物紹介
らだお
大型ハシゴで疲労により頭がパーになる。飛び降り自殺で記憶喪失になった。全然そんなつもり無かったので復活後同期及び警察全体にお詫びを配った。
ドリー
同期大好き。自殺…?じゃあらだおくんは警察が嫌になっちゃったの?そんな事ないけど深読みしすぎて大分精神的疲労が凄かった。思い出してくれてHAPPY。しばらくは傍を離れなくなる。
皇帝
同期大好き。絶対に、絶っっ対に!ギャングにはやらない!闇堕ちしたら殺して改心させて警察に引き戻す。らだおのセコム部隊を立ち上げよう。
がみとも
可哀想な第一発見者。何も覚えてなかった時の虚ろな目が、消えちゃいそうで怖かった。と後に語る。青ちゃんのセコム部隊?入る入る。てか入れて。しばらくの間はロケランがトラウマ。
隊長
入院中のサポートをしてくれた恩人。このまま記憶が戻らなかったら、を考えて一人でプチ後悔。公務員用に月イチメンケアデー作ろう。
赤城煉
ヴァンダーマーに詰められてゲロっちゃった。後かららだおに詫び入れたら「ああ全然いいっすよ」だけで終わって宇宙を背負う。結構胃を痛めたポジション。
ヴァンダーマー
お気に入りが最近起きてないのかな?と思って色んな警察にカマかけたらどうやら起きてはいるようだったので詰めた。らだお独占禁止法を提唱します。多分ウェスカーもノッてくれる。ギャングに誘ってみたけど邪魔が入ってブチ切れ。
オルカ
らだおを慕う後輩の一人。ウェスカーにアタック負けしてがみともが救助に来て…隣に乗ってるのはら、ら、らだお!?見ない間になんか儚げになってると思ったら急に元に戻って大困惑。元気ならいいんだ、元気なら。
ましろ先生
推し活仲間が記憶喪失とか黙ってられないでしょ。ハグに戸惑い変な声出た。あれは反則じゃないかと思う。
ニャンコスキー
振り向き発砲歪みで救急ヘリに打っちゃった。悪気は無い。反省もしてる。だからプリズン減らして欲しかった。ダメだった。