目が覚めたらベッドにいた
そして横を向くといむが同じ布団に入っている
桃「何があったんだっけ?」
意識を失う前のことが上手く思い出せない
ただ一つわかっているのは…
桃「早くこいつの側から離れないと…」
俺はいむを起こさないように家を出る準備をする
場所なんてどこでもいい
今はただ少しでもあいつから離れたい…
支度を終えて自分の家を出た
数時間歩いていると薄暗くなったので近くのホテルに泊まることにした
俺は貰った鍵を手にして自分の部屋に入る
桃「ひとまずここは安心だしゆっくりテレビでも見るか」
俺は幸せな時間を過ごした
時刻は深夜。寝ている俺の部屋に誰かがノックをする
桃「こんな時間に誰だ?」
眠気により自分がホテルに泊まっている事を忘れ何故こんな深夜に人が訪れるのかまで頭が回らなかった
桃「今開けまーす」
ガチャ
桃「なんで、、」
そこに立っていたのは不気味な笑顔でこちらを見つめるいむの姿
桃「なんでここがわかった…」
水「僕とないちゃんはもう恋人同士なんだよ?」
水「そんな2人が離れ離れなんてダメだよ」
答えになっていない…どうしてここがわかったのか
水「それより早く入れてよ。外雨降ってずぶ濡れなんだ」
確かにこいつは濡れている
でも今日は雨降っていたっけな?
俺は不思議に思いながら風邪を引かれるのが困るので部屋に入れてしまった
水「お風呂さっぱりした〜」
桃「上がったなら早く帰って」
水「もう夜遅いんだし一緒に寝よ?」
桃「金払ってこっちは泊まってんだよ!」
水「大丈夫。僕も一応別の部屋取ってるから」
桃「は?」
話を聞けば俺がホテルに入って行った姿を見てすぐこいつも宿泊したらしい
桃「ならなんであんなに濡れてたんだ?」
水「だってそうでもしないと入れてもらえなさそうだし」
桃「…は?」
水「大変だったんだよ?冷水シャワーでリアルに再現しようとしてさ」
本当にこいつは理解できない。なぜわざわざそこまでするのか…
桃「じゃあ部屋に入れてもらうためにわざと濡らしたってこと?」
水「そうだよ。着衣のまま濡れる趣味なんて僕にはないんだけどね…」
こんな所まできてなんでこいつに振り回されるのか
睡魔が限界だ。考えるのはやめてもう寝よう
俺が布団に入るといむもそそくさと布団に侵入してくる
もういいから今は寝かせて…
俺はそのままいむと一緒のベッドで寝た
朝。目が覚めるといむが俺の上で寝ている
桃「動けない…」
昼頃にはここを出なければいけない
俺はゆっくりいむを上から下ろす
水「んぅ…ないちゃん…?」
桃「やべ」
いむの体に触れた途端こいつが起きてしまった
水「おはよぉ~」
桃「…おはよ」
水「今日は側にいてくれたんだね!」
どかそうとしたらお前が起きたんだよ!とは口が裂けても言えない
桃「それよりそろそろ家帰るから準備して?」
水「もう?もっとゆっくりしようよ」
桃「時間が限られてんだよ」
水「そっかぁ…まぁ家帰ってからでもいっか」
俺の上からどくいむ。そしてあることに気づく
桃「お前それどうした?」
目が酷く腫れている。まるで泣いていたかのような
水「大丈夫だよ。いつものことだから」
桃「いつものこと?」
水「…僕荷物取ってくるからフロントで待っててねっ!」
いつも通りに言ういむの背中は元気がないように感じた
水「お待たせー!」
あれから2時間くらいしていむがやってきた
水「ごめん待った?」
桃「かなり」
水「そこは嘘でも少しだけとか言ってよ〜」
いむの姿を見て違和感を持った
桃「あんなに人を待たせといてなんでお前そんな小さなバックなの?」
よく考えたらこの荷物はおかしくない
だがこの荷物にあの時間は明らかに不自然だ
桃「お前この2時間何してた?」
水「…」
桃「おい!」
追い詰めようとしたが周りの人がこちらを見てくるので仕方なくこいつを連れてホテルを後にした
先程からいむは黙ったままだ。
桃「俺もう帰るからな」
後ろを振り返らず早足で前に進む。
すると後ろで何かをぶつけるような音がした
桃「なに?」
振り返るとそこには泣き叫びながら壁に何度も何度も頭を打つけるいむの姿
水「ああああぁぁぁぁぁ!!!!」
桃「やめろ!!」
思わず止めに入る。
桃「どうしたんだよ!お前しぬぞ!!」
水「うあああぁぁぁぁ!!!涙」
わからない。こいつが何を考えているのか全くわからない。
俺はいむを抱き抱えながら家に帰った