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侵食

3 - 白色の抵抗

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2024年02月02日

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白色の抵抗___。





りうちゃんとないちゃんがおかしい。

そう思い始めたのはつい最近。

りうちゃんは明らかにないちゃんのそばにいることが多くなったし、

ないちゃんは・・・僕らに笑顔を見せなくなった。

いや、表面上は笑っているけど、多分あれは作り笑いだ。

作られた笑顔。隠された表情。

僕は今日、そのことをないちゃんに聞いてみようと思う。

「なぁ、ないちゃん。最近疲れてるんか?」

「なんで?」

「いや、目の下の隈も酷いし、笑わんくなったし、」

「あー、最近仕事が多かったから・・・それに、俺はちゃんと笑えてるよ?」

「ウソや!あれは作り笑いやん!いつものないちゃんやない!いつもみたいに笑ってや・・・」

「・・・・・・」

「なぁ、お前は誰なん?」

「俺は俺だよ。」

「違う。お前はないちゃんやない。隠せてると思っとるけど全然隠せてへんよ。」

「お前、誰だよ。」

自分の喉から出てるとは思えないような低い声が部屋に響く。

目の前のないちゃんは俯いたまま何も言わない。

僕は不安になって、一歩下がる。

『なぁーんでバレるかなぁ・・・』

『リウラにはバレずに行けたのに・・・』

「やっぱりうちゃんにもなんかしたんや。」

『・・・』

『こっち来て。』

「・・・・・・」

『リウラ』

ないちゃんがそう言うといつの間に入ってきたのか、僕の後ろにりうちゃんが立っていた。

逃げるという選択肢は、もうない。

「ええやん。お前が何考えてるかはわからんが、行ったるわ。」

『ふふ、物分りがいいのは僕好きだよ。』

僕。

一人称が変わった。

ってことは、やっぱりないちゃんじゃないんやな。



長い長い階段を降りて、少し長い廊下を歩く。

所々赤い絵の具が壁や床に飛び散っていた

こいつは何人食ったのか。

僕は目の前にいるこいつを、人間として見ていない。

『僕の部屋へようこそ!』

ナイコが両手を広げ楽しそうにこの部屋を紹介する。

そんな行動に僕はどこか子供のように感じた。

部屋の奥へ進むと、彼が居た。

得体のしれないカプセルに閉じ込められて眠っている彼。

僕はそのカプセルに触れ、目を閉じた。

ああ、死んでる

『僕、ニンゲンの絶望した顔がだーいすきなの。』

『君のリーダーは僕が大好きな顔をしてくれたんだ。だからこの子は僕のお気に入り♡』

『リウラもね、美しく、儚いモノを見せてもらったから、まだ生かして僕の側にいさせてるの。』

『君は、僕に何をくれる?』

楽しそうに微笑むナイコ。

俺は、ふっっと微笑んで、ナイコを睨む。

「じゃあ僕はお前に暴力をあげるわ。」

そう言って僕はナイコに殴りかかった。

『ふふ、いいね。その顔。その心情。』

『またお気に入りが増えちゃった♡』

その声とともに重い重い、鉄のドアがゆっくりとしまっていく。

もう、逃げれない。

逃さない。




バタンッ




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