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🧡×🩵「ハルってほんっとかわいいよなぁ〜!」
楽屋に響く、アロハの楽しそうな声。
ソファに座っていたハルは、隣に腰を下ろしたアロハに頭を撫でられ、じとっとした目を向けた。
「……またそれ?」
「だってかわいいじゃん! ね、ハルってさ、なんか弟にしたいタイプなんだよね」
「俺、もう21なんだけど」
「知ってる知ってる! でもかわいいもん!」
そう言って、アロハはハルの頬をむにむにとつついた。
ハルは抵抗しなかった。
正確に言えば、抵抗するタイミングをうかがっていた。
昔からずっとそうだ。
アロハはハルを見ればかわいいと言い、隙があれば頭を撫で、少し拗ねた顔をすれば「なになに、かわい〜!」と抱きついてくる。
ハルだって、アロハにかわいがられるのは嫌いじゃない。
むしろ、好きだ。
けれど。
「……アロハくん」
「んー?」
「僕、そんなにかわいい?」
「うん! めっちゃかわいい!」
即答だった。
あまりにも迷いがなくて、ハルは思わず笑ってしまう。
「そっか」
「なに? 急にどうした?」
「いや、別に」
ハルはアロハの手をそっとつかんだ。
いつもなら、ここでアロハが「なに〜? 甘えん坊じゃん!」なんて騒ぐところだ。
けれど、その日は違った。
ハルはつかんだ手を離さないまま、アロハの顔をじっと見つめた。
「じゃあさ。アロハくんは?」
「……え?」
「僕から見たら、アロハくんもかわいいよ」
「……は?」
アロハが瞬きをする。
「え、なに? どういうこと?」
「そのまんま」
「いや、俺は……」
「笑った顔とか、照れたときとか。あと、僕のことかわいいって言ってるとき、めっちゃ楽しそうなところ」
「ちょ、ちょっと待って?」
アロハが慌ててハルの口を手でふさいだ。
「なに急に! こわいこわい!」
「なんで? かわいいって言われるの嫌?」
「いや、そうじゃなくて!」
「じゃあ、いいじゃん」
ハルはアロハの手首をそっとつかみ、自分の口元から離した。
そして、にこっと笑う。
いつもアロハがハルに向けているような、無邪気な笑顔。
……のはずだった。
「僕さ、アロハくんのこと、ずっとかっこいいと思ってるよ」
「…………」
「でも、僕の前でだけ照れたり、困ったりするのも見てみたいなって思ってた」
アロハの顔が、みるみる赤くなった。
「……は、え?」
「今、ちょっと照れてる?」
「照れてない!」
「ふーん?」
ハルが少し顔を近づける。
アロハは反射的に背もたれへ身体を引いた。
「いやいやいや、近いって!」
「いつもアロハくんがしてくる距離だけど?」
「俺はいいの!」
「なんで?」
「なんでって……!」
言い返そうとして、言葉に詰まる。
いつもなら、ハルが困った顔をするまでからかってやるのに。
今日はどうしてか、ハルの目をまともに見られなかった。
近い。
いつもと同じ楽屋で、いつもと同じハルなのに。
なんだか、知らない人みたいだ。
「……アロハくん」
「な、なに」
「俺、もう弟じゃないよ」
その声が、思ったよりも低くて。
アロハは思わず息を止めた。
ハルは、アロハの顔を覗き込む。
「ちゃんと男として見てほしいんだけど」
「…………っ」
「だめ?」
そんな顔で聞かれたら。
そんな声で言われたら。
だめだなんて、言えるわけがない。
「……だ、だめじゃ、ないけど」
「けど?」
「……っ、もう! なんなの今日のハル!」
アロハは真っ赤な顔を両手で覆った。
「いつもみたいにかわいくしててよ!」
「えー? いつもかわいいんでしょ?」
「そうだけど! そうだけどさぁ……!」
「じゃあ、かっこいい僕も好きになってよ」
「~~~っ!!」
とうとうアロハは、隣にあったクッションを抱きしめて顔を埋めた。
耳まで真っ赤だ。
それを見たハルは、しばらく黙っていた。
それから、くすっと笑う。
「……あー、やば」
「なにが!」
「アロハくん、かわいすぎる」
「今それ言うなってば!!」
「だってほんとだもん」
ハルは、クッションに埋まったアロハの頭をぽんぽんと撫でた。
いつもアロハがしてくるみたいに。
けれど、すぐに手を止める。
「……ねえ、アロハくん」
「……なにぃ」
くぐもった声が返ってくる。
「今度、ふたりでご飯行こうよ」
「……うん」
「デートね」
「…………は?」
勢いよく顔を上げたアロハと、目が合う。
ハルはいたずらっぽく笑った。
「じゃ、約束」
そう言って、小指を差し出す。
アロハはその指とハルの顔を交互に見て、しばらく固まったあと。
観念したように、小さく小指を絡めた。
「……ほんっと、ずるい」
「なにが?」
「……そういうとこ!」
「ふふ、なにそれ」
ハルが笑う。
アロハはまた顔を赤くした。
いつもなら、自分がハルをからかって、かわいがって、余裕たっぷりに笑っているはずなのに。
今日は一度も、勝てる気がしない。
それどころか。
明日からハルの顔を見るたびに、今日のことを思い出してしまいそうで。
アロハは、もう一度クッションに顔を埋めた。
「……ハルのばか」
その小さな声は、ハルにはちゃんと聞こえていた。
「うん。アロハくんのこと、好きだからね」
「っ、だからぁ!!」
楽屋に響くアロハの声と、楽しそうに笑うハル。
いつもと逆転したふたりの関係は、きっと今日から、少しずつ変わっていく。
#リョウガ
サラ
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コメント
1件
うわぁ〜〜〜!!第2話、めっちゃ良かったです😭💕 普段は余裕でハルをからかってるアロハが、逆にハルに追い詰められて真っ赤になるところ、最高にキュンとしました!! 「ちゃんと男として見てほしい」ってハルが言った瞬間、もうね、心臓ギュンってなりましたよ…!! 小指の約束からデート宣言まで、もう尊すぎて叫びそうです!!続きが待ち遠しすぎる〜〜!!! ハル強くなったな…!!(感動)