テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ポッキーゲーム
マサ光
少しcp要素有り 地雷さんは帰ってね
とある日の放課後にて。
「……か……ひか…起……」
「…ひかるおきて!!」
「んぁ……」
眠そうにぱちっと目を開けるとそこには黒井が居て「やっと起きた〜!」と言いつつ立っているため少し見下ろす様に俺を見ている。
「あれ…お前ミーティング……」
俺が寝落ちしていたのは黒井を待っていたから。こいつと今日帰る約束をしたが放課後間際にミーティングがある事を思い出し、俺はその帰りを待っていただけ。
「あー…あれすぐ終わったんだよね〜、で、戻ってきたらひかるが寝てたから起こしてた!ずっと起きないから心配したよー??」
「…ん、ごめん…」
「じゃあ…お詫びってことで〜…♪」
「…え、お詫び…?そこまでなの???寝てただけでお詫びいるの?いやまあジュース奢るとか位なら良いけど…」
黒井がリュックをがさがさと漁っている、それをまだ少し眠い目を擦りながら見ていると、リュックの中から出されたのはポッキー。それを俺の目の前にどんと差し出してこう言ってきた。
「お詫びとして俺とポッキーゲームしよ!ひかる!」
「……は?」
言われた途端思考が停止した感覚がした。何を言ってるんだこいつは、そもそも俺女でもないし、普通男女でやるものだろそういうのは…、多分。と脳内で考えていたが口から漏れていたらしく黒井がむすっとした顔をしてくる
「男同士でも別にいいでしょ〜!!てかひかるはほぼ女の子でしょ」
「…やっぱ絶対やらない、てかなんで女なんだよ」
「…コメント欄でちょくちょく見るから?」
「お前…はあ?…え?何そのコメント、てか…マジで1回殴らせて。…後しないから。」
「ひかる酷〜いー…!!!」
「…でもひかる起こしても起きなかったよ、1時間近く起こしてたし〜…ね、やろ?」
にやっとした顔で言われて少し腹が立ったが黒井の言う通りらしい。空をちらりと見ると、寝落ちする前より少し暗くなっている…気がする。
「………、ちょっとだけな。」
うぐ、と観念したように俺がそう呟くと「やったー!」と大声で言い満面の笑みになる黒井。…やっぱ言わない方が良かった気がする。
「ふっふふーん♪」
気分が良くなった黒井がポッキーの箱をガッと開ける、勢いが強すぎて箱が少し壊れたのを見て困惑した。
「…がっつきすぎだろ、普通に開けろよ…、どんだけ嬉しかったの?」
「だって俺ひかる好きだし〜」
「…黙れ。」
こいつは本当平気でこういう事言いやがって。俺ら別に付き合ってないし、普通彼女に言うんだよこういうの…!!しかもこいつとポッキーゲームするの?俺…。とふと考えてしまって変な意識になる。思わず光りそうになるがぐっと抑え込みながら開封していく様子を見る。
「ん、開いた!」
「…おー…」
開封し終わった黒井は1本ひょいっと取り、普通に食べた後もう一本取り出してきた。…いや普通1本食うなら俺にもよこせよ。と言いたかったがグッと堪えて見ていた。
「ひっかる〜、やるよ〜♪」
「…まじでやんの…?」
「やるに決まってるでしょ〜」
そう言いつつ椅子に座ってる俺に近寄ってきた。椅子に座るとか、俺が立つとかはせず俺の目の前まで来ると少し見下ろす様に視線を下に落として俺を見てくる。俺は黒井の顔を見る為顔をみあげた。その後黒井がポッキーを口にくわえる
「んーっ。」
黒井がくわえた後俺にもくわえさせる為か顔が近寄ってくる。こいつまじかと考えて居たら本音が漏れ出ていた。
「…うわあ…。」
「んー、!!」
「早くして」と言わんばかりに少し顔を顰めながら反対のポッキーの先端を指差してくる。
「…なんで俺が…」
「……ん。」
と言いつつ諦めた様に自分も口にくわえる。もう既に折ってやりたい。なんなんだよこの状況…。
「たべふぅよ?」
そう聞こえた後、さくさくと黒井が食べ始めてしまった。嫌々ながらも俺も食べてみる。
「…」
教室にはサクサクと咀嚼の音しか響いていない、その為余計に考えさせられる。黒井が少しずつ近寄ってくる度に恥ずかしさやらなんやらで光りそうになる、光る前にポッキーを折った。折れた為お互いサクサクと食べ終わったあと黒井が発言をする
「ひかる折らないでよ!!酷いー!」
「…酷くない。」
…これ、ずっと折ってたらこいつはポッキーゲーム諦めるんじゃないか?…よし、そうしよう。そう思いつつ黒井を見るとポッキーをまた1本取り出してくわえていた。
「ん!」
「…まだすんのかよ。」
と言いつつ、自分も直ぐ様くわえてまた食べ進める。…どうせ折るなら耐久してもいいんじゃ?と考えつつ食べ進める。
「…ん。」
先程折った所よりもう少し長く食べたあとにまたポキッと折ってお互い食べる。
「ねえー!ひかるノリ悪いー」
「ノリ悪くて結構。」
「ひかる酷い…!」
と言いつつまた取りだしている黒井を見る。こいつも諦め悪いな、と思いつつ少し面白いし遊ぶか。と悪戯心に火がつきつつ、そこから4回くらいやった。全部折ったけれど耐久してたせいか大分距離が近くなった。…変な所でゲーマー心が出たな。と俺自身も思った。
「……」
「ん、もうやんねえの?」
ジッと無言で見てくる黒井に対して少し軽く嘲笑する様な顔で黒井の顔を見返す。
「…ひかる、やろ。」
「…?…うん。」
そう言われた瞬間黒井に対して少し違和感を覚えた気がする。視覚的な問題のせいか、黒井の目から光が消えた気がした。どうせ気のせいだろ、と考えていたらまた黒井がくわえて顔を近づけてきた。
「んー。」
「お前も折れないな」
と呑気に言いつつ自分も慣れたようにくわえる、さくさくと黒井が食べ始めた為自分もさくさくと食べ始める。次はどこで折ってやろう、と考えつつふと目の前を見るといつの間にか黒井との距離が結構近くなっていた、流石に恥ずかしさを覚えて折ろうと考え、黒井の顔を見る
「……」
「(…近っ…)」
そう思った後に折ろうと顔を動かそうとする直前でガッと顔を掴まれて動かせれなくなった、と思ったらぐっと壁の方に顔を押された。突然の事で困惑し硬直して驚いた顔で黒井の顔を見る。
「…??、??」
「…笑」
にやーっとにたにたしていて、まるで悪戯で遊んでいたのを見透かされていたのかの様に俺を見たかと思えば、さくさくと素早く食べ始めた。
「くろっ、」
「ッん”、…!?!」
ポッキーを食べあって距離が短かったからなのかろくに抵抗出来ずに重なり合ってしまって、重なり合った瞬間びくっと体がはねてしまった、それを見た黒井は満足そうな顔をするが一向に離れてくれない。
…どんだけ時間が経ったんだよ。と思う位時間がゆっくりに流れたのか、こいつのキスが長いのか、分からないけれど流石に恥ずかしさが限界を迎えて遂に光ってしまった。
「…んーー”……!!!」
発光しながら怒る様に唸ったら顔を少しだけ下にずらしてきて下唇を少し噛んできた、唇が切れるほどでは無いが、少しヒリヒリする程度で、噛んだかと思ったらやっと離れてくれた。
「…っ…、おまっ…!!」
「へへ〜、ひかる顔赤いよー?」
恥ずかしさできっと少し睨む様な顔で黒井を見るが、こいつはとても満足そうに俺を見ている。
「というか煽ったのひかるでしょ〜??俺気付いてたんだから!!」
「煽ってない、てか煽ってるなんだよ…いやそりゃちょっとは遊んだけど」
「それを煽りって言うの!!」
もー!!と言わんばかりに少し怒ったような顔しながら黒井はそう呟く。キスからしばらく経ったからなのか、発光はほとんど落ち着いた。こんな事になるなら遊ばなかった方が良かったかもしれない、と考えつつ1つの疑問を黒井にぶつける。
「あっそ…、てか、なんで唇噛んだんだよ」
「……ひかるー、もっかいしない?」
「え、は?俺の質問応えろよ、こっちは少しひりひりしてんだぞ」
「へえ〜…そうなんだ〜」
「こいつ話聞けよ」
呆れた様に黒井を見るが、さっきより満足そうな顔をしている様な気がする。
「で、もっかいやる?」
「やんねえよばか……!!!!てかお前それキスがしたいだけだろ、!!!」
また光りそうな自分の体を押さえ付けて鞄を持ちまとめ始めつつ黒井にそう言う
「え、うんしたい」
「…は?やんねえよ」
「なんで〜〜!!やろうよー!」
ぴえんという絵文字が浮かびそうな顔しながら黒井は見てくる。
「…帰るべ。」
「ひかるぅ〜〜!!」
無視して椅子から立ち上がって歩こうとしたら黒井がブレザーを掴んで引っ張ってきた。
「ねー!!!お願い!!!」
「……はあ〜…。」
「嫌だ。」
「ほんのちょっとだけ!」
「………あーー…もう…、執拗い、馬鹿っ……。」
呆れつつ黒井の方に向き直り、黒井にぐっと近寄って黒井の頬にキスをする。衝動的にやったはいいものの後々恥ずかしくなってまた発光してしまった。黒井の顔を見ると困惑しているのかぼっと立っていたがすぐに周りにキラキラなエフェクトがかかりそうな満面の笑みでこちらを見てくる。
「…んへへ、ひかる、また顔赤いよ〜?」
「……うるさい」
「ひっかる可愛い〜」
「…まじで、やめて、本当に恥ずいから…」
「ひかるのそう言う所、俺好き」
ボソッと耳元でそう言われて反射的に体がビクッと反応してしまう。それを見た黒井は満足気に俺の事を見てくる。
「…笑、ひかる、変な意識でもしちゃったー?」
「うるさい、まじでうるさい…恥ずいから辞めろ、もう帰るぞ。」
そう言ったあと廊下の方へ向き直って早足で黒井を置いて教室から出る。後ろから「まってよー!!!」と聞こえた後に黒井がすぐ横へ来る。パラ高を出て帰路へと着いた時、黒井からやり返され、思いっきり黒井を叩いた、「いったー!!」とわざとらしく言った後すんっと真顔になってこっちを見てくる。
「ひかる、」
「……なに。」
「俺、ひかるの事好きだよ!」
黒井はそう笑顔で言ってくる、「はあ〜…」と少し溜息ついた後、黒井を見て
「知ってるわ。ばか。」
黒井にだけしか聞こえない様な声でそう言った後、恥ずかしくなりつつもお互い笑いあって帰っていった。