テラーノベル
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お久しぶりです。ショコラと言います。今回の物語は非常に長文(約1万文字)となっています。ご時間がある時に読んでくださると幸いです。それでは、行ってらっしゃいませ。
「hn先輩!私に人を殺させてください!!」
「んん???お、落ち着いて!?」
次の任務に向かう前に、私は先輩に直談判する。無論、内容は私が任務に役に立つためのものだった。勢いのまま言ったはいいものの、手の震えが止まらない。わかっている。先輩ひとりがやった方が早い事くらい。けど、私だって経験をつまなければ弱いままで、一生ただのお荷物なのだ。それは嫌だ。そんな気持ちが先行した結果と、znさんとの買い物をきっかけに思ったことだった。先輩は慌てた様子で、私に冷静になるように促すが、冷静ではないのは先輩のように見えた。
「んーっとね、人を殺すのって勇気がいるし、まだまだ新人のgsoには早いかなーって思うんだけど…ね?」
「だからこそ、早く慣れないといけないんです。私を、1人前にしてくれれば先輩の仕事も減ります!」
私がいくら熱く語って、いくら説得しても先輩が首を縦に振ることはなく
「いや、別に私こういうの慣れてるから…。」
で、全てかわされてしまう。…わかってる。先輩が全てやった方が早いこと以外。けど、それはただ私を惨めに移すだけで。思わず、言うつもりのなかった言葉を呟いてしまう。
「…私じゃ、役に立てませんか?」
私が、下を俯きながらこの気持ちを、言葉にしてしまう。しばらく無言の時間が続き、いやでも自分の選択が間違えてしまったことがわかる。今、先輩はどんな顔をしているのか。恐る恐る顔をあげる。
──────まるで、豆鉄砲を食らった鳩のごとく目を見開いて驚いていた。
「あ、え。だ、大丈夫ですか?」
気まずい雰囲気を作った張本人のくせに、少し慌てつつも先輩を心配する。すると、先輩はハッとしたようにすぐに表情を変え、ニコニコと笑いながら言う。
「大丈夫だよ!でも、そんなことを思っていたなんて知らなかったからさ。…そう、だよね。役に立ちたいもんね。…うん、技術は継承すべきだ。───次の任務、少し任せてみるよ。」
「っ✨️!!ありがとうございます!」
私は思いっきり頭を振り下ろして、感謝のための礼をする。その時はやっと役に立てると喜んでいたのだが…。
あとから思えば、先輩は非常に複雑そうな表情を浮かべていた。そのことを、私は気づくことはできなかった。
───私にとっては4回目の任務で、そして初めて人を殺す任務でもあった。今回は敵国にある我が国の拠点が攻められているらしく、もう少しで落とされてしまうから、それを守ってこいとの事。相変わらず無茶な内容だが、そのくらい私たちは強い、ということを現していた。心なしか胸を高鳴らせながら鞘に入れた刀を強く握った。先輩は最近買ったんだと言っていた最新型の腕時計をいじくっていた。アナログ時計に見えるが、最近の時計はそういう時計でもゲーム機能などの様々な機能があるらしい。おそらくそれで遊んでいるんだろうな、なんて思いつつ、私は鞘の中にある刀身を見る。人を切ったことがない刀は血を求めているように煌めいているように感じる。…私も同じ気持ちだ、と心の中で言葉を返した。
───そこは、活火山のふもとであった。カラカラの地面に、地面から溢れ出す熱気と所々に積もっている火山灰が、風に乗って舞っていた。それが地味に視界を遮り、風が聴覚を刺激する。ここが、我が国の拠点がある位置だと言われたはずだ。辺りを見渡すが、施設や基地らしい建物はない。
「あれ…?道、間違えちゃったんですかね?」
「いやいや。合ってますよ。しっかりついて来てくださいね。」
ワープロから基地までの道案内をしてくれている男性がガハハと豪快に笑いながらそのままがに股で歩き出す。私はえぇ?と不思議に思いつつもその男の人に着いていく。あたりは火山以外に目立った障壁などはないし、更地に見えるここのどこに基地があるというのか。そんなことは思いつつも、内心は地下にあることを知っている。事前報告書をきちんと読んでいる私は、その事実を知っていた。
「と、言うか!先輩!そろそろ任務なんですから、いい加減そのゲームを───」
「gso。伏せて。」
さすがにずっとゲームを続けていた先輩を咎めようと後ろを振り返り、注意を促すと同時に、先輩からの静かな指示が飛んでくる。
2,692
MIRAN@復活!!
6,580
「───っ!」
私はすぐさまその指示に従い伏せると、そのスレスレの真上に砲弾が飛んできた。
先輩は首をクイッと動かして交わした後腕時計をカパッと開け、銀色の細い何か───おそらく針を勢いよく投げ飛ばす。そうすると、目の前の男はばたりと倒れるが、そのまま地面にぶつかることなく、知らない誰かがその人を抱え、助けていた。
───敵だ。私はすぐさま現状を把握するために、脳内の情報を言語化する。この砲撃は的の攻撃。そして先輩がこの人に武器を放ったなら敵。つまり、私たちは敵に嵌められていたのだ。…いや、私だけだろう。先輩はそれにとっくに気づき、時計で相手にバレないように細工の準備をしていたのだ。
───いや、難しいものはもういい。目の前の奴らが敵、ということさえわかっていれば今はそれだけでいいのだ。
敵の軍のひとりが、芝居かかった動きで我々の前へと立ち塞がる。金色のローブに、白色の帽子を目深に被ったそいつは私ではなく、先輩のみを見てにこやかに笑いながら言う。
「いやはや。敵の兵器が来るとは聞いてはおりましたが。…ただの小娘。油断していましたよ。ただ、今の動き…只者では無いようですね。」
「…我が国の兵士たちは?」
先輩が時計をパチリッと音を立てながらしまいつつそう尋ねる。先輩はまだ時計を見ており、カチカチーカチーカチーカチ。時計の針をクルクルと回していた。
「ふむ。我々がこの情報を知っている、ということが何よりの事実では?」
「…いや、あなたのように賢い人は人質交渉でもしてくるのかと。」
先輩がそう相手を皮肉るように言う。先輩はまだ時計の時間が合わせられていないらしく、針の回る音が風に乗せられて小さく響いた。カチーカチカチカチカチー。
私は、そこでようやくその意味を理解した。
「いやいや。そんな事はしませんよ。ガキはガキ。我々との圧倒的実力差の前では無意」
ザシュッ
刀が、人の首に触れ、皮を切り、肉を切断しようと力を入れる。───が、勢い任せの攻撃のせいで、これ以上切り込むことはできなかった。刀は振り抜くよりも戻す時の方が力がいる。人の肉圧に挟まれているならなおさらであった。私はそのまま刀を置いて、すぐに距離を置く。───が、逃げ切ることができず、相手側が発砲した銃が私の腹元を掠った。
「ガァッ!?」
「う゛ッ!!」
その男の首から血が飛び散るのと同時に、銃の勢いにつられ、私の体内からも血が溢れる。そして、同時に痛みから声を上げた。───掠っただけなのに、その場所が焼けるように熱く、視界がチカチカと点滅する。
相手は切り落とせなかったとはいえ、首を切られたのだ。首元を抑え、そのまま膝をつく。───死んでいない。トドメを指しきれていない。早く、早くしないと───。
「gso。よくやった。【回復】」
先輩が短く呟いた瞬間、私の体が緑の光に包まれるのと同時に、腹の出血が止まる。何回も見たことがある先輩のギフトだが、実戦で癒してもらうのは初めてだった。───体が回復するだけではなく、心の奥底から湧き上がるその安心感。私はすぐさま立ち上がり、ギフトによって刀を作り出し、構え直す。
「ッ!さっきの時計の音はモールス信号ですか…。小賢しい真似をしますね。…しかし、逆を言うならばそうしないと勝つことが───。」
「この場にいる時点で戦争が始まっていることを忘れるなよ。」
先輩は目に見えぬ早さで銃を発砲し、首に刀が刺さった男はそのまま地面に落ち倒れる。今度は、誰もそいつを助けることはせず、無言で銃火器を握り、魔導書を開き、砲弾が飛ぶ。
まるでそいつの死が、戦争の合図のように強風が吹き、銃火器の派手な音が響いた。
2対数百人。それに加えて戦車と魔道士達だった。
先輩は銃を7発ほど打ってからそれを投擲し、懐に忍ばせた短刀を持って風のごとく前進し、確実に急所を貫きながら戦艦目掛けて飛ぶように走っていった。
さて、私は私で先輩が置いていった兵士たちの処理をしなければ。私は新たに作り出した刀を構え、地を強く蹴って突進する。先輩ほどの速さは出せないし、風よりも早く移動することはできないが、普通の人よりかは幾分か早い自信がある。その勢いを刀にのせれば、相手の首を───。
『──────人殺しがッ!!』
突如、幻聴が再び聞こえる。そうだ。私が、この刀を振るって相手を殺せば私は人殺しなのだ。幻聴が闇のようにみえ、私を飲み込もうとするが、私はその闇を振り払う。そんなこと、承知の上で先輩に頼み飲んだのだ。葛藤は既に切り捨てた。
私はそのまま刀を振るい、そいつの首を切り落とす。今度は上手くいった。さっきは本物の人の首を切るなんて初めてだったから手こずっただけで、訓練で何回も人体相応の硬さをした模型を切ってきたのだ。今更すぎる。
私は首をはねた反動をそのまま次のやつの首に当て、私の体を捻りながら切り落とし、次のやつは下から上へと切り上げ、最後に首を落とす。流れるように動け。リズムを掴めたらあとはあっという間なんだ。刺す方がそりゃ楽だけど。それは刺したあと引き抜くための要らない動作が入ってしまう。戦場でのその一瞬の動作も命取りなのだ。隙を見せるな。動き続けろ。弱点だけは打たれるな。
敵の銃撃の連発音が聞こえる。そのひとつが、私の耳をかすり、またまた血が舞う。辺り1面血が飛び散っているというのに、自分の怪我にはまだまだ敏感で。それに、この一撃がもしズレていたら、なんて考えると怖くてたまらない。
(───あ、リズムがズレ)
この一撃をかわすためにズレてしまったリズム。敵の首を斬りきれず急停止。…そんなの格好の的である。あたりに敵が私を全方向から包囲してくる。交わしきれない。特に魔法なんて受けたことがない。どれくらい痛いのだろうか?なんて、既に現実逃避を始める。
その時、一際大きな音が私の目前に迫っていた。
それは砲弾であった。───それが、私の足元に落ち、大きな爆発を起こす。私はその爆風に煽られ宙を舞い、しばらくの空中旅行を楽しむ。何が、起きたのか。そんなことを理解しようとする間にも私は落ち続けている。どうやら私の想像よりも遥か彼方まで打ち上がっているらしく、空気の抵抗をこの身で感じながらも自由落下をし続ける。
いや、違う。ただ何もしないのではなく何か、足掻かなければ。私はそう思い直し、体の向きを変えようとしたが、空気の抵抗によってはそれは徒労に終わる。どうしたものか。運命は私にもう死ね、というのか。それはあまりにも───。
そんなしょうもないことを言っていれば、ドスンッと私の体が地面に思いっきり叩きつけられる。そりゃあんな高いところが落ちれば、とも思ったがそれにしては音が小さいとも思った。それに、切り傷以外に痛む場所はなく、強いて言うなら空中で身を捩ろうとしたせいで今更傷んできた、というくらいだろうか。え、もしかして死んだから痛みを感じないとか?なんて、妄言とすら思える言葉を言えそうなほど私は混乱していた。
先程の砲撃のお陰で私の周りに敵はいなく、先程までの武装集団も、銃火器の爆音と魔法を放つ高い音も聞こえない。一風の風だけが辺りに満ちていた。それは、この任務の終わりと成功を現していた。
───何が起きたのかまだ脳が理解できていなかった。ぼーっと、何も考えずに大地と体を一体化させる。耳からは風の音ではなく、キーーンと耳鳴りが聞こえる。さっき斬られた傷跡が空中旅行で開かれたらしい。切られた衝撃がまだこの身に残っている。
「任務満了だよ〜!g、s、o〜♪早く起きて〜」
先輩の明るい声に導かれるように私は目を開ける。相変わらずの酷い景色で、火山灰を乗せた風が視界を濁し、カラカラの大地は鮮血が滴ってなお潤されることはなく、さらにその地を赤に染め上げんとしていた。貪欲なまでに水を求めたその地に降り注がれたのは恵みの雨ではなく戦場の痕跡であることに少し、ほんの少しだけ同情する。
「…何があったんですか?」
ひとまず、状況の把握が先だろう。私が既に治された体を起き上がらせ、立つまでにはいかずとも座ることができた。hn先輩は笑いながら事の顛末を語ってくれる。
ワープロに乗った先、しばらく歩いているとその男は馬車とともに現れた。どうやら我々を戦場までの案内をしてくれる、ということらしい。gsoはなんとも思わなかったらしいが、私はすぐにこれが嘘だと気づいた。戦場にいるのは兵士のみでありそもそも敵国の中にある隠された拠点なのだからこんな目立つ馬車を持っている、というのはおかしい。それに、こいつの服装は簡素なもので、木綿で作られたような見た目だが実際は魔法が織り込まれた対人間に強い素材だった。…もし、我々の国の兵士だとしてもいかにもな甲冑を着て来るはずだ。何故ならば私達の国が発展しているのは科学であり、魔法は不得意であるからだ。
と、なると。こいつは敵兵の1人であり、状況から察するに奇襲を仕掛けるために、ということだろう。私は、時計をいじくる。周囲に生き物の気配を感知して教えてくれる優れものだ。薄いピンクの光───つまり私を中心として、小さな点のような赤色の光が囲むようにたくさん点滅していた。既に囲まれているならば大人しくしておいた方がいいだろう。最悪この男が自爆しかねない。その自爆の威力は魔法も混じっているから想像を超える可能性がある。…大人しく誘われるがままに乗ったほうがいい。こいつが離れた時に殺せばいい。
私はそう決め、私の顔に笑みを貼りつけてから馬車に乗り込む。そして、馬車に乗っている間。gsoはその男と話し込んでいる。どうやら現状について聞いているらしい。…本当に騙されているのか、はたまた演技なのか。…十中八九騙されているのだろう、と思う。だが、こちらの方が好都合。男は完全に油断しきっている。
私もただ暇だから時計を弄っているようにしか見えないだろう。時計の中にある針に毒を塗り込んでおく。この毒は空気に触れてから3時間しか持たないため、普段は密封しているが、こういう非常事態には持ってこいのものである。私は攻撃系のギフトがない。だからこういう小細工とずる賢さで生き残ってきた。今日も今日とてそれはキレキレである。
そこは、荒れ果てた荒野であった。活火山の麓の平地。視界はあまり良くなく、注意深く見なければその奥にいる大軍に気づくことはできないだろう。また、強風も吹き、音が風にさらわれてあまり聞こえない。相手側からしたらこれ程よい奇襲条件はないだろう。私は周囲に目を光らせ、奇襲のタイミングを今か今かと待ち続ける。
「あれ…?道、間違えちゃったんですかね?」
「いやいや。合ってますよ。しっかりついて来てくださいね。」
gsoが不安げにそう問うてもその男は自信に満ち溢れた顔で下品に笑う。そして、地ならしのように大きな足音を立てながら急ぐように私たちから距離を取る。やっとそいつが離れてくれたことに安堵すると共に、それは奇襲の合図でもあった。───その一瞬、黒い物体が私達へと向いたのを見逃すことはなかった。
「と、言うか!先輩!そろそろ任務なんですから、いい加減そのゲームを───」
「gso。伏せて。」
短く指示を出す。そうするとgsoは大袈裟に驚きつつも、反射的に体を伏せていた。私は砲弾の起動を見ていたので最小限の動きで交わし、外したと驚いている面々に奇襲を仕掛けるため、時計の中に仕込んだ毒針を投げ飛ばす。別に当たればラッキー外れても牽制ができてよし、という意気込みで投げたつもりだったが運良くそれは男にあたり、そのまま倒れると思った時に金色のローブを纏った男に担がれ、その未来は回避された。
まあ、どうせそいつ数十秒後に死ぬけどな、なんて思いながらそいつに改めて視線をやる。
白色の帽子を目深に被り、いかにもな金色のローブを身に纏うそいつは聖職者の一端なのだろうとわかる。あんな豪勢な格好はそのくらい地位の高いものでないと着ることができないからだ。
「いやはや。敵の兵器が来るとは聞いてはおりましたが。…ただの小娘。油断していましたよ。ただ、今の動き…只者では無いようですね。」
大袈裟に拍手をしながらゆっくりと歩くそいつの帽子の奥は欲望と過剰な自信に溢れていた。
それに、この言葉を聞くだけならば私の情報は知られていないらしい。…そりゃそうか。私の戦場で敵側で生存者を出したことはない。魔法を発動する前に殺すことを心がけているからこの情報が敵側に伝わることはない。
…まあ、秘密軍隊なのだから全員殺すのは当然のことではあるが。
「…我が国の兵士たちは?」
時間を稼ぐ。そんなもんとっくに殺されてるに決まってる。じゃなきゃこんな堂々と宣戦布告してくると思えない。私はアナログ型時計の針を動かすことで少し大きめの音を鳴らす。…以前教えたモールス信号。gsoがまだ覚えているかどうか。簡単なテストを含めて私はカチカチと時計の音を鳴らす。最初の文字は『せ』
「ふむ。我々がこの情報を知っている、ということが何よりの事実では?」
この金色ローブは時間稼ぎということが分からないほど馬鹿らしい。少々捻られてはいるが、真面目に答えてくれる。そのセリフ、悪役のテンプレであることを知らないのか?なんて相手の脳の出来の悪さに哀れみを感じつつ、私もちゃーんと相槌を打ってあげる。
「…いや、あなたのように賢い人は人質交渉でもしてくるのかと。」
次のモールス信号を送る。次は『め』。合わせて読めば『せめ』。事前に伝えたこの意味は今すぐに攻撃をしろ、という合図である。この意味にgsoは気づいたらしい。
「いやいや。そんな事はしませんよ。ガキはガキ。我々との圧倒的実力差の前では無意」
そいつが何か言おうとした時、gsoは既に行動に移していた。
刀の刀身を少し覗かせてから力いっぱいに地面を蹴り上げてそのリズムに合わせて刀を引き抜き、そいつの首元に刀を振るう、が。力及ばず。その首を切り落とすことはできなかったようだ。
そりゃそうだ、と私は思ってしまう。まず、姿勢がダメすぎる。自身より背の高い敵だから、高く飛び跳ねたが、そのせいでgsoの体が地面と平行になってしまっている。そんなんじゃ力が入るわけが無い。
次に、首を切ることに執着しすぎている。今回は奇襲なわけだから、別に足を切って動けなくさせて足手まといを作ったっていいわけだ。なんなら心臓に一刺しでもいい。不意をつければ、相手側は一瞬固まる。その一瞬のうちに逃げられるほどに今のgsoは強いはずだ。それに、ぱっと見た感じ戦争に手馴れている者は少なく、才能がある新参者の集まり、といったところだろう。もしくは、金色ローブがサポート系でその力を確かめるため、とかだと予想できる。
まあ、つまり総合して言いたいのは金色ローブだけ殺せば終わり、ということだ。そうすればあの組織はなし崩しに崩れる。だから、別に首に固執する必要はなかった。ま、別にこれだけでも良い成果だ。───gsoが物怖じしない、ということをしれただけ充分じゃないか。私は、そういう所に好意を持ったんだから。
gsoは刀が引き抜けなくなってしまったらしく、数瞬だけ思考のために立ち止まってしまう。そのうちに相手から反撃をくらい、彼女の腹元に銃弾がかする。互いの怪我に痛みに悶絶する言葉が響き、gsoはこちら側に戻りつつも、痛みによって顔を歪ませていた。
「gso。よくやった。【回復】」
私は、即座に自身のギフトを発動し、gsoの怪我を治す。彼女は即座に呼吸を整えてみせ、なんなら刀を即座に作り出し、次の戦いに備えていた。なんという判断能力。そして初めて生身を攻撃する、というのに躊躇いのない一撃は本当に素晴らしいと思った。やはり、慣れている?
そんなことを思いつつも仕留め損なったそいつに私は視線を向ける。そいつは首元に刀が刺さったことを忘れているのか、そのまま話し始める。…死んでいないのはおそらく【神の加護】なんて言うバカバカしいものなのだろう。
「ッ!さっきの時計の音はモールス信号ですか…。小賢しい真似をしますね。…しかし、逆を言うならばそうしないと勝つことが───。」
長々としたご説教を受けるつもりはないので話を遮り、少しばかりのアドバイスを上げながらも私は持っていた銃を即座に引き抜く。
「この場にいる時点で戦争が始まっていることを忘れるなよ。」
その言葉よりもやや前に私は銃を発砲する。全弾8発全て発砲し、確実にそいつを仕留めつつもすぐに作業に取り掛かるべく懐にしまってあった短刀を構えながら相手に急接近する。金色ローブが倒れた音が真横から聞こえ、死んだんだな、なんて思いつつ私はその隣にいた男の首を掻っ切り、致命傷を与える。
狙いは雑魚兵なんかよりも後ろに鎮座している戦車。その近くにいる敵らの胴体を真っ二つにしつつその戦車の入口をみつけ、短刀で無理やりこじ開け、侵入し中の操縦者をぶち殺す。
何事も無かったかのような平然な顔をして、私は真っ赤になってしまった操縦席に腰掛け、我が物顔で砲弾をぶちかます。自動追尾式だったらしく、適当にやっても簡単に飛んでいくその砲弾はそれはそれは便利なものである。脳死で使いたくなるところを避けつつ、私は戦場を見渡す。逃げようとしているやつが数十人、まずgsoを殺そうとしているやつがほとんど、と言ったところだろうか。戦車が奪われている、だなんて思っていないんだろう。そう思いながら、私はgsoの方へ砲弾を1発かましてやる。理由は簡単。そっちに敵が沢山いるから。
それに、gsoは強い衝撃にやられるほどやわではない。いや、違う。私がそうしているから死ぬことは絶対ないし、この砲弾で怪我をすることもない。
私はさらに数発打った後、逃げようとしてたヤツらを殺しに戦車をおり、勢いよく地を蹴った。報連相がなっていない奴らは情報を持ち帰る、なんて目的よりも生きることを目的に逃げている。まだ、報告されていない。私はそのまま喉元を掻っ切り、次へ次へと殺していく。
───任務完了である。
「って感じかな〜。まあ、敵かどうか気づくのは慣れだからそこは気にしなくてもいいけど…。」
先輩がそう言って私の頭に銃を突きつけてくる。戦場の熱い空気が一瞬で冷やされ、その強さの上下関係が刻まれる。
「敵を誰1人生かして返すな。…ってことを忘れないでね!」
ゾッとするほど冷たい声の後には既にいつもの調子に戻り、明るいトーンでそういう。私はただ無言で頷くしか無かった。
それにしても…。今回の戦いで私と先輩の強さの差、格の差っていうものを分からされた気がした。そもそも私と先輩が任務に対しての準備量も、戦場への冷静な分析も、培った知識もない。それに、私の行動は少々後先を考えない行動だった気もする。…以後、気をつけよう。そう思いながら私たちは並んで来た道を戻って行った。
今回のお話はここまで。長文を読むのはお疲れでしょう。目の休憩を忘れずにお願いしますね。
今回のお話ではgsoさんが不器用ながらも頑張るのと、hn先輩の圧倒的実力を全面に出して書きました。戦闘パートはテンポを重視したはずですが…仕掛けを凝ってしまい、結果9000文字を超えるという人を選ぶ文字量になってしまいました。まあ、この物語は基本6000文字ですので、大分多いですね…。これだけ多いと誤字脱字も多いと思いますが、そこは雰囲気で読んでくださると幸いです。
それでは、皆様。また次の物語で会いましょう。
さよなら。
コメント
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みぅ🤍🥀です。読んできたよ……。 hn先輩の圧倒的な実力差と、gsoの必死さの対比がすごく胸に刺さった。初めて人を♡♡♡って決意したのに、実際の戦場じゃ経験不足が出ちゃうもどかしさとか、先輩の冷たい口調の裏にある信頼とか……重かった。 でも、gsoが"役に立ちたい"って言ってからもがく姿、好きだな。不器用でもちゃんと前に進もうとしてるのが伝わってくる🌙 次も静かに読みに行くね。お疲れさま。