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最高すぎるあああああああああぁぁぁ 神です最高ですフォロー失礼します! まじ神すぎませんか大好きです
あぁ、もう最高ですーー!! 小説書くのすっっごい上手ですね!
こんにちは。または、こんばんは。私はVCと称します。貴方が私が生成したこの物語を読む事に対し、非常に喜ばしいと感じております。本作品には以下の要素が含有されています。
ヴィン→ゴー/捏造/片想い
もし貴方が望まない要素が一つでも存在する場合、直ちに退出する事を推奨します。しかし、貴方がそれでも進む意志を示すのであれば、その勇気を称賛し、先に進む事を妨げる事はありません。貴方の期待するものがそこに存在する事を願っています。
ヴィンテージがゴーグルに振り回されてる姿を見るのは大変いいよなぁ!?
ゴーグルは一生他人を振り回して欲しいです。
ふとした瞬間に、アイツの顔を見て「可愛い」と思った。そして、自分の脳を疑った。アイツのどこを見て可愛いと思った?確かにアイツは子どもっぽく、他の奴らとは違う性格なのは知っているが、平気で人のズボンを下ろしてくるヤツで、可愛いと感じる様な部分はなかった。なかったはずだ。
この気持ちは脳の誤作動だとして、アイツの事を紛らわせる為に何度もバトルをした。全ての試合で勝ったが、アイツとのバトルの方が楽しめた。あの時感じた高揚は、今はない。
腹立たしく思えた。なぜこんなにもアイツで悩まされなければならないんだ。何度も舌打ちを溢してしまう。この気持ちが八つ当たりなのは理解しているが、それでも抑えきれない。最近チームメンバーに心配さえされた。Xだから問題ないと返答したが、正直苛立ちでどうにかなってしまいそうだった。
クソ、と心の中で悪態をつくが、どれほどの気持ちを抱えていてもアイツばかりが頭によぎる。
___何をしているんだ、オレは。
こんなのは自分らしくない。普段ならば他者と接して動揺する事なんてなかった。だと言うのに、今はアイツのことばかり考えてしまう。
今日はバトルをやめよう。バトル以外の気分転換をすれば、きっとアイツの事なんか忘れている。そう信じて、ハイカラスクエア発の電車に乗っていく。
特に予定もなく電車に乗って、特に行き先も決めずに乗り続ける。電車に揺られ、吊り革を握りながら静かに外の景色を眺める。ただ淡々と時間だけが過ぎていき、終点の駅に到着した。そこで降りて、あてもなく歩いていく。
昔ここを訪れた事がある。商業施設が充実しており、退屈凌ぎにはちょうどよかった。特に買う予定もない物を見流しする。
こういう物を見て、激辛料理を食べて、アイツの事なんか忘れればいい。そう、忘れればいいだけだ。
歩いていると、ショーウィンドーが目に映る。ボーイが着る服らしいが、ボーイが着るには些かあいらし…子どもっぽい印象がある。ジッと見ていると「ヴィンテージ!」と声をかけられる。
聞き覚えのある声で、思わずそちらの方へ振り返ればアイツが、ゴーグルがいた。どうやらブルーチームと一緒に来ていたらしいが、ソイツらの姿は見当たらない。
ゴーグル「なんでヴィンテージはここに居るの?」
ヴィンテージ「…特に」
ゴーグルから少しばかり目を逸らす。今会いたくなかったが、会ってしまっては仕方がない。少し話をしてさっさと帰ればいい。そもそもコイツはチームメンバーと一緒に来ていると言っていたのだから、自分と会話をせずソイツらと一緒に行動すればいいだろう。それを言ったところで、何かが変わる様な事はないだろう。
ヴィンテージ「他はどうした」
ゴーグル「はぐれちゃった!」
そう言葉を聞いて、表情は変わらないものの、呆れてしまう。
ヴィンテージ「電話は」
ゴーグル「あ」
どうやら忘れていたらしく、慌てた様子でスマホを取り出して電話をかけている。アホなのは理解していたが、ここまでとはな…と思ってしまう。
電話相手…ブルーチームのリーダーの奴に怒鳴られているが、堪えた様子もなく、笑顔のまま話を聞いている。そして、ブルーチームのリーダーから集合場所を指定されたらしく「わかった!」と返事をして電話を切った。
ゴーグル「早くメガネくん達のとこ行かないと!」
ヴィンテージ「どこにある」
ゴーグル「××ってところ!」
そう焦った様子で、何処かに向かおうとするがどう見たって××とは真逆の方に向かっている。何もしなくても自分は困らない。関わったところで得があるわけではない。
ヴィンテージ「反対だぞ」
ゴーグル「反対?」
ヴィンテージ「そっちにはない」
そう伝えると、ゴーグルは「何処にあるの?」と真っ直ぐな瞳で聞いてくる。声を出したかったが、中々声が出ない。喉に言葉が詰まっている。
ゴーグル「ヴィンテージ?」
「大丈夫?」と声をかけるゴーグルから目を逸らして、目的地の方に向かって歩いていく。チラッとゴーグルの方を見ると、首を傾げていた様子だったが、分かったのかオレの後をついて来た。
出来る限りゴーグルを視界にいれずに移動するが、ゴーグルは隣に立って話しかけてくる。話しかけてくるな、そう思っていてもゴーグルは構わず笑顔で話しかけてくる。
ゴーグル「ヴィンテージ、最近大丈夫?」
ヴィンテージ「…何がだ」
ゴーグル「元気無いからさー」
そう話されて、思わず立ち止まってしまう。
ゴーグルは立ち止まったオレの様子に、どうしたのだろうかと首を傾げている。
ヴィンテージ「別に」
素っ気なくそう返事すれば、ゴーグルはアホだから特に気にする様子もなくまた歩いた。
…ゴーグルは、何を思ってオレにそう聞いた。単なる心配か、それとも……いや、くだらない勘繰りを入れるのは辞めるべきだ。どうせコイツは何も考えずに、世間話の一つとして言い出しただけだ。気にしなくていい。気にしなくていい。
何度も、脳内でそんなことを考えながら、早くゴーグルから離れたい一心で目的地まで向かう。そうして歩き続けていると、目的地まで到着した。目的地にはブルーチームの奴らが居て、ゴーグルがそちらの方に駆け足で向かう様子を眺める。
ブルーチームのリーダーはゴーグルに怒っている様子だったが、気にしなかったらしく、何処かに行くらしい。
はぁ、とため息を吐いて、もう家に帰ろうと踵を返そうとすればゴーグルが大声でオレに声をかける。ブルーチームはオレがいる事に驚いてギョッとしている様子だった。
ゴーグル「ヴィンテージ、ありがとー!」
これ以上面倒事を増やされても嫌だったので、何も言わずにその場から立ち去った。
帰路に着いて、無心で歩いていく。そうこうしているうちに、家に着いた。備え付けているソファへと座ると、脱力していく。
別れた際のあの顔が脳裏にこびり付いて離れない。アイツの笑顔は、他の奴らにも向けられている。そう分かっている。分かっているはずだ。
ヴィンテージ「クソ…」
ボソリと、悪態をつく。
全身の力が抜けるまま、ソファの背にもたれかかる。目を閉じても、頭の奥でゴーグルの顔が焼きついて離れない。
あの時の笑顔。楽しそうに、何の躊躇いもなく、誰にでも向けられるあの顔。
オレは別に、アイツのために動いたわけじゃ無い。寧ろ、関わりたくなくてさっさと済ませたかっただけだ。それなのに、アイツは何の疑いもなく、当たり前みたいに礼を言った。
いつものことだ。アイツは誰にでもそうする。誰にでもあの笑顔を向けるし、誰にでも気軽に話しかける。
オレだけが特別な訳ではない。
そう、分かってるはずだ。
なのに、何だ。この胸のざわつきは。
意識しない様にしても、あの顔が浮かんでくる。適当に流したつもりの会話すら、今になって頭の中で反芻される。
『ヴィンテージ、最近大丈夫?』
あの時、一瞬でも期待したオレが悪い。
どうせ深い意味なんて無かった。ただの世間話だったんだ。アイツにとって、オレは単なる友人の一人だろう。
ヴィンテージ「(だが……)」
いや、いい。どれだけ否定しても、答えは分かりきっている。認めたくないからと、ずっと否定していたが、もうこれ以上否定しても何も変わらないのが分かった。それどころか、否定すればするほど自身が惨めに感じた。
舌打ちをして、無理矢理頭を振った。こんな事を考えているだけ時間が無駄だ。
オレは目を閉じ、考えるのを辞める事にした。
それでも、瞼の裏にはあの笑顔が焼きついたままだった。