桜の、
桜が咲く。
僕たちのギャングの色と同じ、桃色の花。
暖かい日差しの中、蓮先輩の提案でお花見をすることに。
豪邸の庭にでっかい桜を植える。
市の魔法の力で出来たその花は、今植えたにも関わらず咲き誇っている。
レジャーシートを敷いて、ご馳走を用意して、音鳴先輩はお酒も持ってきてた。
桜を見ながら飲むお酒はいつもより美味しい気がする。
花見酒、っていうらしい。ケイン先輩が教えてくれた。
段々みんなペースが上がって、賑やかになって、騒がしくなった。
どんちゃん騒ぎだ。ばーどさんが囃し立てて、音鳴先輩と蓮先輩が踊り出す。
殴り合いが始まって、ぐち逸先生の仕事が増える。
夕コさんと刃弐先輩はシチュボ対決している。
ゲラゲラ笑ってたら、芹ちゃんにクリームパイを投げられた。
困惑してたらマー君がそれに加勢する。
紫水はそれを見て爆笑する。
俺はケイン先輩に助けを求める。
ケイン先輩もファンが回ってて、あんまり頼りにならない。
鯵にクリームまみれの顔を写真に撮られ憤慨する。
お返しにJDさんをけしかけて鯵もベチョベチョにしてやった。
そんなこんなで日が傾き始めた頃、音鳴先輩が呟いた。
「レダーも居ればな、良かってんけど。」
ほんの少し寂しそうに、そう言った。
「ならさ、レダーにもこの春をおすそ分けしてやらん?」
蓮先輩が音鳴先輩の肩に手を置き言う。
随分キザなことを言うんですね。とケイン先輩が茶化す。
それでもその場にいる全員が蓮先輩に賛同していた。
大きめのダンボールに緩衝材、そして鯵の撮りためた写真をどっさり、アルバムにして入れる。
もちろん止めたけど、俺のクリームまみれの顔面も丁寧に入れられた。
「ああケイン待って、まだ閉めないで。」
夕コさんが立ち上がり、桜の枝に手を伸ばす。
「桜切る馬鹿梅切らぬ馬鹿、って言うけど、」
バツッ
「俺達は馬鹿で結構!」
まだつぼみの多く残る枝を切った。
ダンボールの中が一気に華やかになる。
ケイン先輩が丁寧にテープを貼り、送り先を音鳴先輩が書いて、
春の小包が完成した。
「これが届く頃には向こうも咲くね。」
「もうギャングなって1年経つんだな~。」
「おいやめろよしみじみすんだろ!」
「たまに手紙よこせってメッセ入れよ。」
「箱に書いとけば?」
「あり!みんなで箱にメッセージ書こう!」
「雲の上のレダーへ。」
「それ死んでるじゃないすかw」
「はじめましてって書いた方がいい?」
「書いとけ書いとけ。」
夕日の沈む空は桃色で、桜も、俺達も桃色で。
風がまきあげた花びらが、泳ぐように空を舞った。
「せんせえ。」
868は続くよ。どこまでも。
1周年、おめでとう。
コメント
2件
いろんなところで868の1周年祝われてて、なんか…感動してます笑 まじ平和過ぎて最高です!
うぉぉぉ!! 良すぎる!!これぞthe平和