へんな君:「……超人?」
神様は指を鳴らす。
パチン。
一瞬、へんな君の腕に小さな切り傷ができる。
へんな君:「ちょっ⁉︎ 何するんですか‼︎」
だが次の瞬間――
スゥゥ……と音もなく傷が消える。
へんな君:「……え?」
神様:「これが超人だ」
神様:「傷は瞬時に再生」
神様:「筋力・反射神経・耐久力、全部が人間を遥かに超える」
へんな君:「……」
へんな君:「つよ‼︎」
神様:「でしょ?」
へんな君は拳を握り、軽く振ってみる。
ブンッ‼︎
空気が鳴る。
へんな君:「え、今の音なに⁉︎」
神様:「力が抑えきれてないだけ」
へんな君:「ヤバ……」
神様(さらっと):
「それとね」
「寿命、∞」
へんな君:「……え?」
へんな君:「無限?」
へんな君:「え、じゃあ僕……死なない?」
神様:「基本、死なないね」
へんな君:「無敵じゃん‼︎」
神様:「――ただし」
空気が一瞬、重くなる。
神様:「毒には、めっぽう弱い」
へんな君:「……」
へんな君:「まじかよ」
神様:「体の再生が追いつかなくなるんだ」
神様:「だから“完全無敵”じゃない」
へんな君:「夢、ちょっと壊れた…」
神様:「試してみる?」
神様が怪しい瓶を取り出す。
へんな君:「嫌ですよ‼︎」
へんな君:「なんで最初のテストが毒なんですか‼︎」
神様:「冗談冗談♪」
神様は瓶を片付けると、少しだけ真剣な顔になる。
神様:「それとね」
神様:「君以外にも、超人はいる」
へんな君:「え?」
神様:「君を含めて、全部で11人」
へんな君:「そんなに⁉︎」
神様:「性格も、考え方も、力の使い方もバラバラだよ」
へんな君:「……嫌な予感しかしない」
へんな君:「ていうか!」
へんな君:「なんで僕を作ったんですか!」
神様:「それはね――」
神様はへんな君の目をまっすぐ見る。
神様:
「この世界を、救ってほしいんだ」
へんな君:「……は?」
神様:「今、世界も宇宙も」
神様:「魔物や、闇に堕ちた超人たちが暴れ回ってる」
神様:「放っておけば、全部壊れる」
へんな君:「いやいやいや‼︎」
へんな君:「話でかすぎません⁉︎」
神様:「だからお願いだ」
神様:「君の力を、使ってほしい」
へんな君:「……」
へんな君:「ちょっと待って」
へんな君:
「まず魔物ってなに?」
「どうやって戦うの?」
「ていうか僕、魔法とか使えないんですけど‼︎」
神様はニヤッと笑う。
神様:「そこだよ」
神様:「超人は――」
神様:「“魔術”が使える」
へんな君:「……魔術?」
神様:「次は、それを教えよう」
へんな君:「いや不安しかないんだけど‼︎」
神様:「大丈夫大丈夫」
神様:「君、結構向いてるから」
へんな君:「根拠なに⁉︎」
神様:「勘!」
へんな君:「神様の勘って一番信用できないやつだ‼︎」
――こうして
へんな君は“超人”としての
第一歩を踏み出すことになる。
(終)
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!