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ざざぁ ざざぁ
僕の耳にはその音しか入ってこなかった。
目が覚めると公園の遊具のトンネルの中にいた。
「眠ってたのか」
起きあがろうとすると体がバキバキで思うように動かなかった。
辺りを見回し上を見上げると月が顔を出していた。綺麗な満月だ。まるで、自分が主役かのように光り輝いている。
そんな月が僕は嫌いだ。
と音がしポケットからスマートフォンを慌てて取り出した。でも、思っていた通知と違った。僕は体の力が抜けたかのようにどさーっと寝転んだ。
期待をしないようにしよう。小さい頃からこの言葉だけは心がけて生きてきた。真っ暗なトンネルの中で大の字で寝転びもう一眠りしようと思った。
すると頭上から
と聞こえた。ふと聞こえた方に目を向けると1匹の黒猫がいた。毛並みが整っており綺麗に手入れされた猫だ。僕の方に近づき腕に顔を擦り付けてきた。案外可愛らしい。
「お前は飼い主がいていいな。愛されてるんだな。僕も愛されてみたいよ。」
と呟いていた。
きっと、僕がずっと心の奥に押し込んでいた言葉だったんだろう。声に出すとだんだん涙が溢れてきた。涙を止めようとすればするほど溢れてきて止まりそうになかった。
男なのに情けない。そう感じた。 その時だった。
「ミヤここにいたのね」
女性の声が聞こえたのでそちらに目を向けると黒髪ボブの女性がいた。
あまりにも綺麗さに開いた口が塞がらないとはこのことか。と感じた。
「あら、あなた泣いてるの?」くすくす笑いながら聞かれ僕は思わず目を擦って慌てて「ちがうよ。」と下を俯きながら自信なく呟いた。
「涙ってたまに出さないと体に悪いらしいわよ」彼女はそう呟いて黒猫を抱き抱えてもと来た道を戻った。
僕は、彼女に無我夢中だった。驚いた。こんなにも綺麗な女性はこの世に存在するんだ。と感じた。
聞き慣れたチャイムが鳴り響く。また遅刻だ。今週3回目。そろそろ怒られるんだろうな。と考えながらトボトボ歩いていると後ろから 「おーい!!るな〜!」と叫びながら走ってきた。
この声は、、
声を聞いただけで僕はすぐに感じ取った。耀[よう]だ。
また、相変わらず僕に突進してきた。
「おはよ!」太陽みたいな笑顔で毎朝話しかけてくる。こいつは、生まれた時からずっと一緒に育ってきた僕とは正反対の太陽みたいなやつだ。友達も多く、親にも愛されている。そんな耀がいるから毎朝学校にも来れてるようなもんだ。