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そもそものはじまりは元旦の夕方、人でごった返した駅のホームでした。
この日私はというと、行きたくもない上司の邸宅によばれた帰りでした。これでも私、会社では期待されてて、上の方たちには結構気に入られているんですよ。ああ、こんなことどうでもいいですね。
凍てつくような寒い日でしたが、上司に勧められたアルコールのせいで、暑いくらいだったのを覚えています。普段の移動手段はもっぱら車ですが、酒が入ることを見越し今日だけは電車を使っていたのです。
「すごい人だなぁ」
私はうんざりしながらも、目的駅の出口に一番近い車両に乗ろうと人の間を縫って歩いていました。
するとおもむろに、私の前を歩いていた小柄な少年のコートから、パスケースが転がり落ちたのです。拾ってみると、中に「〇〇駅━△△駅」と区間が記された定期券が入っています。
「これ、落としましたよ」
私が後ろから近づいて声をかけると、その少年が振り返りました。
この時生まれて初めて感じた、全身を雷に打たれたような衝撃は今でも忘れられません。いや、我ながら陳腐な表現ですが、本当にそうだったんだから仕方ないでしょう?きっとこれは、一目惚れだったのだと思います。実際、その少年は惚れるに値する綺麗な子でした。
歳はだいたい14、5でしょうか。なんというか、黒猫を思わせるような感じでした。元気に跳ねた黒髪がいかにも少年らしい反面、黒のタイトなニットとパンツに包まれた、スラリとした肢体はどこかコケティッシュでした。
そして最も目を惹いたのは、猫のように釣り上がった大きな赤い瞳です。小さな顔の中でひときわ印象的で、吸い込まれそうな魅力があったのです。
「あの、それ……」
「ああ失礼、呆としてました。どうぞ」
少年に見惚れていた私は、慌てて手に持っていた物を差し出しました。
「ありがとうございます」
少年は受け取ると、礼儀正しく私へお辞儀しました。この時残念なのは、少年が無表情だったことです。私としては、笑顔の一つでも見たかったのですが。
「じゃあ、これで」
少年はまた頭を下げると背を向け、やはり猫に似たしなやかな動きで、停まっている電車へ向かいました。
「このまま終わりにしたくない」
私はこう思い、とっさに少年の後を追って人混みに紛れ一緒に乗り込んだのです。目的の電車でもないのに。この時点で、おかしいと自分でも思います。
乗り込んだ電車は芋洗い状態でしたが、私は上手く少年の後ろに陣取ることが出来ました。奥のドア付近に立つ少年は、私がすぐ後ろにいることなど全く気がついてない様子です。もう、通りすがりの親切な人間でしかない私のことなど、すでに意識に無いのでしょう。自分はこんなにも想っているのに……などと、身勝手な感情を抱いたものです。
そのうちアナウンスが流れドアが閉まり、電車が走り出しました。初詣だの初売りだのの帰りで、車両はギュウギュウで実に不快でした。でも後悔はありません。少年と少しでも長く一緒にいられるのですから。
少年はというと、上着の内ポケットから何やら折りたたんだ紙きれを出すと、広げて眺め始めました。それは、神社のおみくじでした。おそらく彼は初詣の帰りで、その時に引いたものでしょう。少年より一回りも背が高く真後ろにいた私には、そのくじがよく見えました。「大吉」と記されたそのくじを、少年は大切そうに持ち真剣に読んでいます。きっと初詣で大吉が出たことが嬉しかったのでしょうね。子供らしくて、微笑ましいものです。
まあ、ストーカーのような真似をしている時点で、危ない人間なのは理解していますが、ここまではまだ良かったんです。なにも起きてはいないのですから。問題なのはこの直後です。
突然急ブレーキの耳障りな音がして、車内が大きく揺れたのです。乗客たちの体は傾き、押し合いへし合いをしました。私も押されてたたらを踏みましたが、前にいる少年を潰してはいけないと、とっさにドアのガラスに手をつきなんとか耐えました。これがいけなかったのです。
このせいで、私は少年の身体と密着するような体勢になってしまいました。それこそ、体温を感じるほどに。そしてこの時「この少年に触れたい」と、いけない欲望が頭をもたげたのです。
もちろん、犯罪であることは重々承知しています。そもそも、痴漢をして興奮するような変質者でもありません。また、少年を性の対象にする趣味もなかったはずです。でも、今となっては自信がなくなりました。恋というのは、恐ろしいものですね。
私は少年のしなやかな肉体を思い出しながら、小ぶりな尻に手を伸ばしました。少年はというと、混雑で偶然触れただけだと思っているのか、おみくじを眺めたままです。それが面白くなくて、今度は臀部を揉んでみることにしました。するとやっと異変に気づいたのか、少年の体がこわばります。
少年の肉は、女性特有の柔らかさとはまた違う、弾力に満ちた柔軟さがあります。揉む度に手にフィットするゴムまりのような感触は、とても心地いいものでした。
「こんなに緊張して……びっくりさせちゃったかな」
この時少年はおみくじを握ったまま、硬直していました。突然触られて、状況が飲み込めていないのでしょう。抵抗がないのをいいことに、私は割れ目に指をじっとり這わせ、局部にまで滑らせていきます。
「あ……」
少年は体をビクつかせると、小さな声を漏らしました。私は構わず引き締まった内ももを撫でまわした後、局部への愛撫を始めました。
そこは急所というだけあって柔らかく、私は潰さないよう優しく服の上から刺激します。
「ぅ、っ……」
少年の体は、ますます緊張しこわばりました。
「ああ、怖いだろうなぁ。せめて気持ちよくしてあげたいな」
などとズレたことを私は考え、後ろから両腕を回し、大胆にもタイトなパンツの中に手を入れたのです。
「やっ……! やめ、ろ」
さすがに危機感を覚えたのか、少年は私の手をつかみ初めて拒否の言葉をあげます。遅いくらいですが当然でしょう。ですが残念ながら、今さらやめる気はさらさらありません。また周囲も、大勢の乗客のせいで騒がしく、少年の異変に気がつく者はいませんでした。
やはり少女に比べて、男である少年の抵抗する力は強かったです。ですが成人している私と彼では体格が違いすぎました。くわえて、私自身が格闘技をたしなんでいたこともあり、少年の制止をものともせず、手を中へ入れました。
「……ひっ」
ひきつった声を上げる少年。衣服の中は温かく体温をじかに感じたことで、私の興奮はより高まります。少年の縮こまった性器に触れ、まず軽い力でしごいてみることにしました。いつも自分でもしていることなので、実に容易なことです。
「ん、くっ」
無駄なのに、少年はまだやっきになって私の手を剥がそうと爪を立てています。見た目通り、猫のように気が強い性格のようですね。手を引っかかれ、ピリッとした痛みが走ります。
「いたっ……ちょっとお仕置きしてやろう」
本来私こそが受けるべきですが棚に上げ、左手を少年のニットの中に入れ突起をつまみました。
「ぁ、うっ」
少年はパニックになったのか、小柄な肢体をよじり逃げようと暴れます。この芋洗いの車内で、走行中の開くはずもないドアの前で、いったいどこに逃げようというのでしょうか。思わず笑ってしまいました。
ですが私はまだこの触れ合いを楽しみたかったし、周囲に気づかれるのも面倒なので、少年の足の間に強引に自分の足を入れ、ドアに押し付け動きを封じました。
「ぐっ」
少年は苦しそうに呻き、やっと大人しくなりました。乱暴なことをして悪いとは思いましたが、致し方ありません。彼も私の手を引っかいたのだから、おあいこです。
私は右手で少年の性器を擦りながら、もう片方の指先で乳首の先端を擦ります。すると、面白いくらい少年の体が反応しました。
「ぁ、ん……」
膨らみつつある性器の先端を、指先でクルクル刺激し乳首を軽くつまむと、明らかに甘い声が少年の唇から漏れます。
ああ、なんて可愛い声でしょう。興奮した私はもっと気持ちよくなって欲しいと、心を込めて愛撫しました。
「ふ、ぁ……っ」
少年は体を震わせ、ドアのガラスにすがるように手をつきます。周りに声が聞こえないよう口元を押さえ、うつむいて耐える姿がいじらしい。
興が乗った私は、彼の瑞々しい柔肌を味わいながら、より大胆に性器や睾丸をマッサージしていきます。すると、少年の未成熟な性器は勃起し、カウパーを分泌しはじめます。男の体は、やはり同性が一番よく分かるものです。
「気持ちいいですか?」
私は少年にだけ聞こえるよう、耳元で囁きます。すると彼の耳は羞恥から、みるみる赤くなっていきました。ああ、感じてくれている。私は至上の悦びを感じました。
だからといってなにも、自分のテクニックを誇りたいわけでは無いですよ? きっと少年の感度が、すこぶるいいのでしょう。痴漢されても感じるほどに。私は愛しい彼をイカせたい一心で、愛撫の手を早めました。
「はっ、ぅ! やぁ……っ」
足を震わせながら、嫌だと頭を振る少年。もう達しそうなのでしょう。下着の中は分泌液で濡れ、性器は痙攣していました。乳首もコリコリと芯を持ち、私を愉しませます。
「一体どんな風にイクのかな」
私は玩具に目を輝かせる子どものように、彼を追い詰めようとします。ですがこの楽しみは、とうとつに終わりを迎えるのです。
「まもなく、✕✕駅に到着です。お出口は右側です」
音楽とともに、間延びしたアナウンスが車内に流れました。出口はちょうど、私たちがいる側のドアです。
数分もしないうちに電車が停車し、ドアが開きます。私の腕のなかにいた少年は離せと言わんばかりに乱暴に私の手を振りはらい、素早く駅のホームに飛び降りました。
「もう、せっかくいいところだったのに」
私は、好物を目の前で取られた気分でした。乗客が全員降車すると、少年がホームの柱付近に佇んでいます。その大きな猫目で私を憎々しげに睨んでいましたが、頬が紅潮しており迫力は感じられません。むしろ、毛を逆立てた猫みたいに可愛い。
それに怒りだとしても、初めてこちらに向けてくれた感情のにじんだ顔が嬉しくて、私はとびきりの笑顔で愛しの少年へ手を振りました。
「あれ?」
その瞬間、少年の顔は恐怖と嫌悪で歪み、私から逃げるように出口につながる階段を駆け上がっていきました。周りには評判のいい、自慢の笑顔のはずでしたが。
彼との短い触れ合いが終わり、私は残念な気持ちでした。でも、すぐに気を取り直します。少年の定期に記されていた区間から、彼の通学路はわかるし、通っている学校も大体あたりがついています。
きっと、すぐに会えることでしょう。
「休み明けから、電車通勤にしよう」
私はウキウキした気分で、また少年と会える日を楽しみにしながら呟きました。
そしてふと、電車の床に落ちているものに気がつくのです。それは少年の、おみくじの残骸でした。