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ゆ(旧「ゆゆゆゆ」)
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ゆ(旧「ゆゆゆゆ」)
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部屋の明かりは極限まで落とされ、スペクターが腰掛ける長椅子の周囲だけが、微かな蝋燭の光に浮かび上がっている。
ノスフェラトゥは、主の数歩手前で、ゆっくりと、その高い膝を床へと突き立てた。
かつては、いかなる神の前であっても、頭を垂れることなど決してなかった高潔な首筋。
それが今、信じられないほどの滑らかさで傾き、主の仕立ての良い靴の先へと近づいていく。
床の冷たさが額に触れた瞬間、彼の身体の芯を突き抜けたのは、屈辱ではなかった。
(ああ……、やっと、ここに……)
脳裏を白く染め上げるのは、言葉にできないほど甘美な、圧倒的な安堵の波。
頭を下げ、主の足元にすべてを投げ出すことで、彼は自分を縛るあらゆる「誇り」という名の重荷から解放される。
もう、何者である必要もない。
ただここに伏し、主の慈悲を待つだけの、無力な存在になれる贅沢。
スペクターは、足元で小さく震える漆黒の頭髪を、何も言わずに見下ろしている。
その冷徹な沈黙さえも、今のノスフェラトゥにとっては、自分を包み込んでくれる完璧な檻のように心地よかった。
「良い子だね、ノスフェラトゥ」
頭上から降ってきた低い声と同時に、革靴のつま先が、彼の額を優しく、愛撫するように踏みつける。
「……っ、……あ」
微かな重みと、逃げ場のない絶対的な支配の感覚が、ノスフェラトゥの背筋を甘く、激しく突き抜けた。
主の足元という最も低い場所こそが、今の彼にとって、世界で最も甘美な楽園だった。
スペクターはゆっくりと足を戻し、代わりに上質なスラックスの膝を折って、ノスフェラトゥと同じ目線まで腰を落とした。
床に額を伏せたまま、微かに肩を震わせている吸血鬼の、そのうなじへと細い指先を滑らせる。
「そんなに深く頭を垂れて、私の靴に何を乞うているんだい? 言ってみなさい」
耳元を掠める声は、どこまでも優しく、同時に残酷なほど冷徹に、ノスフェラトゥの理性を毟(むし)り取っていく。
ノスフェラトゥは床に手のひらを押し付け、爪が擦れる音を立てながら、喉の奥を震わせた。
「私は……、お前の……」
かつて数多の戦場を支配し、いかなる王の軍門に降ることも拒んできた己の唇から、今、最も恥辱に満ちた言葉が零れ落ちようとしている。
しかし、その屈辱に比例するように、下腹部を突き上げる熱は激しさを増し、心臓を狂ったように跳ね上がらせていた。
「お前の……、足元でしか、もう……息が、できない……っ」
それは、古代の怪物が敗北を認めた瞬間であり、同時に、一人の男の完全な奴隷として生まれ変わった宣言でもあった。
スペクターは満足げに目を細めると、ノスフェラトゥの美しい顎を長い指先で掬い上げ、無理やりその顔を上向かせる。
そこには、涙に濡れた長い睫毛(まつげ)と、ただひたすらに主の情けを乞う、虚ろで、熱に浮かされた瞳があった。
「本当にかわいい奴だ。君がそうして誇りを捨てるたび、その身体はこんなにも淫らに熱くなる」
スペクターのもう片方の手が、ノスフェラトゥの薄い衣服の上から、その胸元を容赦なく愛撫し始める。
「あ……、あ、う……っ」
肌に伝わる主の体温と、押し付けられる指の圧力だけで、ノスフェラトゥの背筋は弓のようにしなり、切ない声を漏らした。
ひざまずき、すべてを委ねた身体は、主の気まぐれな愛撫ひとつで、どこまでも深い恍惚の底へと沈んでいく。
薄暗い室内に、衣擦れの音がひときわ淫らに響き渡る。
スペクターの手によって、ノスフェラトゥの仕立ての良い上着が、肩から滑り落とされていく。
「他人の目に見える場所ばかりが、所有の証明ではないからね」
スペクターの低い声が、ノスフェラトゥの鎖骨のあたりに、熱い吐息となって吹き付けられる。
ノスフェラトゥは、己の胸元を寛がせる主の指先を、ただ恐怖と、それ以上の期待に震えながら見つめていた。
「衣服に隠された場所にこそ、私だけの秘密の烙印が必要だと思わないかい?」
スペクターの長い指先が、ノスフェラトゥの左胸、ちょうどドクドクと不規則に脈打つ心臓の真上の肌を、強く押し込むように。
その指先から伝わる絶対的な所有権の重みに、古代の吸血鬼は、喉の奥で小さな悲鳴を上げた。
「あ……、は……っ、」
やがて、スペクターは迷うことなく、その肌へと唇を寄せた。
容赦なく吸い上げられ、 歯列で強く 噛み締められる、 生々しい熱。
かつては他者の血を奪う側だったノスフェラトゥが、今は己の肉を 主の不条理な愛撫に 差し出し、蹂躙されている。
じっくりと、時間をかけて 刻まれていく 痛みを伴った 衝撃が、ノスフェラトゥの脳裏を 激しく揺さぶる。
「う……、つ、あ……っ……!」
耐えかねて声を漏らし、主の肩に縋り付こうとするが、スペクターはその手を冷徹に振り払い、さらに深く肌を 噛み締めた。
逃げることは許されない、拒むことも許されない。
ただ一方的に、主の輪郭を、その体温を、消えない痕跡として肉体に焼き付けられていく。
ようやくスペクターが唇を離したとき、胸元には、禍々しいほどに鮮やかな 漆黒を帯びた 赤紫の痕が、深く刻み込まれていた。
「綺麗だ。これで君の心臓は、衣服を纏っている間も、ずっと私の支配を思い出すことになる」
スペクターはその痕跡を、愛おしそうに親指の腹でなぞり、 強く圧迫する。
「あ、ひ……っ、んう……!」
じくじくと 疼く痛みが、ノスフェラトゥの全身へと 甘い快楽となって 拡散していく。
鏡を見ずとも解る、 衣服の下に 隠された、 自分はもう 誰のものでもない という 支配の証。
ノスフェラトゥは、 新たに刻まれた 烙印の 熱を 抱きしめるように、 己の胸を 掻き抱き、 恍惚の 吐息を 漏らした。
コメント
4件
噛み跡かァァ!!最高です😊あと、あなたのこと宣伝していいですかっ!?