episode2 新しい刺激
藤澤さん…所謂、涼ちゃんは昔から音楽が大好きで、いつも会社帰りに駅前のライブハウスに居るらしい。
最近はそちらに行くのをやめて、こっちの俺らがいる方に来てくれている。
最初はただのファンだったけれど、段々と俺たちのバンドの音楽を深く理解してくれるようになった。
涼ちゃんは音楽にたけていたため、俺たちの曲の歌詞を一緒に考えてくれたり、アレンジのアイデアを出してくれたり、まるで本当のメンバーのようだった。
「どっかの誰かさんと違って有力なアイデア出してくれるから助かる。」
「んだよこっち見ていうなよ。」
俺だって出してますよ〜って顔をしながらペットボトルにはいってるミネラルウォーターを汗ばんだからだでゴクッと飲み込む。
「お前擬音しか使わんやん。ここジャジャジャーンにすればカッコよくね?!とかさ。全然有力ではねぇ。」
けっ!という顔をしながら不貞腐れる若井。
「元貴が書く歌詞ってね、本当に心に響くの。なんか…心の中のわだかまりがする〜って溶ける感じになるの。僕は聞いててめちゃくちゃ不安なことが消え去るんだぁ。」
続けて、でもね…と言葉を濁す。
「こう…なんていうんだろ、歌詞が難しすぎるんだよね。ほら、お客さんが聞くのは一瞬じゃんか、それで心に響くのは中々に難しくない? 」
歌詞カード見てる訳でもないしね〜とシャーペンをはしらせる。
「だから、ここの歌詞をこうすれば多分みんな一瞬でも伝えたいことが伝わりやすいんじゃないかな。」
涼ちゃんの言葉に戸惑いながらも、妙に納得してしまった。
涼ちゃんは俺らが気が付かないような小さい 部分まで見ていて、音楽に対する真剣な志や姿勢が伝わってきた。
俺は、段々と彼に惹かれていった。
それは単なる好意ではなく、もっと深い部分での繋がりを感じていた。
こう…言葉にしろと言われたら難しいけど…
涼ちゃんといると音楽への情熱が再燃し、どんどん新しいアイディアが湧いてきた。
「俺、涼ちゃんと出会ってから変わった気がする。」
ある日のライブ終わりに言った言葉はどこか素直に心からでた。
「えぇほんと?笑 ありがとう 笑」
涼ちゃんは少し照れながら言った。
その笑顔に俺はますます魅了されていった。
今日は少なめ!
コメント
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好きき!いい
うはははははは
ウヘヘヘ好きぃー!!!!!