「ったく、よりにもよってここかよ」
土砂降りの雨の中、私はとある調査任務で古びた廃墟にやって来ていた
ここには着たくない理由があった
それは、霊によって死んだ人間をここへ保管しているからだ
「出来れば、ここにはあまり来たくなかったが、仕方ねぇ
さっさと終わらせて、スイパラにでも行くか」
私は内心面倒くさがりながらも、廃墟の中へ入って行く
ここで少し、私こと
信楽桜花について説明しよう
平安時代から続く信楽家は代々幽霊退治を生業としていた
一般的な認識はそこら辺にいる悪霊を祓ってお終いというところが多いが、
私達は悪霊を”祓う”ではなく、”退治”
つまり霊を殺すという事だ
それはもちろん、悪霊に取り憑かれた人間も例外ではない
祓うという行為は霊を成仏させ、極楽浄土へ送る事だが、
私達はもう取り返しのつかない霊を”無”へ
還す事が仕事だ
肉体が死に、魂のみになった者は極楽浄土へ
なら肉体と魂が無くなった者はどこへ行くのか?
極楽浄土へも地獄へもいけず、永遠に何もない無の空間でただ時が流れるのを待つ
そこへ送るのが私達の仕事という訳だが、
その霊に憑かれた人間を殺すのも私達の仕事だ
なので、信楽家はクソや老害、快楽殺人鬼しかいない
そんな環境下で、幼少時代から霊がめっちゃいる部屋に放り込まれて全部退治するまで出して貰えなかったり、
しかし、私はいくらやっても強くはならず、結局一番下っ端の調査任務に当てられた
そのおかげで、家の連中からの扱いはぞんざいだった
「チッ、あの老害共、
警察にバレたらまずいからって、んなとこに放置してんじゃねぇよ」
信楽家は政府公認ではない為、殺人行為がバレればもちろん逮捕だ
なので、殺した遺体はどこかへ隠したり
燃やしたりなどしている
「にしても、調査任務っていっても遺体すら見つかんねぇな」
廃墟に入ってから約30分、特に異常が見られず中々手こずっていた
この前運んできた時はあったはずだが、
「はぁ、仕方ねぇ
雨も強くなってきたし、帰るか」
私の足が出口へ向いた瞬間
「?!」
背後から異様な気配がした
今までの霊とは違う、かなり強力なモノだ
「っ、ハハッ、勘弁してくれよ
“怪異”退治は専門外なんだよ」
後ろを振り向くと、血溜まりの上に赤い傘に真っ赤なレインコートを纏った男が立っていた
“怪異”それはもはや祓う事はもちろん、殺す事も不可能な存在
つまり、今この状況は私にとって非常にまずい状況なのだ
「チッ、せめて目に優しい色にしやがれ!」
私はそう言い、出口へと駆けようとした
とにかく奴と距離を離さなければっ、
私が足を動かした瞬間
“ 見つけた あなた ”
「っは、」
後ろから赤色の腕が私の身体を包み、視線は後ろから来た手によって覆い隠された
そこから、私の記憶は途切れた
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