コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
しばらくの間、二人は何も言わずに抱き合っていた。
やがて律がゆっくりと腕を緩めると、華は名残惜しそうに身体を離した。
「……あの、律さん……」
顔を上げた瞬間、至近距離で視線がぶつかる。
胸の鼓動がまた早まって、華は慌てて視線を逸らした。
「えっと……ごめんなさい、私、泣いてばっかりで……」
律は首を横に振り、柔らかく微笑んだ。
「泣いてもいいんです。……俺は、その涙の理由を知れてよかった」
その言葉に、華の頬は熱を帯び、胸の奥が温かさで満たされていく。
互いに言葉を失い、ただ照れくさそうに笑い合った。