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「それでこうガッ!って俺が回り込んだんだ。」
「その後は俺がトドメを一撃でだ。」
「大活躍じゃないですか…!すごい…!」
これまでの航海の話をいぶきは楽しそうに聞いている。
いぶきはすっかりみんなと馴染んでいた。
良かった……この船の奴らがいぶきの事を理解し、
受け入れてくれて一安心だ。
「マルコ隊長。」
「おういぶき。いいのかいあいつらと話してなくて?」
「はい、たくさん皆さんとお話ししましたから。
ちょっと涼みにこっち来ました。」
端に寄り掛かってパイナップルを食っていると、
いぶきがやってきた。
「よく見たらパイナップル丸かじりしてる…」
「あァよくこうやって食うよい。」
「口の中痛くありませんか…?」
「別に痛かねェよい、俺の口は頑丈で出来てんだ。
それに丸かじりするくらいパイナップルが好物だしな?」
「そ、そうなんですか…。」
目を丸くしていぶきは驚いた様子だった。
その表情がおかしくて思わず小さく吹き出しちまうが、
その後いぶきは自分の頬を人差し指で差して何かを訴え始める。
「ん?何だよい?」
「口元に食べカス付いちゃってますよ?」
いつの間に食べカスが…指摘された場所を拭うが、
なかなか上手く取れずに苦戦する。
その様子を見兼ねたのかいぶきはくすっと笑って俺に屈むように言った。
「ふふふ、ここですよ。」
そっと屈むといぶきは微笑みながら食べカスを取る。
「…っ………」
距離が縮まり、口元にいぶきの手が触れる。
それにほんのりと微かにいい香りが漂い、何故だか胸が高鳴っていった。
……って、何をドキドキしてんだか俺は……
こいつが一体何歳なのかは分からねェ…
だが俺よりだいぶ下だろうというのは雰囲気からして分かる。
みんなより小柄で、礼儀正しい小っこくて可愛らしいお嬢さんだと思ってたが…
「うん、取れましたね良かった!」
よく見ると大人びた顔つきをしている。
そうか……こいつは
「ありがとよい…恥ずかしいところ見られちまった……」
「いいえそんな。あっ、そうだ片付け手伝ってくれって言われてたんだった。
すみません、ちょっと行ってきます。」
そう言っていぶきは甲板の方に向かっていく。
一人になった俺はそっと溜め息をつき、額を押さえる。
俺は今日もしかして酒を飲み過ぎちまったか…?
全く、まだドキドキしてやがんよい……
でも
「あいつも、大人の女なんだな………」
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