トゥナが目を開けると、真っ白な何かが見えた。周りは静かで、懐かしい匂いがする。
トゥナは『天国…?地獄…?…やっと死ねた…』っと笑みを浮かべた。
ズキズキ…ッ!
突然、全身に痛みが走った。皮膚は裂け、肉が飛び出し、血が至る所から噴き出る。
「…ッ!あぁあ”ああ”ーッ!痛い!痛い痛い痛い!やっ!っめて!」
ベットが血で染まる。トゥナはこの時、自分は病院にいて、自殺は失敗に終わったと理解する。『死んでいれば…血なんて出ない』
トゥナの表情は悪くなっていった。
あの人達に会いたい…なんでも聞いてくれる優しいあの人に会いたい…。
トゥナは傷だらけの真っ赤な手で顔面を覆い隠した。目からは涙が流れる。
トゥナの身体には数えきれないほどの切り傷の跡がある。トゥナが自分で首や腕を切って自殺しようとしたことが何百年か前にあったからだ。もちろん失敗に終わった。
「402号室の患者が意識を取り戻した。すぐに警察に知らせろ。…あと、あの少女にはあまり話しかけるな。精神的にも危険な状況にある。少しの衝撃で、また自殺を図るかもしれない。」
「わかりました。」
「同じ402号室の少年は…まだ意識がない…。危ない状態だ。何かあったらすぐに連絡してくれ。」
「はい…」
大人の声が聞こえる。多分医者だ。
『少年…?』
横を見ると、真っ青な顔で眠っている15歳くらいの少年がいた。
『危険な状態…』
トゥナは少し気になり、病室の入り口にある名前札を読んだ。
【中原登】
「ナカハラ ノプル」
トゥナは発音が3000年前とあまり変わってないので、ノボルをノプルと読んだ。
『ノプル…』
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