……なんでコイツら付き合ってないの???
僕はにこ☆すっごくじれったい友達以上恋人未満のとある2人を眺めている。
『飴村さん、離れてくれません?』
『やだ!』
『あっ!じゃあ流月!ちゅーしよ!』
『嫌です。』
この「飴村乱数」と「愛心流月」明らかにイチャイチャしているのに付き合ってはいない、いやほんとに真のじれったい友達以上恋人未満の人らだよ。
『ねぇキツネコ』
『なに?にこ』
『アイツらホントに付き合ってないの?』
『うん、付き合ってない』
『じれったいとは思わないの?』
『めっちゃ思う』
愛心流月の秘密すら分かる僕の友達が流月で知らないことなどない、ということはつまり本当に付き合っていないと言うことだ。キツネコはメロンクリームソーダを飲み終えると帰ろうとしている。その前にこう言った。
『ほら流月〜、イチャイチャしてないですぐ帰るんだよ』
『いっ、イチャイチャしてない!』
『?今日流月はうちに泊まるよね?』
『え、泊まんの?てか何回ぐらい泊まってんの?』
『え、なににこちゃん急に』
これで付き合ってないは無理がありすぎる。だが飴村乱数も付き合ってないに否定する様子もない。
『何回かなんて忘れたよ』
『わす、え?忘れるほど泊まってんの?』
『あー、うんそうだよ』
『まぢか』
リア充じゃねぇか、とも思いながらちゃんと応援していた。でも応援し続けてもぜんっぜん付き合う気配がない。なんで?となりある日こう思いついた。
『あ、僕が流月になりきって告白すればいいんだ!!』
なんて今では馬鹿だな、と思う考えにたどり着き(?)変装の準備にはいった。
まずキツネコから流月の写真をいっぱい送って貰ってウィッグやらメイク道具やらを揃えよう!
『もしもし?キツネコ??』
『なに、今から昼寝するところだってのに』
『流月の写真いっぱいちょうだい!』
『やだよ』
『……今回のモリファイベントの乱数さん、やるよ』
『よし、何枚欲しい?』
チョロいキツネコを味方につけるなど容易い事だ。覚えてることは頬にはメイクでつけたバツ、他には丸いメガネ、ピアス、それくらいだった。
『10枚くらい!』
『OK、で?グッズはいつくれる?』
『あー、少し経ったらあげるよ』
これで本当にあげなければ殺される可能性が大だ。それに裏垢さえ見れば機嫌が悪いことだってわかる。裏垢を覗きグッズをあげる日を決めよう。
『よし、送っといたから』
『ありがとう!!!』
『何に使うんだよ……』
『えーとね!』
説明するとキツネコは「は?」と言った。グッズもいらないという。そんなムシのいいことなどないだろう。何故かを問うと動揺したかのように声をふるわせこう言った。
『……何があっても知らんから、俺かんけぇねぇから、とりあえず乱数には気をつけろ』
との事だった。何について気をつけるのかは知らないが送られてきた写真はそれなりに使えそうだったので早速服などを買いに行った。
☆彡.。☆彡.。☆彡.。
『ふふん!これでどーだ!』
笑い方や喋り方についても気をつけなければバレる。それに連絡先など知らないしデートじゃない日でたまたまを狙うしかない。
それにチョーカーもいいものがなくハートのものはなかった。そのせいで丸になってしまったがどうにかなるだろう!
にしてもウィッグの髪を切るのが大変すぎた。少し休んで明日か明後日そこらでいつデートやらなんやらか聞いていつ行くか決めるしかない。
☆彡.。☆彡.。☆彡.。
『え、なに、にこちゃん、どうしてお出かけ行くか聞くの?』
『あー、お出かけじゃない時に一緒に遊びたいなぁ、って』
『ふーん、じゃあスクショ送るから連絡先教えて?』
『うん!僕も地雷系着たいなぁって思ってたんだよね〜』
流月の好きな物の話をして怪しまれないよう気をつける。もうひとつ聞きたいのはどうやったらその頬のバツは消えないのかということだ。
『そーいや、そのバツってどうやったら消えないの?』
『あ、これ?これね、』
そうやって話していると数分が過ぎていた。
『ありがと〜!僕もメイクしてみよーっと』
『うん、またね』
少し怪しかっただろうか?でも笑顔は完璧、声も少し低い気はしたが完璧に演じきっただろう。あとは流月に声を似せることだ。流月は両声類じゃないのかというくらい声が変わる。普段は高いような低いようなという微妙なところだ。
『あー、あー、あー!!』
それっぽい声がようやく出たが今は外出中だったということを忘れていた。顔を真っ赤にして家に向かった。
ガチャ
家に着いたのはいいが予定を見る限り流月は明日シブヤにはいないらしいので早速準備を始めよう。
服の準備、ウィッグの準備、メイク道具、チョーカー、声の調整で時間がかかった。気づけば時間は午前0時幸い睡眠時間は短くても大丈夫だから明日はシブヤに少し早めに行こう。
☆彡.。☆彡.。☆彡.。
(よし、まずは乱数さんを探すぞ!)
事務所の場所はまだ分かっている。そこら辺をうろちょろするか幻太郎さんのよく行くというカフェなどを見てもいいだろう。
そうやってしばらく歩いているとそれらしき人を発見した。正直SNSなどで飴村乱数と検索をかければだいたいの場所がわかる。有名人でよかった。
『ん”ん”っ』
声を調整して話しかけようとする
『飴村さん!』
『?あ!流月じゃん!今からちょうど事務所行くけど来る?もちろん来るよね!』
『え、まぁはい』
☆彡.。☆彡.。☆彡.。
事務所についたはいいけど、とてもこんなことをしたのが後悔することがこの後起こるなんて誰も分からないだろう。
『何飲む〜?ジュースとお茶と紅茶ならあるけど』
『えと、ジュースをお願いします』
敬語を使わないと絶対怪しまれる。それにタイミングを見計らって告白せねば……
『はい!どーぞ』
『ありがとうございます』
ゴクゴクと音を立てながらジュースを少し飲んだ。
『なんかさぁ、流月髪少し切った?』
『え?』
『なんかいつもと違うっていうか、声も、それにチョーカー変えたんだ』
『あ、えとはい!僕……』
『あれ?流月って一人称俺か私じゃなかった?』
『ぼ、僕も一人称変えてみようかと……あはは』
(既にバレてる???)
少し会話をしただけのはずなのに何故かバレているようにしか感じなかった。チョーカーや髪、声に違和感を持たれている。それに自分のことを僕と言ってしまった。
『あ、そんなことより!あ、飴村さんに伝えたいことが……』
『なに?』
『え、えっと、好きです!付き合ってください!』
『………………やだよ』
『え?』
まさか失敗?あんなにイチャイチャしてキスまでしようとしてるのに?嘘でしょ?
『だって流月じゃないでしょ?』
バレている。何とかして誤魔化さなくては……
『あ、え?』
『抱きつかせてよ、mmまで分かるから』
『え、いや、あ、』
『ていうかさっき裏アカで呟いてなかった?スマホ見せてよ』
『えー、いや、あー』
怖い、ストーカー級だ。離れた方がいい、そう実感して逃げようとする。だが肩を掴まれ動けない、低身長とはいえ力は本当に男だ。
『逃がしてください……ヒェ』
怖すぎてでた高い声で助けを求めるが顔が明らかに鬼と化している。
『ちょーっとお化粧とウィッグと他にも色々どうにかしてくれるかな?』
笑顔で言っているが背後にあるオーラは優しくない、こんな怖い人を流月ちゃんは好きなのだろうか…。
☆彡.。☆彡.。☆彡.。
『変えてきました……』
『あっ、君主の友達じゃん!!』
『………………』
『なんか似てるなぁ、とは思ったけど!』
怖すぎて声が出ない、座らせられてはいるが部屋には鍵がかけられて抜け出せるような雰囲気でもない。
『で、なんでこんなことしたの?』
『え、な、何それ、それ銃刀法違反』
刃物を向けられ脅される。本当にキツネコの言った通りだった。
『……何があっても知らんから、俺かんけぇねぇから、とりあえず乱数には気をつけろ』
こんなことになるなんて思いもしないじゃん!!
『お前らがじれったすぎんだよ!!とっとと告って結婚しろや!!』
『へ…………?え?ちょ、え?ん?』
そう言い放つと刃物は床に落ち飴村乱数は口をパクパクさせている。
『帰らせてよ!!そして早く結婚しろ!!』
『え、うん、帰っていいよ…』
『あ、帰っていいんだ。』
こうしてめっちゃ怖い事務所から出られました。
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『流月〜!!』
『え、なんですか?』
『ボクと』
『はい?』
『ボクと結婚を前提に付き合ってくれない?』
『は?』
🕊 𝕖𝕟𝕕 𓂃 𓈒𓏸 💗
コメント
2件
これは昨日写真撮りにお散歩してる時ににこが考えてくれたやつ! 『?流月と乱数は付き合ってないよ?』って言ったらにこが変装して告ってやると言い出しました