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#50人クラフト
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まだ暑い夕暮れ
コンビニの駐車場にセミの声が響いてる
なっしーはスマホで通知を確認しながら隣にいる小さな影を見ていた
「ぱぱ~」
小さな手がなっしーの裾を引っ張る
「創どうしたの?」
「はじめアイス食べたい!」
「いいよぉ。それじゃアイスコーナー見よっか」
「うん!」
無邪気に笑う創の頭を撫でてから手を繋いで歩き出す
けれど、そんな穏やかな時間は唐突に破られた
「なっしー!!?」
背後からかけられた声にビクッと震えてしまう
振り返るとそこには見慣れた顔ぶれ、KUNさんや暇人さん、陰キャさん、そして…このさんがいた
しまったと喉奥で呻いてしまう
バレちゃいけなかったのになぁ
なっしーを受け入れてくれたニート部の皆にすら隠していた“秘密”
なかでも……このさんには隠したかった“秘密”
「KUNさん、暇人さん、陰キャさん、このさん。みんなで実写撮影ですか?」
「そうだけど、なっしーその子は?」
視線がなっしーと手を繋ぐなっしーとそっくりな創に注がれる
「あ~バレちゃいましたね。しょうがないか」
なっしーは諦めて苦笑しながら創に目線を合わせて話しかける
「創、パパのお友達にご挨拶できる?」
「うん!あしだはじめ5さいです!」
「よくできました。……まぁ、そういうことです」
「、産ませた?産んだ?」
KUNさんの声が低く鋭くなった
隠せないだろうなとは思ったけどやっぱり無理か
にっこりと笑って白状した
「やっぱりKUNさんは“こっち側”ですよね~産みました」
「年齢からして“正しくない”妊娠だな?誰だ」
「遠縁の親族です。色々ありまして」
「まさかとは思ってたけど芦田一族の本家か」
「母さんがそうですよ。父さんは翼手です
「マジか」
「レアやな」
「…芦田一族らしい翼主至上主義だな。後で斑鯖に招待するから入れ」
「そんなのあるんですね」
「参加者は少ないけどな」
KUNさん達と別れ気が付けば日が完全に暮れてしまった
夜の公園ではちらほらと秋の虫が鳴く
帰るまでに溶けてしまうからとベンチでアイスを食べる創を眺める
静かな時間
けどなっしーの瞳は暗く沈んでいた
なっしーの両親は恋愛結婚だった
芦田の、翼主の血を引く名家の娘と差別対象の翼手の青年
その関係がどれだけ世間で異端だったのかは本人たちには関係なかったらしい
母は「私は芦田の中でも自由だったから」と朗らかにわらっていた
──けれど、芦田の血は枷だった。どれだけ足掻いても簡単には解けない枷
母には昔婚約者がいた
父に出会い破棄された分家筋との婚約
分家の中で血を濃く受け継ぎ名家に相応しい肩書を持ちながらも生まれは軽種の男
男にとって母は本家筋に婿入りするための鍵だった
生き残るために蹴落とし、奪い、這い上がった末に手に入れた鍵
それなのに翼手の男にその鍵、婚約者を奪われたと知った時に彼の中でナニカが壊れたのだろう
なっしーは今でも覚えてる
あの日、されるがままだった自分の身体
突き飛ばす力も叫ぶ勇気も持てなかった
翼手として生まれてきた自分が悪いと、散々暴力を受けたあとだったから
望んだ妊娠ではなかった
けれどなっしーは創を産んだ
授かった命を憎めるはずがなかった
小さな手、小さな声、小さな笑顔
自分をパパと呼んでくれる存在をどうして突き放せるだろう
「ぱぱ、どうしたの?つかれた?」
「うぅん昔のこと思い出してただけだよ」
「むかしのこと?」
「創が産まれるよりも前のこと」
なっしーは少し震える手で創の頭をゆっくりと撫でる
「ぱぱ」
「ん~?」
「ぱぱがむかしないてたのしってるよ」
「えっ?」
「なきながらごめんねってあいせなかったらどうしよって」
喉が締め付けられるような気がした
だってそれは創を妊娠してから悩んでた時のなっしーの言葉だったから
「ぱぱはぼくをあいしてくれてるからだいすきだよ」
「うん創のことパパも大好きだよ」
「だからもうなかなくていいんだよ!」
創が小さな腕でぎゅっとなっしーの腰に抱き着いてくる
温かなその存在に何かがほどけてとけていく
「ありがと創、パパもう泣かないよ」
コメント
3件
読み終えました……🥀 なっしーの“秘密”が一気に明かされる回、重かったけどすごく良かったです。 創くんが「ぱぱがむかしないてたのしってるよ」って言うシーン、もう胸がぎゅっとなりました。あの小さな存在になっしーが救われる感じ、泣けます。過去の暴力や望まない妊娠の重さを背負いながらも、創くんを愛してるって言える強さが美しかったです。 愛情ってちゃんと伝わるんだなって思わせてくれるエピソードでした……🖤