「そういえば俺ここに依頼を受けてたんだった。報告に行くからまた少しこの館を空けるけど大丈夫?」
「なんや?放ってくんか?」
話をひと段落終え、そのまま急いで玄関に向かおうとする自分の背中にきょーさんが言う。
皮肉そうに言う彼に少しカチンとくる。
「別にそう言うわけじゃ…」
「なら僕らも連れてってよ〜」
子供が親に抱っこをよがるように、両手をこちらに広げるコンちゃん。
その横で同じポーズをするみどりくん。
「…良いけど、この館は?離れたくないんじゃないの?」
「別にこの館は俺らがおらん限り「誰も通さん」。離れても大丈夫」
「そ、そうなんだ…?」
「で、その依頼した人って誰なの?」
赤毛の彼が覗き込む。
コイツこんなに顔を覗くの好きだっけ…?
「あぁそれらは執事が管理してるから…」
「なんやらっだぁは知らんのか」
「しょうがないでしょ。全部管理してるのは執事だし、俺がやりたいって言っても隠されるだけだしさ…」
「…ふ〜ん?」
意味深げな相槌を打つと共にまた新しい煙草に火を灯す。
「…煙草、抑えたら?」
「これだけが生き甲斐なんや…吸わせろ」
「…そ」
彼の体が心配だ。
体と言う単語が頭に浮かんだ瞬間、自分がここに来た依頼内容を思い出す。
[あるかどうかも分からない洋館。その中に存在するかどうか分からない妖怪たちの有無]
「あ、そうだ」
「ん?」
彼らを連れて館を出ようとしていた足を止める。
「四人が住んでどれくらい経ったかは知らないけど、この中に「妖怪」っていた?」
唐突にこんな事を聞いてくる奴はよっぽど頭のネジが抜けていないといないだろう。
だが、これも依頼だ。
それを噛み締めた上で知人である彼らに聞こうと言う事にした。
これなら自分で調べる必要は無い。
「……」
沈黙の数分が続く。
下を向いた彼らの顔が見えない。
…あれ?何か……、
「…あ〜、らっだぁ。俺らも最近来たばっかで分からんのや…、すまんな」
あ、なんだそう言うことか。
「なるほどね」
彼らを見ていた体を前へと向き直す。
「よし、それじゃあ行こっか」
進み始めた瞬間、後ろから少し寒気がした。
が、振り返っても知り合いの顔しかない光景に安堵の息が漏れる。
色のついた世界に自然と瞳が緩む。
「…ほんと」
…ぽ前らが「生きていて」良かったよ
コメント
6件
うーん、生きててよかったになってるのが何となく深く感じる(?) そして一人一人の動きが可愛らしい((
お前らがぽ前らになってますけど、これってわざとですか?わざとだったらごめんなさい🙏 今回のお話も良かったです!続き楽しみにしてます!
コンちゃんの真似するみどりくん可愛いなおい レウさんが顔覗き込むのはきっとらっだぁが好きだからだよ🙄