「…ーーー。」
男性の声がした。がん?そんな言葉が聞こえた気がした。震えていて弱気な声。今にも消えてしまいそうなほど弱々しかったけど…何故だろう、温かさがあった。
声が聞こえて数秒後、青い光が当たりを照らした。私が11歳の頃の夢のような現実の思い出。
***「***佳奈…佳奈!」
目を覚ますとそこには、1年前から一緒に暮らしてる湊斗の姿があった。
一緒に暮らしてると言っても付き合ってるとかそういうのじゃなくて、昨年の秋頃に私の唯一の家族であった母が亡くなったのをきっかけに、母の友人の息子のところで面倒を見てくれることになった***。***
その息子というのが湊斗のこと。
「佳奈、今何時だ?」
少しニヤニヤしてる様子から察するに、きっと今は…「あ、12時?」と答えると
「そうだよバーカ」と言って軽くデコピンをしてきた。
そう、私は昨日湊斗に誓ったのだった、︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎明日からは心を入れ替えて7時に起きます!︎︎ ︎︎ ︎︎"︎︎って。
「まぁそうだろうと思ったけど」湊斗がバカにした様子で頭をクシャクシャと撫でてくる。
『 佳奈の辞書に有言実行なんて言葉は無いものね』
あ、そういえばもう1人誓ってた人がいたんだった。同じく同居してる璃里さんにも言ったんだった。
ちなみに湊斗と瑠里さんは21歳で同い年。私は16歳の高2。璃里さんは今年、家族とトラブって家出をしたところ、行く当てがなかったから同級生で顔見知りの湊斗に住ませて欲しいと頼んだところ、佳奈もいるからいいかという湊斗の判断でこの家に来た。2人は数年前から仲がいいらしい。けど決して恋人では無いと言い張る。ならなんで女友達じゃなくて湊斗の家に来たのかと瑠里さんに聞いたら、悲しそうな顔で、
『湊斗には気軽に何でも頼めるからさ。』って言ってた。それ以上聞くのはやめた。と言うより阻まれた。
「瑠里さんは今日なにか用事あるの?」と尋ねると
『 うん、ちょっと出掛ける。』と言った。
「そっか残念。今日は湊斗と屋外プール行こって話してたから…瑠里さんも行けたら良かったけど……ね?湊斗。 」呼びかけても反応がない。ちょっと焦ったような、少し青ざめたような顔をしている。
そして「ごめん佳奈。俺今日プール行けないわ。」湊斗は私を見ず、何故か瑠里さんの方を見て喋っている。
「なんで?」
「いや、ほんとにごめん。急用」
「ふーん。瑠里さんが行かないから?」自分でも驚くほど低く冷たい声が出た。
「は?何言ってんだよ。ちげぇよ」
バレバレだよ。なんでそんなに焦ってるの?
「ねぇ、前もこんな感じのことあったじゃん」
そう。あれは一ヶ月前のこと
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