テラーノベル
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いつの間にかあたりは真っ白で
見た事のある惹かれた顔が目の前にある
でも 、何が違くて 。
冷たくて 生きているとは
到底思えないような 。そんな顔だった
彼は僕を見るなり手を握って
「君も俺と同じじゃん」
不気味な程に
にっこりと笑って 、手を引いて
何処か向こうの 赤くて 暑いような
そんな所に引き込まれて行く。
僕は声も出さなくて 力いっぱいに
喉から叫ぶように 声を出そうとした 。
目には涙が異様に溜まっていて 、
彼はそれを見てまた笑う 。
勢いのままに赤く燃え上がった所に
彼と 手を繋ぎながら飛び込んだ。
キ───────ン
「… っ は 、゛ は … っ ゛ 、」
段々と近づいてくる耳鳴りで目を覚ました
夢だ 。
現実のようだった
手には温かさがあって 、眩しくて 。
夢でも現実と同じように 美しかった
嫌な汗が背中を伝う。
僕は 扇風機が切れている暑い部屋で
身体を起こした
コンセントが抜かれている
おかしいな と疑問を持ちつつも 、
何事も無かったかのように また挿す
涼しい風が 顔へと吹いてくる
「涼しい」
そう呟くと 声が変になっていて
思わず笑ってしまう。
昔ここで「宇宙人だ」なんて言っていたな
なんてくだらないことを思いながらも 、
静かに口角が上がってきている自分がいた
ふと、近くにあった仏壇が目に入る。
「…あれ 。 」
顔はよく見えない
遺影なのに 顔がぼやけている
昔からずーっとあるこの仏壇 。
今まで何も気にならなかったそれが
ふいに 、胸にざわつきを与えた。
「おかしな写真。」
僕はそれをもう一度じーっと見て
廊下から足音が聞こえて咄嗟に振り返る
「元貴 起きたのかい?」
祖母が優しい笑顔で此方を向いてくる。
「…あ。おはようございます 、笑 」
僕は起き上がって 祖母の元へと歩く
「ご飯 出来たからおいで」
祖母は背を向けて歩いていくのに
僕は着いて行った。
その時後ろから サ─ っと首筋に風が吹いた
後ろをむくと扇風機が此方を向いていた
なんだ 扇風機か
と思い また前を向いた 。
机を見ると目玉焼きと麦茶が置いてあった
僕は祖母に洗面所へ行くと伝え 向かう。
「… っは 、ぁ」
水を思いっきり顔にかけて目を覚まさせる
僕は鏡をみた。
目の周りが赤い 。
涙を流していたかのように 。
気にしてもどうにもならなくて 、
ただ 無駄なことを考えるばかり
僕は タオルで拭き取って
またリビングに戻った。
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コメント
4件
言葉の言い回しが美しい…✨️続き楽しみです!