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文才を魅せられていくぅ
無題 mmmr 青タン?
思いついたの殴り書き
なので、設定とかわけわからんかもです
これは残しておきたかった
そのうち連載としてリメイクします (多分)
「祭り、終わっちゃいましたね」
月が昇り宵の口に差し掛かろうとする時、めめさんはそう言った。
「…そうですね」
掠れた声で俺は答えた。
「……戻りましょうか」
その言葉を合図に、夜の寒気が肌を刺す中、俺とめめさんは二人並んで繁華街へと歩いていった。
「………」
「………」
お互い何も言わず、言う事もできずにいた。
どうか時が止まってくれ、と言う俺の願いも虚しく、あっという間に繁華街の〝店〟に戻ってきてしまった。
「……では、私はこれで。…さようなら、伊右衛門さん」
そうして玄関に戻る彼女の姿が橙色の灯火に呑まれて消えそうになる寸前、俺は叫んだ。
「…俺はッ!必ず貴女を!だから、だから!」
精一杯の叫びだった。魂からの叫びだった。
この叫びが届くかどうかなんて分からない。届いたところで、鼻で笑われて終わりかもしれない。
それでも、叫ばずにはいられなかった。
「……そうですか」
めめさんの透き通るような淡い声が、震えていた。
はっとして顔を上げると、彼女の頬を幾筋もの雫が濡らしていた。
「…ッ!めめさん!」
耐えきれず、懐から渡す予定の無かった物を取り出し、めめさんに握らせる。
祭りの屋台で買った、粗末な物だ。
こんな物、めめさんは腐るほど貰っているだろう。それこそ、こんな物と比べ物にならない程高価で、煌びやかな物とかをだ。
それでも、渡しておきたかった。
「俺は、本気ですから!必ず、貴女を!」
「…ッ!伊右衛門、さん…!」
めめさんは唇を噛み、嗚咽を抑えている。
俺も、悔しくて苦しくて、身のうちから湧き出る慟哭を抑えていた。
数秒後、めめさんは噛んでいた唇を離し、呼吸を整え、自身を落ち着かせていた。
「…すみません。変な所を見せてしまいましたね」
そう言うと、めめさんは零れ落ちる雫を拭い、整った顔をこちらに向けた。
「……待ってますから、ずっと」
その言葉を最後に、めめさんは灯火揺らめく店の中へと消えていった。