コメント
2件
え…やばい、神作やぁ、。
「お礼」
(大阪×東京)
いつもの残業
会社に残っているのは1人だけ
「疲れた…」
日本の首都もとい、東京は今日も会社に残っていた
昨日も一昨日もその前も日付が変わるまで…
流石に疲れます
今日も終電間に合わなそう…
神奈川にまた怒られる……
そんなことを考えながら、まだ積み上がっている仕事の山に手を伸ばす
「あれ…これ、大阪さんの…」
1番下の資料に隠れていたのは、大阪がこの前ケースを変えたと自慢していたスマホだった
どうしよ…大阪さんもう帰っちゃったし……
今日はお笑いに出るから〜などと
適当な理由をつけて先に帰った大阪のことを思い出す
仕事サボりのためのくだらない嘘は彼らしいと言えば彼らしい
「はぁ〜…」
“ピロン”
思わずついたため息と同時に大阪のスマホに連絡が入る
「あ…」
…さすがに人のスマホの連絡を見るのは気が引けます、
きっと兵庫からであろう連絡を無視し、東京はそのままパソコンと向き合う
“ピロン”ピロン”ピロン”…
「…」
鳴り止まないスマホをチラッと見る
…明日も仕事だし、大阪さんなら取りに来ますよね
そう思い込みたいが、スマホの着信はまだ止まらない
「…っもう!」
明日何か言われたらその時はその時で対処しようと、まだ鳴り止まないスマホの画面に触れた
もちろんロックがかかっているが、メッセージの内容は表示されている
“大阪!!早く帰ってきてよ!また道草くってるんでしよ!”
「やっぱり兵庫さんだ…」
大阪さんまだ帰ってないんだ、
メッセージからわかる内容に少し呆れながらパソコンを閉じる
…やっぱ、届けますか
きっと連絡がない大阪のことを心配してる、
関西のメンツはなんだかんだいいつつ、大阪のことを気に入っている
後々責められるのも嫌ですし…
そう思い、大阪のスマホを鞄に入れる
届けたら早く帰ろ…
めんどくさいな、と心の隅に思いながら会社を出る
「東京!!」
するといきなり名前を呼ばれた
「大阪さん、!!」
声の主はこれから向かおうと思っていた関西の大都市、大阪だった
「…はぁ…今、っ終わったんか…」
すごく急いで来たのだろう
整っていない息を肩でしながら精一杯話している
「はい、えっと…これ」
彼が探しに来たと思う忘れ物を差し出す
「!!」
「わざわざ持ってきてくれたんか!?」
「兵庫さんから連絡きてましたよ」
顔をぱぁっと輝かせながら手を握ってくる大阪をたしなめながら今の時間帯が頭をよぎる
「じゃ、また明日」
早く帰ろ
大阪さんに構っていたらまた時間を取られます
これ以上振り回されるのも嫌なので足早に帰ろうとした
が、歩き出した途端腕をしっかりと掴まれた
「待てや」
「…なんですか、」
「早く帰りたいんですけど」
我ながら突き放すような言い方になってる事を自覚しながら真顔の大阪を見返す
「せっかくやしな、途中まで一緒帰らん?」
「…言うと思いました」
正直体力も精神も限界を迎えていた東京は不機嫌な顔をしながら了承した
大阪さんと居るの、疲れるんだけどな…
性格上、合う合わないは生まれてしまう
きっと東京と大阪は真逆なのだろう
大阪のボケトークに相づちを入れながら帰り道を歩く
神奈川に今日はなんて言い訳しようかな…
埼玉と千葉はもう寝て…ますよね、
家に帰って…明日の資料まとめて………
話をほとんど聞かずそんなことをぼーっと考えていると流石に大阪が一言文句を言ってきた
「お前ちゃんと聞いとんのか?」
「聞いてますよ」
ぶっきらぼうにそう返す
「聞いてへんやろ」
「そういうところやで?
いつも思うけどお前はーーー…」
始まりました…大阪さんの小言説教タイムです
疲れていると余計にうざったく感じてしまう
「ビジネスの面でもーー…」
「あー…もうわかりましたから、」
「じゃあ明日仕事代わってくれるんやな?」
「え?」
一体どこでそんな条件が加わっていたのか、話を聞き流していた東京は思わず大阪を見た
「ほらな聞いてへんやん」
「あ」
かまをかけられた
したり顔の大阪に少しイラつく
「疲れとるんか?東京」
「…ここ最近残業続きでしたし」
やっと小言が終わったと安心していた矢先、大阪が”近道や”と言い、路地に入っていった
迷わないかな、と思いながらも少しでも早く帰って休みたい東京はついて行く
「なぁ東京」
前を歩いている大阪が振り向かずに話す
「さっき疲れてるっちゅうとったな」
質問の意図が読み取れず、また面倒事を押し付けてくるのではないかと警戒する
「…はい」
「スマホ、そんな時に届けようとしてくれとったんやな」
前を向いているから分からないが、声から察するにご機嫌…のような大阪に東京は返す
「…ついでです」
「ほーん
ついでにわざわざ遅い時間に関西に…」
「何か言いたいことがあるならはっきり言ってください、」
さっきから東京の善意の行動を遠回しにつついてくる大阪に、はっきり言って東京は腹が立っていた
「いーや?
お礼を言わなって思ってな」
「そうですか…」
少し照れくさくなる
とは言ってもきっと大阪さんは感謝というよりからかいたいんでしょう…
お礼とか僕たちの間柄じゃたまにしか、
そう考えながら大阪の後ろをついて着ていた東京は大阪が足を止めるのと同時に質問した
「大阪さん、こんな時間まで出歩いてていいんですか、?」
会社での兵庫からのメッセージが頭に浮かび、心配になる
「それお前が言うか?」
確かにそれはそうだ
他の県より見た目が幼い東京は夜出歩くと必ず神奈川から叱られる
「ワイはスマホ探しにきただけやしな」
「……」
「あと、東京がもし残っとったらはよ連れ帰ろうと思って」
「ビンゴでしたね」
他人事のように言う
「………せやな」
何も言わないんですね…
また小言を言われると思っていた東京は大阪の返しにらしくないな、と思った
「残業大変そうやな」
「じゃ、早く行きましょ」
ずっと止まったまま、背を向けて話す大阪に提案する
「……」
すると大阪はくるっと後ろを振り向く
「……」
そのまま真顔で何も言わない大阪に東京は頭にハテナマークを浮かべる
「…あの、」
そう声が発せられたのと同時に唇を塞がれた
いきなりの出来事に東京はしばらく固まっていたが、状況を飲み込むとすぐに大阪を手で押して退けようとする
「…っ…んっ…ぅ」
しかし体格差だろう
全く動く気配がない大阪は東京の腕をそのまま押さえつける
「っ!…」
なんとか拘束を解こうと抵抗する東京は、舌の入ってくる感覚に身体をはねさせた
「…んんっ…はぁ…っ…んぅ…」
呼吸が思うようにできず、苦しそうにする東京に追い打ちをかけるように大阪はさらに身体を密着させる
「…っ…ん…」
涙目になった東京を見て大阪はやっと口を離した
「はぁっ…けほっ…はぁー…はぁ…」
息が整わない東京に大阪は自慢げに言う
「まだまだやなお前も
こんなお子様のキスで辛いんか?」
ニヤニヤと質問してくる大阪を東京は睨む
「っ…なにがしたいんですか」
「お礼やお礼〜」
そうヒラヒラと手を振りながら大阪はまた路地を歩き出す
してやられた東京は悔しく思いながらも大阪の後ろをついて行く
「スマホ、ありがとな」
「……」
また歩きながら振り返らずに言う
表情は見えないが、今度はさっきのお礼より素直で……意地悪に聞こえた
最後まで読んでくださりありがとうございます!
初めてノベルで書きました!
これからも読んで貰えたら嬉しいです!
そんじゃまた〜
ばいちゃー