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その後先輩から将人くんの事やいじめの事。お母さんに言われた”病気”の事も聞いた。俺はただ、黙って聞いていた。
「…だから、翔くんが告白してくれた時も翔くんに”病気”って言っちゃった。悪気がなかったとはいえ、翔くんを傷つけた事には変わりないよね。本当にごめんなさい」
愛斗先輩はそう言って頭を下げる。
確かに、病気と言われた時は傷ついた。先輩の話を聞いた今も正直傷が癒えた訳じゃない。
でも、先輩の過去を知ったら仕方ない事だと思うし、好きな人にそんな真剣に謝られたらさすがに許してしまう。
「先輩。顔、あげてください」
俺がそう言うと、愛斗先輩は顔をあげる。
せっかく離れる覚悟が出来たのに、許してしまうとまだ一緒に居たいと思ってしまう。でも、もう愛斗先輩と友達に戻るなんて俺には無理だ。
先輩と一緒に居たら先輩を好きじゃなくなるなんて絶対に無理だって分かってるから。
「もう大丈夫ですよ。先輩の話聞いて、先輩が悪くないって事は分かったので。もう、行きますね」
俺はそう言って来た道を戻ろうと歩き出す。
胸がズキっと痛くなる。こんなに苦しいなら、やっぱり会わなければ良かった。
目にじんわりと涙が滲む。そんな俺の腕を愛斗先輩が掴んだ。俺は思わず立ち止まる。
「待ってよ。まだ話は終わってないよ」
「俺は話す事なんて無いです。離してください」
泣いているのがバレたくなくて、振り向かずにそう言った。
「俺は話したい事があるの。ちゃんと聞いて…」
「嫌です!」
俺はそう言って振り向く。
「先輩と居ると苦しいんです。好きだから。先輩は俺と友達のままでいたいって思ってるかもしれないけど、俺は無理なんです。先輩の事好きじゃなくなるなんて、絶対に…」
そう言う俺を愛斗先輩は抱きしめる。
「俺も無理だよ。友達に戻るなんて。だって、俺は…」
先輩はそこで口を噤み、抱きしめる手の力が強くなった後、再び口を開く。
「俺は翔くんが好きだから」
心臓がドクドクと脈を打つ。
嘘。先輩が俺を好きなんて、信じられない。
「…それ、嘘じゃないですよね」
俺がそう言うと、愛斗先輩は抱きしめるのを辞め、俺の顔を見る。
「嘘じゃない。好きだよ。翔」
そう言った後、愛斗先輩の唇が俺の唇に触れる。俺は思わず目を見開く。
愛斗先輩は顔を離した後、俺の顔を見て、ふふっと笑う。
「もー。翔くん、驚きすぎだよ。でも、驚いてる顔も可愛いね」
それを聞いた俺の体がボワッと熱くなる。
「か、可愛いとかやめてくださいよ。大体急に好きって言われてキスされて全然頭追いつかないんですけどっ」
「ごめんね。今言わないと二度と会ってくれないと思ってちょっと焦っちゃった」
先輩はそう言って苦笑いする。
「俺も勝手に勘違いして逃げようとしました。すみません」
「いいよ。今はちゃんと話聞いてくれてるし」
「まぁ、そりゃあ、好きって言われたら…」
「あっ。これも言わないとね」
「なんです?」
「俺と付き合ってください」
先輩はそう言って俺の方を見る。
「もちろんです。これからよろしくお願いします」
俺はそう言った後、愛斗先輩の口にキスをする。
顔を離して、愛斗先輩の顔を見たらなんだか急には恥ずかしくなってしまった。
「あれ。翔くん、顔赤いけどもしかして照れた?」
「あっ…そ、そうですね… 」
「自分でキスした癖に。ほんと可愛いね」
愛斗先輩はそう言ってニコッと笑う。
やばい。なんか、いつもの可愛いと違う。きっと好きが含まれた可愛いだって分かってるからだ。
そう思うと余計に体が熱くなってしまった。
「だからっ、可愛いはやめてくださいって」
心臓がいつも以上にドキドキしている。どうしたんだろう。俺。
そんな俺の気も知らないで、愛斗先輩は俺の顔をのぞき込む。
「何。翔くん。可愛いなんていつも言ってるでしょ?」
「だって、その可愛いって可愛い。好き。みたいなニュアンスですよね」
「まぁ…そうだね。俺からの可愛いは可愛くて好きって意味だよ」
愛斗先輩はそう言ってニコッと笑う。
「そんなの恥ずかしいんですけど。これからは可愛いなんて軽々しく言わないでください」
「嫌だよ。俺は翔くんが可愛いと思ったら何度でも言うよ?」
「別に思うのは勝手ですけど、言うのはやめてください。俺の心臓がもたないです」
「ふ〜ん。翔くんは可愛いって言うと胸がドキドキするんだね。可愛い」
愛斗先輩はそう言ってニヤッと笑う。
「もう。愛斗先輩のバカっ」
俺はそう言って頬を膨らませた。
「でも、俺の事好きでしょ?」
「調子乗らないで下さい。俺はそう簡単に好きなんて言いませんよ?」
「それは残念。俺はいつでも答えるよ。好きって」
「…愛斗先輩はドキドキとかしないんですか。俺といて」
「するよ」
そう言って愛斗先輩は俺の手を掴み、自分の胸に手を当てさせる。
「ほら、今もドキドキしてる」
確かに先輩の言う通り、先輩の心臓はドクドクと音を立てていた。なんだか少し恥ずかしい。
「…本当ですね」
「なんで翔くんが照れてるの」
「照れますよ。俺の事好きってよく分かりますし」
「そっか。じゃあ…」
愛斗先輩はそこで口を噤み、俺の手を離した後、俺の胸に手を当てる。
「好きか答えてくれなくても、こうすれば好きって分かるね」
そう言って先輩はニコッと笑う。
やばい。さっきより胸がドキドキしている。
そんな俺に気づいたのか、愛斗先輩はふふっと笑う。
「どんどん早くなるね。可愛い」
「もういいです。俺帰ります」
俺はそう言って再び歩き出す。そんな俺の横に愛斗先輩が並んだ。
「待って。俺も一緒に帰る。それか、カフェにでも行かない?」
「行かないです。帰ります」
「翔くん、怒らないでよ〜」
「別に怒ってないですよ?」
「じゃあカフェ行こ?」
「行きません」
「いいから行こ」
先輩はそう言って俺の手を握る。
「ちょ、ちょっと先輩」
まったく。この人は。平気でこういう事してくるんだから。
俺は頬を赤らめたまま、黙って手を繋いで先輩について行った。
それから数日が経った頃。愛斗先輩とデートに行くことになった。水族館に行った後、カフェに来ていた。
メニューを注文した後、愛斗先輩がカバンから何かを出す。
「翔くん、これ」
そう言って渡されたのは、ラッピングのされた細長い箱。
「えっ。俺にくれるんですか?」
「うん。バレンタインのお返し」
そういえば今日は3月14日。ホワイトデーだ。
愛斗先輩とデートって事しか考えてなくて全然気づかなかった。
「開けていいですか?」
俺は思わずニヤニヤしながらもそう言う。
そんな俺を見て、愛斗先輩はふふっと笑う。
「いいよ。開けてごらん?」
愛斗先輩にそう言われ、俺はラッピングを外し、箱を開ける。
「ネックレス…ですか?」
「うん。翔くんに似合いそうだなって思って」
「ありがとうございます。付けてみます」
そう言って俺がネックレスを取り出すと、愛斗先輩が立ち上がり、こっちに来る。
「ネックレス、貸して?」
「はい」
俺がそう言ってネックレスを渡すと、愛斗先輩は俺の後ろに回り、ネックレスを付ける。
その時、耳に少し愛斗先輩の手が触れて、ドキッとしてしまった。
先輩はネックレスを付け終わると、向かいの席に戻る。
そして、俺とネックレスを交互に見たあと言う。
「はぁ。可愛い。似合うとは思ってたけど、こんなに可愛いなんて」
「そ、そうですか?」
「うん。可愛すぎるから俺とのデートの時以外付けるの禁止ね」
「えぇ〜。せっかく愛斗先輩がくれたのに」
「じゃあ、いっぱい付けれるようにたくさんデートしよ?」
先輩はそう言ってニコッと笑う。
その笑顔を見て、胸がドキッとしてしまった。
「なんでそんなキザな事平気で言えるんですか」
「キザかな。まぁ、だとしたら翔くんのせいだね」
「ははっ。どうせ翔くんが可愛すぎるから〜とか言うんでしょ」
「大正解。翔くんが可愛い過ぎるのが悪いよ」
「繰り返さないでください。言うの阻止するために俺が言ったのに」
「そういう所も可愛いね」
先輩はそう言ってニコッと笑う。
「あー、もうこのネックレス他の人と遊ぶ時にも付けちゃお〜」
「ダメダメ。俺といる時だけね?」
「じゃあ可愛いは封印してください」
「無理だよ。翔くんがその可愛さをどうにかしてよ。まぁ、翔くんは何しても可愛いけど」
「あっ。また言った」
「翔くんが可愛いのが悪いんでしょ?」
「またそれですか。確かに俺は可愛いですけど、先輩が言わなければいいだけの話じゃないですか」
「でも、気づいたら口に出てるから仕方なく無い?」
「分かりました。俺が可愛くなくなればいいですね。俺もうグレます。リーゼントにします」
俺がそう言うと、愛斗先輩は考える素振りをした後、ふふっと笑う。
「いいね。リーゼントの翔くん、絶対可愛い」
そう言ってまたふふっと笑う愛斗先輩に俺は苦笑いする。
ダメだ。この人には何を言っても可愛いで返される。
「分かりました。俺の負けです。いくらでも言ってください」
俺はそう言って諦めるしかないのだった。
~完~
コメント
2件
わあああああああああああ!!!!!!!!なんかいつの間にか完結してるううううううううううううう!!!!!!!マジでこの作品が大好きすぎて待っていたら完結していました!!しかも、翔くんと愛斗くんがくっついてくれて良かったです!その後に続く作品で妄想中に春人くんカップルと翔くんカップルがダブルデートしている妄想しちゃいそうで自分が恐ろしく感じます(`;ω;´)マジでこの作品が完結し、しかもハッピーエンドで終わってもうお母さん嬉しい(泣)(←誰だよ) もうほんとにマジでを何回も使いますがマジでマジでとてもいい作品を作ってくださりありがとうございます!!!!!なにか読む物がなくなったときにでも何回も読んでそういやここはこんな展開だったなと細かなところも思い出しなが読みたいと思います!!最後にこの文中にも入れましたがマジでありがとうございました!(こんな長文になってしまいました。読むのがめんどくさいと感じると思いますが読んでくだるととても嬉しいです!)