図書室を出ると、空はすっかり夕暮れに染まっていた。
校舎の影が長く伸びて、グラウンドからは部活の掛け声が遠く響いてくる。
葵:「今日、思ったより遅くなっちゃったね」
葵が伸びをしながら言うと、凛は肩から鞄をかけ直して頷いた。
凛:「集中してたから、時間経つの早かったんですかね」
葵:「わかる〜! 凛と一緒だと、あたしもちゃんと宿題進むんだよね。ひとりだったら絶対途中で寝転んでる」
凛:「……それ、想像できますね」
凛が小さく笑った。その笑顔が、オレンジ色の光に照らされて、少し眩しい。
(……やば、なんか今、ドキッとした)
葵は思わず心臓を押さえそうになる。
勉強してるときとは違う、ふとした瞬間に見せる凛の笑顔が……最近、たまらなく好きだ。
二人は並んで、校門までの坂道を歩き始めた。
秋の風が少し冷たくて、でもそれが心地いい。
凛:「ねぇ、葵さん」
葵:「ん?」
凛:「……その、帰る方向、こっちでいいんですか?」
葵:「うん、一緒一緒! だって、途中まで方向かぶってるじゃん」
凛:「……そう、でしたね」
凛は少し照れくさそうに視線を逸らした。
(ほんとは知ってたくせに〜)と葵は心の中で笑いながら、歩幅を合わせる。
少し沈黙が続いたあと、葵がふと思い出したように口を開いた。
葵:「そういえばさ、来週、文化祭あるじゃん?」
凛:「うん……あるわね」
葵:「クラスで演劇やることになってるんだけど、もう台本がめちゃくちゃでさ〜! あたし、裏方なんだけど、みんなテンパってて」
凛:「ふふ、それは……目に浮かぶ」
凛がくすっと笑う。その笑い声を聞くだけで、胸がくすぐったくなる。
葵:「凛のクラスは?」
凛:「展示。地味です」
凛:「いいじゃん! ゆっくり見て回れるし!」
葵:「……来るの?」
凛が少しだけ、期待を含んだような目を向けた。
その視線に、葵の心臓が一瞬止まったような気がした。
(なにそれ、かわいすぎない!?)
葵:「行く行く! 絶対見に行く!」
凛:「……そう。じゃあ……」
凛は少しだけ間を置いてから、視線を前に戻した。
凛:「私も……葵のクラス、見に行ってみようかな」
その言葉に、葵の頬がじわっと熱くなる。
(……やば。なんか、デートの約束みたいじゃん……)
二人の間に、ふとした沈黙が落ちた。
でもそれは気まずいものではなく、どこか心地よい沈黙。
夕日と秋風と、胸の奥の甘酸っぱい気持ちが混ざり合って──
この時間が、ずっと続けばいいのにと、葵はふと思った。
またまた読んでくださり、ありがとうございます。うれすぎざんまいって感じです!!
♡、うれしすぎてモチベ上がりまくりです!!
ではまた次回!さよなら~ ♡、コメント、フォロー、よろしくお願いします。
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