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『…こ、琴音…!!』
詩夏が叫ぶ。
琴音はまだ立っていた。
詩夏が放った氷のお陰で命だけは免れた。が、
琴音の服は破れていた。
『え…』
詩夏が不覚にも声を漏らしてしまった。
琴音は膝から崩れ落ちた。
今の状況に絶望していた。
『琴音…それ…』
なぜなら今まで隠し通してきた事がバレてしまったから。
琴音の破れた制服の奥から落ちた物。
それは胸に詰めていたであろう物だった。
(今すぐにでも消えたい…)
そう思っていた。
ちなが残りの悪者を全員倒し、こっちへ近ずいて来る足音がした。
それがこちらに近ずいて来ると同時に、琴音の胸の音が大きくなる。
『ち、違うんだ!これは…』
琴音が必死に弁明をしようとする。
だが、それは無意味だと言っても過言では無い。
風の音がやけに大きい。
誰も話さない。いや、話せなかった。
琴音は血迷って詩夏の放った氷を折り、尖って先を喉に当てる。
ちなは焦らなかった。
本当は死にたくない、死なないとわかっていたのか。
詩夏は焦り、再び叫ぶ。
『琴音…!私は、琴音のどんな姿でも好きだよ。』
琴音は溜まっていたものを全て解放するかのように泣いた。
まるで子供のように泣いた。
琴音の火の魔法で手に持っていた詩夏の氷を溶かす。
『可愛いものがぁ…好きだったんだよ…ずっと…』
琴音は泣きながら話す。
『男なのに…変だよねぇ』
『別に…なんでもいいと思うけど。』
詩夏はそう言い放ち、仰向けになり意識を失った。
『あたしも、琴音が好きに楽しく生きているなら、それで満足だよ。』
中学生の時は誰からも肯定されなかった。
だが今は誰も否定しない。
そのせいか、琴音からは涙が止まらなかった。
『あぁ…ごめんね。それと、本当にありがとう…』
『あたし、服持ってるから貸してあげるよ』
ちなが琴音に服を差し出す。
『なんで持ってるの…?』
琴音がクスッと笑う。
その笑顔を見た瞬間、少し胸が痛くなった。
大切な存在